◆ 田中聡史さん「君が代」不起立に都教委、減給1ヶ月処分発令
都教委に抗議の声をお寄せください
3月28日、「君が代」不起立連続6回目の田中聡史さんに対し、都教委は減給1/10・1ヶ月処分(以下、減給1ヶ月という)を発令しました。不起立だけで「戒告を超える重い処分」をすることは原則「違法」と判じた最高裁判決を踏みにじり、昨年都教委は、田中さんに対してのみ、減給1/10・1ヶ月処分を強行し、また、今年も同じに重い処分をしました。許すことはできません。ほかに教員3人(調布市立第三中学校、工芸高校、豊島高校)が戒告処分になりました。
田中さんのケースで、今回、処分量定をさらに加重するのではと心配していましたが、それがなされなかったことに、まず、ほっとしました。しかし、すぐに入学式がやってきます。
皆様、都教委に「(田中さんと三人の教員への)処分処分を撤回せよ。「君が代」不起立処分をするな」と、抗議の電話やファックスを入れてください。
東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
人事部職員課服務係(処分を発令する担当):電話 03-5320-6792
総務部教育情報課(都民の声を聞く担当):電話 03-5320-6733 FAX 03-5388-1726
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● 根津公子の都教委傍聴記(2014.3.27)
エリートに金を注げばどこかにしわ寄せがいくと、教育委員は誰一人考えないのだろうか?
卒業式「君が代」不起立処分案件が議題となっている今日の定例会の傍聴希望者は24人/定員20名。4席くらい増やしても支障はないだろうに、都教委担当者は24枚のカードから4枚の外れくじを引き、4人には傍聴券を出さなかった。傍聴希望者は安くはない交通費を使って傍聴に来ているのだから、少し増席するくらいの人間的対応をしてほしいものだ。
傍聴者の周りには、傍聴希望者数を上回る30人の教育庁職員及び都庁警備員を配置し、物々しい警備体制を敷いていた。
今日の公開議題は、
議案が、「平成26年度東京都教科用図書選定審議会の諮問事項について」、
報告事項が
①「国際バカロレアの導入に向けた検討委員会報告書について」
②「都立国際高校における国際バカロレアのコースの入学者選抜について」
③「『都立学校における健康づくり推進プラン』について」
④「平成25年度児童・生徒の読書状況調査等の結果について」。
非公開議題の一つに、「東京都公立学校教員等の懲戒処分等について」が2件であった。「君が代」不起立処分がこの2案件ということなのだろうか。
定例会開始時には木村委員長の姿はなく、竹花委員が委員長を代理し、冒頭、例によって「議事を妨害した場合は、必要に応じて法的措置をとる」ことを読み上げた。議事の途中で木村委員長が現れた。「交通渋滞による遅参」とのこと。
ここでは①②について報告したい。
国際バカロレアとは、「国際バカロレア機構が認定した学校で学び、統一試験に合格することで、国際的に認められる大学進学資格を取得できる仕組み」とのこと。教育再生実行会議は、グローバル人材育成を目指し海外大学への進学をすすめるため、国際バカロレア認定校を現在の16校(うち、学習指導要領に沿った中学・高校は6校。他はインターナショナルスクール)から200校に増やすことを提言している(2013.5.28)。
その提言を一番乗りで実行しているのが都教委ということか。都教委は都立国際高校に国際バカロレアの教育プログラムを実施するコースを設置し、2015度から学力検査や小論文等の選抜により、1学年240人のうち、25人をその対象とするという。原則、英語による授業(国語、日本史などを除く)で、日本人教員とネイティブ教育スタッフによる少人数指導。1学年から英語によるディスカッションなどを取り入れた授業を、2,3学年は国際バカロレアの教育プログラムによる授業を実施するとのこと。
教育委員からは、「選抜方法は?」「外国人生徒ばかりが集まる心配はないか。」「バカロレアの教員養成のために何か考えているのか」などの質問や、「10年前に比べ、海外に子どもを送り出す親が半減している。これを進めるには、そこが問題だ」(=内館委員の退任により着任した遠藤委員)「国際バカロレアは知識の習得は自分で、授業では考える力を重視する」「バカロレアのやっていることを都立高に取り入れることはできないか。ここで目指すことは、都立高でも目指しているもの」などの意見が続いた。
「日の丸・君が代」に象徴されるように、「考えさせてはいけない」「深入りしてはいけない」とするのが日本及び東京の教育であるにもかかわらず、教育委員は平然と「考える力」などと言う。上滑りもいいところ。
国際バカロレアは、多様な進路希望に応じた教育課程を編成し、授業はそれに合わせて1学年25人をさらに少人数に分けて行う。また、日本人教員とネイティブ教育スタッフとが授業に当たるという。このことだけを見ても、莫大なお金がかかることははっきりしている。
2月13日の定例会で議題となった「次世代リーダー育成道場」(都立高等学校生徒、都立中学校生徒及び都立中等教育学校生徒 100人×2を1年間留学させることが主な役割。一人あたりの総費用300万円のうち、8割は公費負担)といい、今回の国際高校の国際バカロレアといい、都教委はエリート育成には金をふんだんに使う。一定の教育予算の中、エリート育成に金を使えば、どこかを削ることになる。ノンエリート層の高校を廃校にしたりして予算を削っていることはわかりきったことだ。
しかし、今回も、その点を問題にした教育委員は一人もいなかった。私はそのことが最も気になる。教育委員諸氏の頭には、ノンエリートがどのように映っているのかと。
公開の議題が終わると、「君が代」不起立処分案件が議題となる非公開会議に移る。傍聴者退場の時点で、「君が代処分をしないでください」と傍聴者の何人かから声が上がった。それは、傍聴した多くの人が言いたかったこと。各教育委員に考えてもらいたいことだった。
しかし、木村教育委員長は今日も、「議事妨害!」と声を張り上げ、妨害者の特定を職員に指示するお粗末さ。それは、国際バカロレアの理念にそぐわない思考と行為ではないのか。
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『レイバーネット日本』(2014-03-29)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0327nezu
都教委に抗議の声をお寄せください
3月28日、「君が代」不起立連続6回目の田中聡史さんに対し、都教委は減給1/10・1ヶ月処分(以下、減給1ヶ月という)を発令しました。不起立だけで「戒告を超える重い処分」をすることは原則「違法」と判じた最高裁判決を踏みにじり、昨年都教委は、田中さんに対してのみ、減給1/10・1ヶ月処分を強行し、また、今年も同じに重い処分をしました。許すことはできません。ほかに教員3人(調布市立第三中学校、工芸高校、豊島高校)が戒告処分になりました。
田中さんのケースで、今回、処分量定をさらに加重するのではと心配していましたが、それがなされなかったことに、まず、ほっとしました。しかし、すぐに入学式がやってきます。
皆様、都教委に「(田中さんと三人の教員への)処分処分を撤回せよ。「君が代」不起立処分をするな」と、抗議の電話やファックスを入れてください。
東京都教育庁(=東京都教育委員会)〒163-8001東京都新宿区西新宿2-8-1
人事部職員課服務係(処分を発令する担当):電話 03-5320-6792
総務部教育情報課(都民の声を聞く担当):電話 03-5320-6733 FAX 03-5388-1726
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● 根津公子の都教委傍聴記(2014.3.27)
エリートに金を注げばどこかにしわ寄せがいくと、教育委員は誰一人考えないのだろうか?
卒業式「君が代」不起立処分案件が議題となっている今日の定例会の傍聴希望者は24人/定員20名。4席くらい増やしても支障はないだろうに、都教委担当者は24枚のカードから4枚の外れくじを引き、4人には傍聴券を出さなかった。傍聴希望者は安くはない交通費を使って傍聴に来ているのだから、少し増席するくらいの人間的対応をしてほしいものだ。
傍聴者の周りには、傍聴希望者数を上回る30人の教育庁職員及び都庁警備員を配置し、物々しい警備体制を敷いていた。
今日の公開議題は、
議案が、「平成26年度東京都教科用図書選定審議会の諮問事項について」、
報告事項が
①「国際バカロレアの導入に向けた検討委員会報告書について」
②「都立国際高校における国際バカロレアのコースの入学者選抜について」
③「『都立学校における健康づくり推進プラン』について」
④「平成25年度児童・生徒の読書状況調査等の結果について」。
非公開議題の一つに、「東京都公立学校教員等の懲戒処分等について」が2件であった。「君が代」不起立処分がこの2案件ということなのだろうか。
定例会開始時には木村委員長の姿はなく、竹花委員が委員長を代理し、冒頭、例によって「議事を妨害した場合は、必要に応じて法的措置をとる」ことを読み上げた。議事の途中で木村委員長が現れた。「交通渋滞による遅参」とのこと。
ここでは①②について報告したい。
国際バカロレアとは、「国際バカロレア機構が認定した学校で学び、統一試験に合格することで、国際的に認められる大学進学資格を取得できる仕組み」とのこと。教育再生実行会議は、グローバル人材育成を目指し海外大学への進学をすすめるため、国際バカロレア認定校を現在の16校(うち、学習指導要領に沿った中学・高校は6校。他はインターナショナルスクール)から200校に増やすことを提言している(2013.5.28)。
その提言を一番乗りで実行しているのが都教委ということか。都教委は都立国際高校に国際バカロレアの教育プログラムを実施するコースを設置し、2015度から学力検査や小論文等の選抜により、1学年240人のうち、25人をその対象とするという。原則、英語による授業(国語、日本史などを除く)で、日本人教員とネイティブ教育スタッフによる少人数指導。1学年から英語によるディスカッションなどを取り入れた授業を、2,3学年は国際バカロレアの教育プログラムによる授業を実施するとのこと。
教育委員からは、「選抜方法は?」「外国人生徒ばかりが集まる心配はないか。」「バカロレアの教員養成のために何か考えているのか」などの質問や、「10年前に比べ、海外に子どもを送り出す親が半減している。これを進めるには、そこが問題だ」(=内館委員の退任により着任した遠藤委員)「国際バカロレアは知識の習得は自分で、授業では考える力を重視する」「バカロレアのやっていることを都立高に取り入れることはできないか。ここで目指すことは、都立高でも目指しているもの」などの意見が続いた。
「日の丸・君が代」に象徴されるように、「考えさせてはいけない」「深入りしてはいけない」とするのが日本及び東京の教育であるにもかかわらず、教育委員は平然と「考える力」などと言う。上滑りもいいところ。
国際バカロレアは、多様な進路希望に応じた教育課程を編成し、授業はそれに合わせて1学年25人をさらに少人数に分けて行う。また、日本人教員とネイティブ教育スタッフとが授業に当たるという。このことだけを見ても、莫大なお金がかかることははっきりしている。
2月13日の定例会で議題となった「次世代リーダー育成道場」(都立高等学校生徒、都立中学校生徒及び都立中等教育学校生徒 100人×2を1年間留学させることが主な役割。一人あたりの総費用300万円のうち、8割は公費負担)といい、今回の国際高校の国際バカロレアといい、都教委はエリート育成には金をふんだんに使う。一定の教育予算の中、エリート育成に金を使えば、どこかを削ることになる。ノンエリート層の高校を廃校にしたりして予算を削っていることはわかりきったことだ。
しかし、今回も、その点を問題にした教育委員は一人もいなかった。私はそのことが最も気になる。教育委員諸氏の頭には、ノンエリートがどのように映っているのかと。
公開の議題が終わると、「君が代」不起立処分案件が議題となる非公開会議に移る。傍聴者退場の時点で、「君が代処分をしないでください」と傍聴者の何人かから声が上がった。それは、傍聴した多くの人が言いたかったこと。各教育委員に考えてもらいたいことだった。
しかし、木村教育委員長は今日も、「議事妨害!」と声を張り上げ、妨害者の特定を職員に指示するお粗末さ。それは、国際バカロレアの理念にそぐわない思考と行為ではないのか。
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『レイバーネット日本』(2014-03-29)
http://www.labornetjp.org/news/2014/0327nezu
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