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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教師の多忙化と健康破壊

2010年06月03日 | 人権
 《子どもの権利条約カウンターレポート(DCI)》から VIII-10-5
 ◎ 教師の多忙化と健康破壊
 (1)教師の多忙化状況

 文部科学省は、2007年5月23日付けで「教員勤務実態調査報告書」を公表した。結果は単純平均で小学校教諭が平日の残業時間1時間26分と持ち帰り仕事37分、中学校教諭で残業時間1時間56分と持ち帰り仕事22分、高校教諭で1時間44分と持ち帰り仕事29分となった。
 休日勤務も含めた1ヶ月あたりの概算は、40時間を超える残業と20時間を超える持ち帰り仕事に追われているという勤務実態が明らかとなっている。この残業時間の分布をみると、持帰り仕事を除いても、全体の33%超が1ヵ月45時間を超える。
 日本の厚生労働省が「過労死危険性ライン」を残業1ヵ月45時間超と設定していることにみるならば、3分の1以上の教師が恒常的に「過労死危険性ライン」にあるといえる(基礎報告書035)。
 こうした教員の勤務実態を反映して、日本の学校教員の若年退職者数が増加傾向にある。2007年度の文科省による「学校教員統計調査」によれば、小・中・高の教諭職で定年退職年齢である60歳以降に退職した人の数は、全体の退職者数のうち、小学校で23.2%、中学校で22.2%、高校で48.9%となっており、中でも義務教育段階である小・中学校において若年退職者の割合が高くなっている。
 また、平均退職年齢も小学校で51.9歳、中学校で49.1歳、高校で52.9歳となっており、いずれも定年よりも10歳近く早い退職を迎えている。終身雇用を原則とし、年功序列によって給与も定期的に上昇する日本型雇用のもとにあって、教員の若年退職率の高さは、上記の勤務実態の過酷さを物語っている。
 また、さらに問題なのが日本の公立学校教員の病気休職者数の急増である。表3は、近年の病気休職者数の推移である。
 病気休職者数は、2000年に4,922人であったものが、2008年には8,069人へと1.6倍以上増加している。
 中でも注目されるのが病気休職者数のうち、精神疾患による患者数の増加である。精神疾患を理由とする休職者数は、2000年に2,262人であったものが、2008年には4,995人へと2.2倍増加し、全体の休職者数に占める割合も2008年度には、61.9%に達している。
 これら病気休職者数の増加は、日本の学校現場の異常な勤務実態を反映している。

 以上のような日本の教師がおかれている異常な勤務実態は、子どもとの相互的な人間関係を形成するどころか、教師の生命への危険すら及ぼしている。国はこれらの勤務実態を放置し、教師の人間主体性を奪い、子どもへの応答責任を不能にしているといえる。
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http://www.dci-jp.com/index2.html【DCI日本支部事務所】 TEL/FAX 03-5953-5111

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