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思想良心に基づく不服従への処分に慎重な配慮を求めた最高裁補足意見

2013年09月09日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 不起立の「原因・動機」(思想・良心)に目を閉ざし、職務命令への外形的服従だけを迫る「再発防止研修」は、最高裁判決違反であって許されないことが明らかになった。
  =東京「君が代」2次訴訟最高裁判決=
 ◎ 最高裁第2小法廷 鬼丸かおる裁判長の補足意見


 裁判官鬼丸かおるの補足意見は、次のとおりである。
 原審の適法に確定した事実関係の下においては、本件職務命令が,憲法19条に違反するものでないことは、法廷意見の述べるとおりと考えるものであるが,以下のとおり私見を付加しておきたい。
 法廷意見の引用する最高裁平成23年5月30日第二小法廷判決,最高裁平成23年6月6日第一小法廷判決,最高裁平成23年6月14日第三小法廷判決及び最高裁平成23年6月21日第三小法廷判決の各判例が指摘するように,卒業式における国歌斉唱の際に国旗に向かって起立し国歌を斉唱すること等を命じた職務命令は「日の丸」「君が代」に関する当該教諭の歴史観ないし世界観に由来する行動と異なる外部的行為を求められることとなる面があり,個人の思想及び良心の自由についての間接的な制約となり得る面の存在することは否定し難いものである。
 個人の思想及び良心の自由は憲法19条の保障するところであるから,その命令の不服従が国旗国歌に関する個人の歴史観や世界観に基づき真摯になされている場合には,命令不服従に対する不利益処分は,慎重な衡量的な配慮が求められるというべきである。
 求められる配慮としては,
 ①当該教諭の国旗国歌に関する思想についての従前からの表明の有無
 ②不服従の態様、程度
 ③不服従による式典や生徒への影響の内容,程度,
 ④当該職務命令の必要性と代替措置配慮の有無,
 ⑤不利益処分が当該教諭や生徒に与える影響度,
 ⑥当該職務命令や不利益処分がされるに至った経緯
 などの事情があり得るところ,これらの事情を総合的に勘案した結果,当該不利益処分を課することが裁量権の濫用あるいは逸脱となることもあり得るところであり,これらの事情に配慮した謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべきである。
 しかし,本件の事実関係及び訴訟経過等の下においては,これらの視点から結論が左右されるような事情はうかがわれないので,付言にとどめる。
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