=進む南西諸島軍事化~現地から(立川テント村通信)=
◆ 島のどこにもミサイル基地いらない
~石垣島における配備反対運動
南西諸島-沖縄県与那国島、石垣島、宮古島、沖縄島、鹿児島県の奄美大島、馬毛島の軍事要塞化を許さないたたかいが、粘り強く取り組まれています.
1.石垣島での運動の始まりと広がり
2015年5月11日、防衛副大臣が石垣市に対し、調査協力の要請を行い、配備反対の運動が具体化していきました。同年8月20日に「石垣島への自衛隊配備を止める住民の会」(以下「止める会」を結成し、(自衛隊配備を止めるため)保革の立場を問わず、基地のない、安心して暮らせる、自然・文化豊かな島を残すために力をあわせよう。」と、個人加盟の運動体としてスタートしました。
同年11月26日に、防衛省が候補地として「平得大俣(ひらえおおまた)の東側にある市有地及びその周辺」と市に正式要請したことで、候補地周辺の嵩田、開南、於茂登の3公民館(地域の自治組織)が、配備反対に動き出しました。
2016年1月15日、3地区公民館長は、防衛省に対し抗議文を、議会へは配備撤回を求める陳情や請願を提出し「止める会」とも連携して運動に取り組んでいきました。
同年6月議会で「平得大俣への陸自配備推進を求める」請願が与党多数の市議会で否決、「配備反対」を求める請願が継続審議になりました。
ところが、与党は、9月市議会で「自衛隊配備を求める決議」を提案、可決。
直ちに、同月29日「自衛隊配備を求める決議」に抗議する怒りのデモと市民集会が実行委員会主催で行われ、延べ200人が参加。
この実行委員会を軸に「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」(以下「市民連絡会」)が、「止める会」、3公民館、労組、平和団体・市民団体、野党市議、個人で組織され、運動が広がりました。
10月には平得大俣に近接する川原公民館が陸自配備反対を決議。12月に市民連絡会に加入。
於茂登地区は、米軍基地を造るために追い出した住民の行先として始まった琉球政府最後の計画移民として、1957年に真栄里山開拓団として入植し、ジヤングルを切り開き、石を出し、農地を広げ皆で協力し、築いてきた地域です。
全会一致で反対決議をしました。
嵩田地区は、第二次世界大戦後、新天地を求めた先人たちが自由移民という形で開拓した歴史があります。現在は、二世、三世代目が活躍しており、新しい時代に向けた農業経営に舵を切ろうとしている集落です。大規模な土地改良事業を受けず、農村の原風景を守りながら営農を続けているのも特徴です。
開南地区は、国の開拓事業により、1934年から入植が始まった地域で、自衛隊が配備されると、その施設に一番近い集落となり非常に心配しています。
川原地区も、苦労を重ねてきた闘拓集落です。また、沖縄戦で海軍ヘギナー飛行場、ヘギナー豪があるため爆撃を受けた地域で戦争につながる基地はいらないとの思いを持つ人たちが多くいます。
「止める会」、「市民連絡会」は、配備撤回署名、ビラ配布や講演会、学習会の開催、街頭アピール、スタンディングを行い、ノポリ、ステッカー、ホームページ、フェイスブックなどを作成し市民に訴えてきました。
同時に、国会議員、県議、市議の協力を得て、防衛省・沖縄防衛局への要請行動、市長、県知事への要請、議会への請順も行っています。
配備撤回を求める署名は全国から大きな支援もあり2017年5月30日に13,650筆(第3次集約)を提出し、累計で35,558筆になりました。ご協力いただいた全国のみなさんに感謝いたします。
2.軍事力で平和は築けない!
石垣島への配備部隊は、警備部隊、地対艦・地対空ミサイル部隊500~600人です。
2010年の尖閣海域での中国漁船衝突事件後、2012年国有化され、中国公船による接続水城や領海への侵入が頻繁になりました。
配備計画が進む中で尖閣危機を煽る動きもあり、中国の覇権主義的行動(領海侵入(国際法違反の海警法など)が続いています。
自衛隊配備に賛成する人は、「抑止力」や「災害救助」を理由にしますが、軍事的対応を強化すれば、その先にあるのは際限のない軍拡競争です。
その上、有事や緊急事態になったときに、住民の安全をどう守るのか、国民保護計画の実態は自治体任せで、石垣には安全が確保できるシェルターや地下豪はありません。
島外避難もその保障はありません。配備予定のミサイルは車載式で、島中が標的なります。そのリスクを負うのは石垣市民、沖縄県民、国民です。基地がない方が安全で、ミサイル基地を置いても尖閣問題は解決できません。
双方の意見が違うのですから、話し合い、外交でしか解決できないと思います。
ところが、今年4月16日の日米首脳共同声明では、台湾有事への協力というさらに危険な道へ進もうとしています。
それだけではありません。基地被害を受ける住民を監視し、権利を侵害する悪法、重要土地等調査規制法が強行されました。
自衛隊・米軍基地・原発などの周囲約一キロと国境離島を「注視区域」に指定し、土地・建物の所有者や利用状況を調査し、施設の「機能を阻害する行為」に対する中止勧告・命令を可能にする内容です。
石垣では、石垣海上保安部も想定されています。具体化を許さず、廃止させましょう。
反対運動は自公政権の日米同盟優先、人権、地方自治を踏みにじる異常な政治との闘いであり、基地問題は、安全保障の在り方、国の在り方にかかわる全国の問題です。
◆ 3.くらしや環境の破壊は許さない!
基地予定地は、配備賛成派の友寄市議が代表しているジュマールゴルフ場(13㎞)とその周辺の山林(主に市有地)と民有地合わせて46㎞です。
2019年3月1日の工事着工は、配備ありきの着工です。
2018年10月に改正された沖縄県環境影響評価条例は、20㎞以上の用地造成にアセスを義務付けていますが、経過措置で2019年3月末までに着工すれば適用されません。用地造成は20㎞を超えているのに、わずか0・5㎞の入り口部分の着手でアセスを逃れる暴挙でした。
予定地は、於茂登岳のふもとに広がる自然豊かな場所であり、水道水の20%を賄う地下水源地や農業用水の水源域、涵養地です。地下水への影響を調べてほしいという市民や専門家の意見も無視したのです。
工事が始まってからは、現地入り口での監視活動も続けています。現地は道路面より高く外から監視は困難で、バンナ公園の高台や北側にある山の林道の隙間から現状を確認していますが、今ではドローンチームが結成され適宜撮影し、基地建設を止める監視活動に生かしています。
工事が始まり、翌年の2020年になると現場から掘り出される巨岩の破砕音が終日発生しました。ところが境界線で騒音規制法の85デシベルを超えなければ問題ないとこれまでの静かさを一変するような耐え難いものになっています。
防音対策は防音シート設置で、音は上に抜け、風向きによって音は拡散し、その効果はありません。近隣住民の生活と健康を壊しています。予定地周辺をテリトリーにしている天然記念物、絶滅危惧種のカンムリワシの生息を脅かしています。
防衛省の市民、くらし、環境無視の姿勢はこれだけではありません。市民連絡会は、今年5月末、ずさんな調査資料で山林伐採の行為通知書を市に出し、市は景観形成審議会を経て協議終了通知を出していることを公表。伐採作業の中止と、問題の解明を防衛省、石垣市に求めました。
防衛省は、通知書の調査が間違っていることを認め、7月に再調査が行われました。
今回伐採されようとしている山林は、30数年前はパイン畑として開墾されていたところです。それが輸入自由化で生産が減り、放置され、防衛省の工事前の現況調査でも貴重種113種の動植物が生息する豊かな森に再生した場所です。
予定地全体は、守っていくべき自然が残る場所です。今からでも遅くありません。工事を止めて環境アセスと納得のいく説明をすべきです。
◆ 4.島の夫来は市民が決める!
石垣島への自衛隊配備、ミサイル基地建設について市民はどう考えているのか。防衛省による住民説明会は、工事着工までに5回、4地区との話し合いが1回きりで、防衛省が「理解と協力を得て進める」状況でないことは明らかでした。
何よりも、近接する4地区が反対を貫き、2017年夏に市民連絡会が集めた「市有地を売却するな!」の署名は1万4千を超えたのです。
2018年3月の市長選は、現職と自衛隊配備反対を掲げる宮良操氏と平得大俣は白紙撤回、住民投票を掲げる砂川利勝氏の三つ巴で現職が当選。
平得大俣への基地建設に反対する2候補の合計得稟は、基地容認の現職を576票上回っていました。市長選は、基地問題だけでなくいろんな要素が判断基準になり、明確な民意が示されたとは言えず、反対の民意は潜在している状況でした。
2018年12月、「石垣市住民投票を求める会」(以下求める会)は、有効署名1万4千263筆(有権者の約4割)を添えて市長に対し住民投票を直接請求。2019年2月1日、市議会は、住民投票条例案を否決しました。
しかし、石垣市自治基本条例で「有権者の4分の1以上の連署をもって請求すれば、市長は所定の手続きを経て実施しなければならない」と定め、逐条解説において、「本市に選挙権のある者(有権者)が、地方自治法第74条(住民の条例制定改廃請求権)に基づくもののーつとして、「OOの住民投票条例」の制定について請求できることを定めています。」とあります。
求める会の請求は議会で否決されても有効なのです。
求める会は、2019年9月に市長に実施を義務付ける裁判を起こしました。
2020年8月27日に行政訴訟の対象にあたらないと不当な却下判決。控訴審も今年3月23日一審判決を追認し、上告しましたが8月25日棄却されてしまいました。
4月には署名した市民には住民投票をする権利があることを確認する当事者訴訟も起こしています。
一方、住民投票請求の根拠となった自治基本条例への攻撃も続いています。自治基本条例はその見直しについても条例で定めており、2016年の見直し、改正は、与野党全会一致で成立しています。
2019年12月議会への与党市議による条例廃止案は非自民の与党市議が反対し10対11で否決。ところが、今年6月議会の会期末に突然、友寄市議が住民投票条項を削除する改正案を提出したのです。
手続き的にも、「条例改正案は、議員定数の12分の1(石垣市では2人)により文書で提出すると定めた地方自治法に反する」と野党議員は疑義を呈し阻止に奮闘。
議長は、慣例で本会議上程時に2人いればよいと採決を行い、10対8(2人退席・1人欠席)で可決したのです。
条例の見直し規定、住民の声も無視住民自治、民主主義を踏みにじる暴挙が続いています。
市長は、「国防は国の専権事項」と配備に協力。与党も同じ。こんな、市議会、市政は変えるしかありません。
来年2月は市長選、9月には市議選です。住民投票ができる市政に、「配備ノ-」と言える市政に変えることを目指しています。
『立川テント村通信』(2021年8月1日、9月1日)
◆ 島のどこにもミサイル基地いらない
~石垣島における配備反対運動
石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会事務局 藤井幸子
南西諸島-沖縄県与那国島、石垣島、宮古島、沖縄島、鹿児島県の奄美大島、馬毛島の軍事要塞化を許さないたたかいが、粘り強く取り組まれています.
1.石垣島での運動の始まりと広がり
2015年5月11日、防衛副大臣が石垣市に対し、調査協力の要請を行い、配備反対の運動が具体化していきました。同年8月20日に「石垣島への自衛隊配備を止める住民の会」(以下「止める会」を結成し、(自衛隊配備を止めるため)保革の立場を問わず、基地のない、安心して暮らせる、自然・文化豊かな島を残すために力をあわせよう。」と、個人加盟の運動体としてスタートしました。
同年11月26日に、防衛省が候補地として「平得大俣(ひらえおおまた)の東側にある市有地及びその周辺」と市に正式要請したことで、候補地周辺の嵩田、開南、於茂登の3公民館(地域の自治組織)が、配備反対に動き出しました。
2016年1月15日、3地区公民館長は、防衛省に対し抗議文を、議会へは配備撤回を求める陳情や請願を提出し「止める会」とも連携して運動に取り組んでいきました。
同年6月議会で「平得大俣への陸自配備推進を求める」請願が与党多数の市議会で否決、「配備反対」を求める請願が継続審議になりました。
ところが、与党は、9月市議会で「自衛隊配備を求める決議」を提案、可決。
直ちに、同月29日「自衛隊配備を求める決議」に抗議する怒りのデモと市民集会が実行委員会主催で行われ、延べ200人が参加。
この実行委員会を軸に「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」(以下「市民連絡会」)が、「止める会」、3公民館、労組、平和団体・市民団体、野党市議、個人で組織され、運動が広がりました。
10月には平得大俣に近接する川原公民館が陸自配備反対を決議。12月に市民連絡会に加入。
於茂登地区は、米軍基地を造るために追い出した住民の行先として始まった琉球政府最後の計画移民として、1957年に真栄里山開拓団として入植し、ジヤングルを切り開き、石を出し、農地を広げ皆で協力し、築いてきた地域です。
全会一致で反対決議をしました。
嵩田地区は、第二次世界大戦後、新天地を求めた先人たちが自由移民という形で開拓した歴史があります。現在は、二世、三世代目が活躍しており、新しい時代に向けた農業経営に舵を切ろうとしている集落です。大規模な土地改良事業を受けず、農村の原風景を守りながら営農を続けているのも特徴です。
開南地区は、国の開拓事業により、1934年から入植が始まった地域で、自衛隊が配備されると、その施設に一番近い集落となり非常に心配しています。
川原地区も、苦労を重ねてきた闘拓集落です。また、沖縄戦で海軍ヘギナー飛行場、ヘギナー豪があるため爆撃を受けた地域で戦争につながる基地はいらないとの思いを持つ人たちが多くいます。
「止める会」、「市民連絡会」は、配備撤回署名、ビラ配布や講演会、学習会の開催、街頭アピール、スタンディングを行い、ノポリ、ステッカー、ホームページ、フェイスブックなどを作成し市民に訴えてきました。
同時に、国会議員、県議、市議の協力を得て、防衛省・沖縄防衛局への要請行動、市長、県知事への要請、議会への請順も行っています。
配備撤回を求める署名は全国から大きな支援もあり2017年5月30日に13,650筆(第3次集約)を提出し、累計で35,558筆になりました。ご協力いただいた全国のみなさんに感謝いたします。
2.軍事力で平和は築けない!
石垣島への配備部隊は、警備部隊、地対艦・地対空ミサイル部隊500~600人です。
2010年の尖閣海域での中国漁船衝突事件後、2012年国有化され、中国公船による接続水城や領海への侵入が頻繁になりました。
配備計画が進む中で尖閣危機を煽る動きもあり、中国の覇権主義的行動(領海侵入(国際法違反の海警法など)が続いています。
自衛隊配備に賛成する人は、「抑止力」や「災害救助」を理由にしますが、軍事的対応を強化すれば、その先にあるのは際限のない軍拡競争です。
その上、有事や緊急事態になったときに、住民の安全をどう守るのか、国民保護計画の実態は自治体任せで、石垣には安全が確保できるシェルターや地下豪はありません。
島外避難もその保障はありません。配備予定のミサイルは車載式で、島中が標的なります。そのリスクを負うのは石垣市民、沖縄県民、国民です。基地がない方が安全で、ミサイル基地を置いても尖閣問題は解決できません。
双方の意見が違うのですから、話し合い、外交でしか解決できないと思います。
ところが、今年4月16日の日米首脳共同声明では、台湾有事への協力というさらに危険な道へ進もうとしています。
それだけではありません。基地被害を受ける住民を監視し、権利を侵害する悪法、重要土地等調査規制法が強行されました。
自衛隊・米軍基地・原発などの周囲約一キロと国境離島を「注視区域」に指定し、土地・建物の所有者や利用状況を調査し、施設の「機能を阻害する行為」に対する中止勧告・命令を可能にする内容です。
石垣では、石垣海上保安部も想定されています。具体化を許さず、廃止させましょう。
反対運動は自公政権の日米同盟優先、人権、地方自治を踏みにじる異常な政治との闘いであり、基地問題は、安全保障の在り方、国の在り方にかかわる全国の問題です。
◆ 3.くらしや環境の破壊は許さない!
基地予定地は、配備賛成派の友寄市議が代表しているジュマールゴルフ場(13㎞)とその周辺の山林(主に市有地)と民有地合わせて46㎞です。
2019年3月1日の工事着工は、配備ありきの着工です。
2018年10月に改正された沖縄県環境影響評価条例は、20㎞以上の用地造成にアセスを義務付けていますが、経過措置で2019年3月末までに着工すれば適用されません。用地造成は20㎞を超えているのに、わずか0・5㎞の入り口部分の着手でアセスを逃れる暴挙でした。
予定地は、於茂登岳のふもとに広がる自然豊かな場所であり、水道水の20%を賄う地下水源地や農業用水の水源域、涵養地です。地下水への影響を調べてほしいという市民や専門家の意見も無視したのです。
工事が始まってからは、現地入り口での監視活動も続けています。現地は道路面より高く外から監視は困難で、バンナ公園の高台や北側にある山の林道の隙間から現状を確認していますが、今ではドローンチームが結成され適宜撮影し、基地建設を止める監視活動に生かしています。
工事が始まり、翌年の2020年になると現場から掘り出される巨岩の破砕音が終日発生しました。ところが境界線で騒音規制法の85デシベルを超えなければ問題ないとこれまでの静かさを一変するような耐え難いものになっています。
防音対策は防音シート設置で、音は上に抜け、風向きによって音は拡散し、その効果はありません。近隣住民の生活と健康を壊しています。予定地周辺をテリトリーにしている天然記念物、絶滅危惧種のカンムリワシの生息を脅かしています。
防衛省の市民、くらし、環境無視の姿勢はこれだけではありません。市民連絡会は、今年5月末、ずさんな調査資料で山林伐採の行為通知書を市に出し、市は景観形成審議会を経て協議終了通知を出していることを公表。伐採作業の中止と、問題の解明を防衛省、石垣市に求めました。
防衛省は、通知書の調査が間違っていることを認め、7月に再調査が行われました。
今回伐採されようとしている山林は、30数年前はパイン畑として開墾されていたところです。それが輸入自由化で生産が減り、放置され、防衛省の工事前の現況調査でも貴重種113種の動植物が生息する豊かな森に再生した場所です。
予定地全体は、守っていくべき自然が残る場所です。今からでも遅くありません。工事を止めて環境アセスと納得のいく説明をすべきです。
◆ 4.島の夫来は市民が決める!
石垣島への自衛隊配備、ミサイル基地建設について市民はどう考えているのか。防衛省による住民説明会は、工事着工までに5回、4地区との話し合いが1回きりで、防衛省が「理解と協力を得て進める」状況でないことは明らかでした。
何よりも、近接する4地区が反対を貫き、2017年夏に市民連絡会が集めた「市有地を売却するな!」の署名は1万4千を超えたのです。
2018年3月の市長選は、現職と自衛隊配備反対を掲げる宮良操氏と平得大俣は白紙撤回、住民投票を掲げる砂川利勝氏の三つ巴で現職が当選。
平得大俣への基地建設に反対する2候補の合計得稟は、基地容認の現職を576票上回っていました。市長選は、基地問題だけでなくいろんな要素が判断基準になり、明確な民意が示されたとは言えず、反対の民意は潜在している状況でした。
2018年12月、「石垣市住民投票を求める会」(以下求める会)は、有効署名1万4千263筆(有権者の約4割)を添えて市長に対し住民投票を直接請求。2019年2月1日、市議会は、住民投票条例案を否決しました。
しかし、石垣市自治基本条例で「有権者の4分の1以上の連署をもって請求すれば、市長は所定の手続きを経て実施しなければならない」と定め、逐条解説において、「本市に選挙権のある者(有権者)が、地方自治法第74条(住民の条例制定改廃請求権)に基づくもののーつとして、「OOの住民投票条例」の制定について請求できることを定めています。」とあります。
求める会の請求は議会で否決されても有効なのです。
求める会は、2019年9月に市長に実施を義務付ける裁判を起こしました。
2020年8月27日に行政訴訟の対象にあたらないと不当な却下判決。控訴審も今年3月23日一審判決を追認し、上告しましたが8月25日棄却されてしまいました。
4月には署名した市民には住民投票をする権利があることを確認する当事者訴訟も起こしています。
一方、住民投票請求の根拠となった自治基本条例への攻撃も続いています。自治基本条例はその見直しについても条例で定めており、2016年の見直し、改正は、与野党全会一致で成立しています。
2019年12月議会への与党市議による条例廃止案は非自民の与党市議が反対し10対11で否決。ところが、今年6月議会の会期末に突然、友寄市議が住民投票条項を削除する改正案を提出したのです。
手続き的にも、「条例改正案は、議員定数の12分の1(石垣市では2人)により文書で提出すると定めた地方自治法に反する」と野党議員は疑義を呈し阻止に奮闘。
議長は、慣例で本会議上程時に2人いればよいと採決を行い、10対8(2人退席・1人欠席)で可決したのです。
条例の見直し規定、住民の声も無視住民自治、民主主義を踏みにじる暴挙が続いています。
市長は、「国防は国の専権事項」と配備に協力。与党も同じ。こんな、市議会、市政は変えるしかありません。
来年2月は市長選、9月には市議選です。住民投票ができる市政に、「配備ノ-」と言える市政に変えることを目指しています。
『立川テント村通信』(2021年8月1日、9月1日)
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