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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

フジHD株主総会

2017年07月31日 | 平和憲法
 ◆ 右寄り報道追及の意見相次ぐ (週刊新社会)
   永野厚男・教育ジャーナリスト

株主総会後、フジテレビ本社に抗議のシュプレヒコールを上げる松沢弘さんら

 フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジHD)が6月28日、東京都港区のホテルで開催した株主総会で、安倍晋三首相に近い、日枝久(ひえだひさし)会長(79歳。同日、退任し相談役に)が会長を兼務していた子会社・フジテレビについて、報道の偏向を追及する株主の質問が相次いだ。
 ◆ 市民運動家出演は皆無
 フジテレビの『新報道2001』やBSフジの『プライムニュース』は、下村博文氏ら自民党の政治家や、宮家邦彦氏・森本敏氏ら外務省・防衛省・自衛隊のOBらを多く出演させ、護憲・リベラル派の憲法学者や政治家の出演は少なく、市民運動家の出演は皆無。
 特に『新報道2001』の平井文夫・上席解説委員は、憲法改定の動向や集団的自衛権行使問題で、自民党など保守勢力の政策に近いコメントが多い
 株主総会では、これらの偏向ぶりを指摘し、「放送法に違反しているのでは。TBSの『報道特集』『サンデーモーニング』等を見習い、立憲主義の立場も重視し、社民党や自由党の山本太郎さんらを、もっと出演させるよう改めていくべき」などと、政治報道の抜本的改革を求める意見が出た。
 また、「日枝氏は安倍晋三首相と会食やゴルフを繰り返しているが、報道機関として、権力者とは距離を取るべき」という意見も出た。
 しかし、フジHDの鈴木克明取締役は、「多角的に取材し、視聴者に考える機会を与えている」と開き直る答弁に終始し、「安倍政権寄りというご指摘は一切当たらない。ご心配の向きは一切ない」と述べるに留まった。
 ◆ "改憲教科書"の採算性も
 安倍氏のブレーン、日本会議系の日本教育再生機構・八木秀次理事長らが執筆している、育鵬社(フジHDの孫会社)の"中学公民教科書"は、日本国憲法が「戦争の惨禍」の反省の下できた硬性憲法である事実に触れず、「各国の憲法改正回数」の一覧表を掲載し、憲法改定を煽る。そして"国防の義務"や、個人の尊厳より国家の方を優先する特異な思想まで教え込んでいる。
 このため、①主権者教育で大切な政治的中立性に違反している、②現在検定中のはずの中学校道徳教科書も、愛国心等の教材に偏重しているのでないか、と追及する意見が出た。
 金光修専務取締役は、①に対し「文科省が学習指導要領に従い、それに沿っているか、審査している」、②には「パイロット版は出しているが、中学校道徳教科書を出すかどうか検討している」と回答した。
 また、増田都子・元千代田区立中学校教諭(平和教育実践で都教委が分限免職)は事前質問状を送付し、「近年の教科書はフルカラーのため12万部以上が採算の目安だが、育鵬社中学社会科教科書については15年の採択で、大阪の教委の採択での脱法行為をもってしても、シェアは6万部程度(歴史6.2%、公民5.7%)にとどまり、明らかに採算割れになっている(採択は4年周期だから採算割れは18年度まで続く)」などと追及した。
 だが金光氏は、「黒字だ。問題ない。大阪の件は昨年も答えた通り、行動規定・営業指針等、徹底的な見直しを図った」と述べるに留まった。
 ◆ あいかわらず専横の総会運営
 フジHDの株主総会は、フジテレビ・産経新聞グループ内で真っ当な労働運動を展開しようと、新労組「反リストラ産経労」を結成したことで不当解雇された松沢弘委員長が、個人株主の被害救済運動をしている資格試験予備校講師の山口三尊さんと共に、14年6月、同社史上初の株主提案を行った(結果は否決)ことなどで近年、注目を集めている。
 今回はこの14年総会の決議取消を求める訴訟で、東京地裁(大竹昭彦裁判長)が昨年12月15日、松沢さんら原告の訴えを棄却したが、「ヤラセ」の事実は認定する判決を出した後、初の株主総会だけに、「明らかに社員株主らしき人物の発言は、以前より減少したかに見える」(フジHDを監視している株主談)。
 だが、開会から3時間近くになったところで、議長の日枝氏は質疑を打ち切り、挙手によることなく、社員株主の拍手により、松沢さん提案の「日枝氏ら取締役17名選任議案からの全取締役の削除」などの修正動議を否決したとして、終了を宣言した。このため日枝氏らが逃げるように退席する時、抗議のシュプレヒコールが起こった。
『週刊新社会』(2017年7月25日号)

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