★ 「九条の碑」がカナリア諸島テルベ市に
平和希求する自治の象徴 (週刊新社会)
アフリカ大陸の北西部の大西洋に浮かぶスペイン自治州、人口約200万人のカナリア諸島。
野生のカナリアの原産地で、日本のマグロ漁船の寄港地。
ここに「憲法九条の碑」がある。しかも、碑が置かれている場所が「ヒロシマ・ナガサキ広場」だ。
さらにこの碑を設置したテルベ市(グランカナリア島の第2の都市)の平和施策と自治の発揮がすばらしい。
かつてスペインに独裁体制を長期間敷いたフランコ総統は当時、カナリア諸島の軍司令官を務めており、左派政権をつぶすためにクーデターを起こした将軍の1人だ。
長期独裁政権の辛酸をなめた住民は反戦・反核兵器・平和の思いが強い。
1982年のスペインのNATO加盟に対してテルベ市は異議を唱え、市議会は与野党を超えて市とともに非核地帯宣言を行った。
96年には原爆の犠牲者を追悼するため、「ヒロシマ・ナガサキ広場」を建設。広場の中心に日本の憲法九条を掲げた「憲法九条の碑」を置き、二度と原爆の悲惨を繰り返させてはならないと、世界の恒久平和を誓った。
そして、市内の小中学校で原爆の被害を伝えるビデオが上映され、市の文化ホールでは『はだしのゲン』の映画がーカ月間上映されたという。
その他にも冷戦終了時にグランカナリア島にあった米軍基地を撤去させ、NATOのミサイル基地建設計画を住民投票で拒否した。
政府方針がどうあれ、平和を希求する自治の精神を発揮するテルベ市、それを支持する住民意識は現在の日本では考えられない。
憲法は飾りではなく、使うもの。それが主権者の権利であり、責務ではないか。自民党が憲法「改正」ではなく、全面的に作り直そうとしている時代。
戦争のない平和にとどまってはならない。平和とは憲法にあるだけではなく、一人ひとりから発し、それを広げていくものだというγとをテルベ市民が教えている。
『週刊新社会』(2024年11月27日)
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