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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

根津公子の都教委傍聴記(2015.8.27)

2015年08月30日 | 暴走する都教委
 ■ 「実教出版教科書排除」5人の教育委員は一切無言
   ~実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」を排除し、
   一切の発言をせずに、来年度使用の高校用教科書を採択


 今日の議題の一つが来年度使用の高校用教科書の採択であった。
 都教委は実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」を各学校が選定しないよう、2012年にはこの教科書を選定した学校の校長に、「3月28日付『産経』の記事のこと、わかっているでしょうね。」「実教の教科書は都教委の教育方針と合わない面がある。最終判断は校長だが、注意してもらいたい」などという電話を執拗にかけて、結果、この日本史教科書の選定を「0」にした。2013年からは「実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」の記述は…都教委の考えと異なるものであり、…都立高等学校で使用する教科書としては適切ではない」との通知を校長宛に出し、選定を「0」にしてきた。
 通知から3年目の今年は6月25日の都教委定例会で、「国旗国歌について、実教出版高校日本史の『一部の自治体で公務員への強制の動きがある』との記述は今回も変わらなかった。これは、都教委の考え方と異なる。したがって、校長の責任と権限の下、選定するよう6月26日以降通知をする。」と指導部長が発言。教育委員は一切の意見表明をせずに、しかし、承認した。
 そして今日の定例会に各学校が選定した結果が指導部長より報告され、その選定が適正かどうかが議案に付された。言うまでもなく、実教出版のこの教科書を選定した学校は「0」だった。
 提案を受けて、進行役の中井教育長が「これを採択することでいいですか」と言ったが、5人の教育委員はここでも一切無言。みんな目を伏せていて、互いの意思確認すらしなかった。そして、30秒ほどの沈黙を経て、中井教育長の「採択とします」の言葉で採択となった。
 なお、請願(都教委の教科書採択妨害を許さない実行委員会)が1通出されていたが、報告のみ。中井教育長の「事務方で適宜に」の発言で片づけた。
 中学校用歴史、公民の教科書は育鵬社版を採択し、高校日本史は実教出版社を排除しての採択。これが、「都教委が自らの責任と権限において、適正かつ公正に行った」という教科書採択だ。
 都教委及び教育委員は、高校生が実教出版「高校日本史A」「高校日本史B」で事実を知ることを恐れている。都教委が「適切でない」と言うこの部分の記述を教材にして、高校の教員はもちろん、中学校でも授業で取り上げたらいいのに、と思う。私が現役の教員だったら、やっていただろうな。
 参考までに、≪都教委が「適切でない」という実教出版「高校日本史A」の記述箇所≫
「国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある。」
 ■他の議案・報告は
 差しさわりのない案件では、教育委員はいつものように、雄弁とも思いつき・おしゃべり的とも思える発言をしたがここでは割愛する。今日は全員の発言があった。
 議案は「通学路等における児童等の安全確保に関する指針の制定について」
 都議会定例会で「安全・安心まちづくり」条例の一部改正がされ、それを受けての指針の制定だという。これまでは警察だけがしてきたが、指針を制定することによって、学校管理者、道路管理者、保護者や住民が連携してことに当たることができる。また、警察署長の意見聴取ができることもプラス面、という。
 報告が「東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議中間まとめについて」と「『夢・未来』プロジェクトの実施について」。
 「『夢・未来』プロジェクト」は、「オリンピック・パラリンピック教育の充実を図るために子どもたちがアスリート等との直接交流を通じてスポーツの素晴らしさを実感し、夢や希望を持ち続けることができるよう、オリンピアンやパラリンピアン等を学校に派遣する」というもので、今年度のオリンピック・パラリンピック教育推進校(600校)のうち、8月28日から11月30日の期間に実施が決まった112校が決まったというもの。
 こんなことで子どもたちが夢や希望を持ち、自殺をしなくて済むと都教委関係者は本気で考えているのだろうか
 ちょっと気になったのが、竹花、木村委員が「このプロジェクトには家庭教育、社会教育が欠けている。親など生徒の家庭への教育をもっと強化すべきだ」と発言したこと。とうとう家庭への介入が始まるのか。注意しなくては、という思いに駆られた。熱狂的なオリンピック教育には辟易する。
 教員の懲戒処分が議題にないことはまずない。非公開議題だから傍聴者にはわからないが、今回も議題に上がっていた。
『レイバーネット日本』(2015-08-29)

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