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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

月刊『マスコミ市民』4月号から都立田無工の自衛隊宿泊防災訓練

2014年04月07日 | 暴走する都教委
 ◆ 都教委主導の"高校・自衛隊宿泊防災訓練"~正体は"軍事・募集広報"
永野厚男(教育ライター)

 東京都教育委員会主導の"自衛隊と連携した都立高校・宿泊防災訓練"は、その実態や自衛隊側の文書などから、"募集軍事広報訓練"だったことが、取材で明らかになった。

報道関係者に公開された初日午後、応急担架を作成して搬送する"訓練"

 都教委は2012年度から定時制などを除く179の全都立高校に"宿泊防災訓練"を強制。連携先に消防や大学、警察等の他、「自衛隊東京地方協力本部」を明示したため、同年度は5校の校長が自衛隊を招いた。
 13年度、都教委から防災教育推進校に指定された田無工業高校(池上信幸校長)が今年2月3日~5日、江東区夢の島のBumB東京スポーツ文化館で行った"訓練"(会場の体育館入口のガラス扉は白い布で目張り)では、報道関係者に公開された初日午後の枠で、自衛隊東京地方協力本部の迷彩戦闘服等の隊員13名が対象の2年生148人(うち女子6人)に、①応急担架の作成・搬送、②三角巾の使用法(止血・包帯法)の訓練を"指導"した。
 ①では、ケガ人発見役の生徒が女性隊員に指示され、手を振り「誰かいませんかー」と大声で叫び、4人の生徒が駆け付け、角材2本に厚手の毛布をまいた担架を作り搬送する、という単純な訓練を繰り返した。
 この後、女性隊員は角材2本に戦闘服上下を通した担架を作成。さすがにこの迷彩担架には生徒は載せず、若手教諭が男性隊員4名に運ばれる役に"志願"した(【注】参照)。
 ◆ 幹部隊員が自衛隊の軍事面の"意義"を講話
 この午後の"訓練"終了時、隊員12名(生徒らの写真を撮る係の2等陸曹を除く)は前方に整列後、敬礼。退場時は一糸乱れぬ行進(足を高く上げ、90度の角度で曲がる)を披露した。
 また、「自衛隊をウオッチする市民の会」の坂本茂さんが、会場外に駐車した自衛隊マイクロバスのフロントガラス越しに見た文書(車両の運航日時や経路等を記載)は、「募集広報実務訓練」と明記。
 更に記者には非公開の初日午前、視察した都議会文教委員の里吉ゆみ都議(共産)や関係者によると、自衛隊東京地方協力本部渉外広報室長の瀧澤健二・三等陸佐が講話。
 「自衛隊の役割」として、「我が国の独立と安全を守る。諸外国の侵略への抑止」との表現で防衛(軍事)面に言及。また「阪神淡路大震災での自衛隊員の活躍するDVD映像」を見せ「誰の世話にもならない自己完結型の自衛隊は、3・11の災害派遣でも活躍。消防や警察とは違う」などと自己宣伝した、という。
 12年4月、都立高校で自衛隊を初来校させた八潮高校でも、当時の大室文之校長が「自衛隊の皆さんは日々、国を守る厳しい訓練に携わっておられ・・・その成果が災害派遣でも発揮された」と明記した文書を3年生全員に配布。憲法上、国論を二分する自衛隊の"防衛=軍事"面で、本来賛否両論を教えるべき公立学校が、政権政党の政策に沿った特定の政治的主張だけを押し付けているのだ。
 ◆ 7月には駐屯地で行進訓練も
 都教委の全面支援下、池上校長が13年7月26日~28日、6人の教職員とラグビー部などの男子生徒34人を自衛隊朝霞駐屯地に引率した時(申込書は"隊内生活体験"と明記)、自衛隊側の「行動予定」文書は「躾。行進間の動作。駐屯地内行進(各班毎)」などと明記。
 早朝から監視していた坂本さんは、「食堂から外来隊舎への移動も行進訓練で、生徒6人に制服自衛隊員1名が付き、『右向けー右』など号令をかけていた。早朝の非常呼集時など、走っても行進訓練だった」と証言する。
 ただ自衛隊側はいつも強面ではない。女性隊員は前記①の際、ケガ人役の生徒に優しく声かけする等、将来の入隊への好印象を持たせる"配慮"もしている。
 "訓練"時の生徒・教職員や監視役の都教委指導主事ら(13年7月は課長含む8名、今年2月は17名の総出)の食費・宿泊費・会場使用料等はすべて税金。ある保護者は後日、取材に「息子から、初日午後は5時間も①②を繰り返すだけで退屈、と聞いた。学校で普通の授業をしてくれた方がよい」と語っている。
 【注】 都教委の強硬な施策で教職員組合が弱体化する中、若手教諭のほか、ケガ人役になった中年教諭も、「痛てて!」とオーバーに演じる等、自衛隊という軍事組織に疑問を持つことなく、進んで協力していた。
 月刊『マスコミ市民』4月号

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