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旧満州国の「首都」新京で日本語を教えて

2011年11月13日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 《都高教退職者会による最高裁要請行動から》
 最高裁判所第一小法廷裁判官殿
 ◎ 旧満州国の「首都」新京で日本語を教えて
2011年11月2日
東京都高等学校教職員組合・退職者会
津久井富造

 私は都立高校で38年間教師を勤め、定年退職後、中国の大学で日本語教師として勤務して今年帰国しました。国歌斉唱義務不存在確認請求訴訟の原告の一人でもあります。
 貴裁判所が「日の丸・君が代」関連の裁判で公正かつ道理にかなった判決を下されるよう、私のこれまでの経験を踏まえ、要請いたします。
 第一は国際関係です。私が2年間日本語を教えていたのは中国東北部、吉林省の長春の大学でした。旧満州国の「首都」新京です。
 満州国当時の関東軍などの建物が数多く残っていて、病院や官公署として使われています。概して市民は友好的で、私が日本人と知って親密な笑顔を見せてくれる人々に多く出会いました。
 私が日本語を教えた学生はまず100%、過去の日本の侵略の事実に対して、日本の支配層と一般の日本人は別だ、一般の日本人は戦争の被害者だという認識を持っています。そのような土地柄もあってか、幸い私は個人的に反日的言動を浴びせられたことはありませんでした。
 しかし、1931年に満州事変の起こった9月18日には、毎年、その日時と同じ数字の午前9時18分に町のあちこちや大学構内でサイレンの音が響きます「9・18を忘れるな」というサイレンです。このサイレンが鳴り、その意味を学生に初めて聞いた時、正直なところショックでした。そして、「私たち日本人も過去の誤りを忘れてはいけないのだ」と再認識しました。
 中国では歴史教育の意味合いも含めて、かっての日本軍の侵略の様子がしばしばTVドラマとして放映されます。テーマパークの舞台などでも演じられます
 その時、日本軍国主義の象徴は、「日の丸」です。私は映像や舞台で旧日本兵が日の丸の旗を振るって中国人を傷めつける場面を何回も見ました。今でも中国人の胸には「日の丸イコール日本軍国主義の象徴」という印象がはっきりと刻まれています。
 この事実は重いものです。「グローバル社会」だからこそ、過去の侵略を謙虚に反省する姿勢を持たなければいけないのではないでしょうか。
 国の姿勢に少しでも過去の侵略を美化したり、免罪したり、侵略の象徴でもあった「日の丸・君が代」の強制をする動きがあれば、中国はもちろん、韓国なども敏感に反応することは疑いありません
 第二は内心の自由についてです。貴裁判所はこれまでの「日の丸・君が代」裁判の判決で、卒業式や入学式で教職員が起立して君が代を斉唱することを、思想や良心の自由についての間接的な制約となるとしながら、その間接的な制約は必要性や合理性があると判断されています。
 これはたいへん不当な机上の空論と言わなければなりません。私は、かつて日本の侵略の象徴であった日の丸、君が代に対して起立を強制されることは到底耐えられません
 中国では、大学の行事の際、学生、教職員が起立して中国国歌を斉唱し、国旗掲揚を注目します。中国で日本語教師をしていて、何度かそういう場に参加しました。
 私は、中国国家と国民に敬意を払って、起立、注目します。そのたびに私は現在の日本の「国旗」「国歌」が侵略の歴史の象徴であったことが残念でなりませんでした。国旗、国歌に誇りをもっている中国の人々を羨ましくも思えました
 思想や良心の自由とは、極めてナイーブで奥の深いものだと思います。

 貴裁判所におかれましては、以上のことを参考にされて、国際的に見て恥ずかしくない見識を示していただきたいと思います。

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