★ 「重い処分で問題解決できない」「少数者の思想許容する寛容さ求められる」
~ 最高裁判決における裁判官の反対・補足意見から ~
★ 横田尤孝裁判官の補足意見
思うに、厳粛・整然と行われるべき式典の円滑な進行を阻害し、儀式的行事の教育的意義を損なう違反行為に対してこれを放置することはできないが、違反者に重い処分を課したからといって、事柄の性質上、根本の問題が解決するわけでもない。
国旗及び国歌をめぐる職務命令違反行為とそれに対する懲戒処分の応酬という虚しい現実は、本来教育の場にふさわしくない状況であるといわなければならない。関係者は、ともども、こうした現実が多感な生徒に及ぼす影響とこの問題に関する社会通念の在り所について真摯に考究し、適切妥当な解決のために具体的な方法を見い出すよう最大限の努力をすることが望まれる。この実りなき応酬を終息させることは、関係者全ての責任というべきである。
★ 櫻井籠子裁判官の補足意見
1月16日各第一小法廷における私の補足意見においても補足的に述ぺたところであるが、教育の現場でこのような職務命令違反行為と懲戒処分がいたずらにくり返されることは決して望ましいことではない。教育行政の責任者として、現場の教育当事者として、それぞれがこの問題に真摯に向かい合い、何が子供たちの教育にとって、また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという観点に立ち、現実に即した解決策を追求していく柔軟かつ建設的な対応が期待されるところである。
★ 金築誠志裁判官の補足意見
(「平成23年6月6日第一小法廷において私の補足意見として述べたとおり」と書かれているので、その6月6日判決から紹介)もっとも、教職員に対する職務命令に起因する対立であっても、これが教育環境の悪化を招くなどした場合には、児童・生徒も影響を受けざるを得ないであろう。そうした観点からも、全ての教育関係者の慎重かつ賢明な配慮が必要とされることはいうまでもない。
★ 宮川光治裁判官の反対意見
本件のような紛争がくり返されるということは、誠に不幸なことである。こうでなければならない、こうあるべきだという思い込みが、悲惨な事態をもたらすということを、歴史は教えている。国歌を斉唱することは、国を愛することや他国を尊重することには単純には繋がらない。国歌は、一般にそれぞれの国の過去の歴史と深い関わりを有しており、他の国から見るとその評価は様々である。また、世界的に見て、入学式や卒業式等の式典において、国歌を斉唱するということが広く行われているとは考え難い。
思想の多様性を尊重する精神こそ、民主主義国家の存立の基盤であり、良き国際社会の形成にも貢献するものと考えられる。
幸いにして、近年は式典の進行を積極的に妨害するという行為はみられなくなりつつある。そうした行為は許されるものではないが、自らの真摯な歴史観等に従った不起立行為は、その行為が式典の円滑な進行を特段妨害することがない以上、少数者の思想の自由に属することとして、許容するという寛容さが求められていると思われる。関係する人々に慎重な配慮を望みたい。
~ 最高裁判決における裁判官の反対・補足意見から ~
★ 横田尤孝裁判官の補足意見
思うに、厳粛・整然と行われるべき式典の円滑な進行を阻害し、儀式的行事の教育的意義を損なう違反行為に対してこれを放置することはできないが、違反者に重い処分を課したからといって、事柄の性質上、根本の問題が解決するわけでもない。
国旗及び国歌をめぐる職務命令違反行為とそれに対する懲戒処分の応酬という虚しい現実は、本来教育の場にふさわしくない状況であるといわなければならない。関係者は、ともども、こうした現実が多感な生徒に及ぼす影響とこの問題に関する社会通念の在り所について真摯に考究し、適切妥当な解決のために具体的な方法を見い出すよう最大限の努力をすることが望まれる。この実りなき応酬を終息させることは、関係者全ての責任というべきである。
★ 櫻井籠子裁判官の補足意見
1月16日各第一小法廷における私の補足意見においても補足的に述ぺたところであるが、教育の現場でこのような職務命令違反行為と懲戒処分がいたずらにくり返されることは決して望ましいことではない。教育行政の責任者として、現場の教育当事者として、それぞれがこの問題に真摯に向かい合い、何が子供たちの教育にとって、また子供たちの将来にとって必要かつ適切なことかという観点に立ち、現実に即した解決策を追求していく柔軟かつ建設的な対応が期待されるところである。
★ 金築誠志裁判官の補足意見
(「平成23年6月6日第一小法廷において私の補足意見として述べたとおり」と書かれているので、その6月6日判決から紹介)もっとも、教職員に対する職務命令に起因する対立であっても、これが教育環境の悪化を招くなどした場合には、児童・生徒も影響を受けざるを得ないであろう。そうした観点からも、全ての教育関係者の慎重かつ賢明な配慮が必要とされることはいうまでもない。
★ 宮川光治裁判官の反対意見
本件のような紛争がくり返されるということは、誠に不幸なことである。こうでなければならない、こうあるべきだという思い込みが、悲惨な事態をもたらすということを、歴史は教えている。国歌を斉唱することは、国を愛することや他国を尊重することには単純には繋がらない。国歌は、一般にそれぞれの国の過去の歴史と深い関わりを有しており、他の国から見るとその評価は様々である。また、世界的に見て、入学式や卒業式等の式典において、国歌を斉唱するということが広く行われているとは考え難い。
思想の多様性を尊重する精神こそ、民主主義国家の存立の基盤であり、良き国際社会の形成にも貢献するものと考えられる。
幸いにして、近年は式典の進行を積極的に妨害するという行為はみられなくなりつつある。そうした行為は許されるものではないが、自らの真摯な歴史観等に従った不起立行為は、その行為が式典の円滑な進行を特段妨害することがない以上、少数者の思想の自由に属することとして、許容するという寛容さが求められていると思われる。関係する人々に慎重な配慮を望みたい。
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