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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

裁判所も都教委の異常さが分かってきた

2015年07月02日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 =「日の丸・君が代」訴訟=
 ◆ 都教委にあびせたダブルパンチ!
(週刊金曜日)
永尾俊彦(ルポライター。)

 「日の丸・君が代」訴訟で、東京都教育委員会は裁判所から5月末の1週間だけで「裁量権の逸脱」を2回も断罪される“異常事態”になっている。だが知事は被処分教師らとの話し合いに否定的だ。
 2007年の卒業式の「君が代」斉唱時に起立せず、都教委から停職6カ月の懲戒処分を受けた市立中学校(当時)の元教師・根津公子さんが処分取り消しを求めていた訴訟で、東京高裁は5月28日、裁量権の逸脱を認め、一審判決を取り消し、慰謝料10万円の支払いを都に命じた。根津さんは、すでに06年の卒業式の不起立に対する停職3カ月の処分取り消し請求などが最高裁で棄却されており、逆転勝訴は無理と見ていた。
 だが須藤典明裁判長は、不起立1回目で戒告、2回目以降は減給、停職と処分を機械的に加重していくとついには免職になり、「思想信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫られる」ことになり、「思想・良心の自由の実質的な侵害につながる」と判示した。
 免職の恐怖に苦しんできた根津さんは、「この判決は(「君が代」斉唱と起立を命じた職務命令が)思想・良心の『間接的制約』になるとした最高裁判決を超える。少なくとも処分は停職3ヵ月までで、免職は違法と歯止めをかけたことがうれしい」と喜びを語った。
 同じく07年の卒業式での不起立で停職3カ月とされ、根津さんと一緒に提訴していた都立養護学校(当時)の元教師・河原井純子さんについては一審の停職処分の取り消しに加えて、慰謝料10万円の支払いを都に命じた。
 ◆ 約5370万円の賠償
 都教委の不起立へのいじめのような制裁は定年退職後も続く。それが、定年後の再雇用拒否だ。
 5月25日、その再雇用を拒否された都立高校の元教師22人が損害賠償を求めた裁判の判決があり、東京地裁の吉田徹裁判長も都教委の裁量権逸脱、濫用を認め、都に総額約5370万円の損害賠償を命じた。
 吉田裁判長は、学習指導要領で国旗国歌条項が他の特別行事より特段区別した位置づけが与えられていないのに都教委は不起立のみを不当に重く扱う一方、定年退職者の生活保障と教職経験者の経験の活用という再雇用制度の趣旨にも反するとした。
 そして、原告のうち17人の「定年後の生活の糧をも奪い去るという非情さに全身の力が抜ける感覚を覚え、何より教師としての自分を全否定された屈辱感にさいなまれた」などの「精神的損害」を例示した上で損害額を算定した。
 不起立などで処分を受けた都立学校教職員でつくる「被処分者の会」の近藤徹事務局長は、「17人もの原告の気持ちを引用するなど普通はありません。原告への愛情にあふれた判決」と評価した。
 勝訴が続いた原因を近藤事務局長は、「03年の(国旗に向かって起立し、国歌斉唱を強制する)『10・23通達以来12年間次々に訴訟を提起しながら粘り強く闘った結果、裁判所も都教委の異常さがわかってきたから」と語る。
 不起立などで処分された都立学校の教員これまでのべ474人だ。

 6月12日の定例会見で舛添要一知事に機械的処分はやめるべきではと質問したが、知事は「国旗国歌法は遵守すべき」と答えた。
 だが同法に「歌え」とは書かれていないと指摘すると、「それは屁理屈。国歌は歌うから国歌だ」。
 「処分された教師たちと話し合うつもりはないか」とも聞いたが、「司法判断に行政の長が口を差し挟むべきではない」と拒否した。
 都教委は両訴訟に上告、控訴した。


『週刊金曜日』(2015.6.26 1045号)

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