=たんぽぽ舎です。【TMM:No4366】「メディア改革」連載第85回=
◆ 公明党・山口代表が会見で「決めつけはやめなさい」
◎ 私の自宅のすぐ近くにある地主の所有する駐車場には、柏の恥と言われる自民党の桜田義孝元五輪相と公明党のポスターがある。
公明党のポスターは「携帯料金値下げの党」とある。
「人権と平和」を掲げる公明党は2019年の参院選では「小さい声を、聴く力」というスローガンを掲げていた。
◎ 作家の佐藤優氏らは「公明党が自民の暴走の歯止めになってきた」などと言うがとんでもないデマだ。
公明党が20数年、自民党と選挙互助と権力維持のためにだけ野合してきたことで、日本の政治が歪んだ。
特に、安倍晋三第二次政権以降の自公の独裁・専制政治による「行政の私物化」での、公明党の犯罪は万死に値する。
◎ その公明党の山口那津男代表は自らを「ナッチャン」と呼んで、弁護士出身の温厚な人柄と言われてきたが、7日に開かれた記者会見で、敵基地攻撃能力に関する自身の発言の変化について記者から聞かれ、「言葉尻を捉えて後退したとか、前進とかいう決めつけはやめなさい」と色をなして反論した。
山口氏は衆院選が公示された10月19日、NHKの番組で岸田氏が朝鮮民主主義人民共和国の弾道ミサイル発射実験を受け敵基地攻撃能力の保有に検討言及した際、「敵基地攻撃能力というのは昭和31年(1956年)に提起された古めかしい議論の立て方だ」と牽制(けんせい)した。
弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力に関し、公明は一貫して否定的な立場を取っている。
◎ 一方、岸田氏は10月19日、官邸で開いた国家安全保障会議(NSC)後、記者団の囲み取材に、「敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう改めて確認した」と説明した。
岸田氏は今月6日の所信表明演説では、「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と踏み込んだ。歴代首相のなかで「敵基地攻撃能力」という言葉を所信表明演説で使って、その検討の必要性に踏み込んだのは、初めてだ。
◆ 「敵基地攻撃能力」めぐる記者の質問に激怒
◎ 山口氏は岸田氏の演説後、記者団に、政府がこれから策定する新たな国家安全保障戦略は「そこ(敵基地攻撃能力の保有)に主眼があるのではなく、現在の状況をとらえ、どう対応すべきなのか、国民の理解を得ながら確立することが大切」と語っていた。
7日の会見では、こうした言いぶりについて記者団から「衆院選中は強い言葉で慎重論を言っていたのに、態度が軟化したのではないか」と問われ、山口氏は「決めつけはやめなさい」と声を荒らげた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/aea964b4adf0690c75008212668e20342bf05ea6
テレビ東京(テレ東BIZ)は6日、<冷静な記者対応で知られる公明党の山口代表が珍しく記者会見で怒った一幕>として、<そのやりとりをノーカットでご覧ください>と放送した。
https://www.youtube.com/watch?v=MZV6cVzeGgw
◎ 7日の会見の全部を公明党の公式チャンネルの動画でみた。党本部で開かれた約25分の会見は、国会にある「野党クラブ」という政権反対党を担当するキシャクラブ(日本にしかない「記者クラブ」は、海外にあるpress clubとの混同を避けるためkisha clubと英訳される)を対象に開いた。
山口氏が「お待たせしました」と挨拶して、オミクロン株に関する冒頭発言を約4分行った後、記者との質疑応答に移った。
共同通信、毎日新聞、NHK、テレビ朝日、朝日新聞の記者が、北京五輪の外交ボイコット、女系皇族、自公連立などで聞いた。
山口氏の会見は、氏名不詳の司会者が質問者を指名し、党職員がマイクを記者に渡す方法で進行している。
◎ 5人目に「敵基地攻撃」についての質問があった。メディアはこの質問をした記者を「新聞記者」とか「記者」としか報じていないが、西日本新聞東京支社の大坪拓也記者だ。
会見動画で確認すると、大坪記者は社名と名前を名乗って質問している。
西日本新聞のHPには大坪記者の記事一覧が載っている。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/813268/
◎ 山口氏の記者を威圧する発言を報じた当の西日本新聞も大坪記者の氏名を載せていない。
大坪氏は会見開始から16分20秒後、敵基地攻撃能力に関し「党内で意見を集約し有権者に示すか」などと聞いた。
山口氏は「自民の進め方も見ながら、どういう議論の在り方がふさわしいか検討していく。参院選まで通常国会や、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決める日程がある」などとして、2022年夏の参院選で争点にすることに慎重な姿勢を示した。
大坪記者は再び挙手して、社名と名前を名乗って、「衆院選中は強い言葉で慎重論を言っていたのに、態度が軟化しているのではないか」と再質問した。
◎ 山口氏は「敵基地攻撃能力は、70年前に理論的な可能性として政府が提示したが、その後、現状が大きく変わっている。現実がどうかを踏まえて議論することが大事だ」など答える中で、大坪記者を睨みつけ、「決めつけはやめなさい」と声を荒げて反論した。
激怒した時の目が怖い。
大坪記者の質問は冷静で、言葉も明瞭で何の問題もなかった。
朝日新聞(小野太郎記者)は<党内に抵抗感が強いテーマだけに、神経をとがらせているようだ>と書いた。
https://www.asahi.com/articles/ASPD754RQPD7UTFK010.html
◎ 11月末の衆院選で、第二自民党である「日本維新の会」が第3党に躍進し、国民民主党も自民党にすり寄って、公明の存在感が薄れる中、イライラが募っているのだろう。
山口氏の記者への威圧的態度はとても「民主主義国」の政権党のリーダーの撮るべき態度ではない。
◆ 無表情で抗議もしないキシャクラブ仲間の退廃
◎ 記者仲間の姿勢も民主主義国の報道記者の態度ではなかった。
山口氏の暴言の後、大坪記者本人も含め、山口氏の暴言に誰も抗議しない。
会見場では14分ぐらい重い雰囲気の沈黙があり、読売新聞の前田記者が挙手。
前田記者は何もなかったように、岸田政権が新設した経済安全保障担当相に関して質問した。前田記者は公明党や山口氏に「理解」のある記者なのだろう。
海外なら、こういう時には、長老の記者が「今の物言いは党首としていかがか」などと反撃し、発言の撤回を求めると思う。会見の席で、無表情でパソコンを叩く記者たちを見ていると、これでは権力の監視などできるはずがないと思う。
◆ 「平和の党」の看板掲げる公明党の焦りか
◎ 自民党は防衛・憲法問題で考え方の近い「維新」、「国民」を味方にして、壊憲の動きを強めるだろう。
御用メディアは「岸田氏はハト派」と宣伝しているがとんでもないデマだ。
歴代政権がとってきた「敵基地攻撃を目的とした装備は考えていない」(2005年当時、大野功統防衛庁長官)という方針を覆そうとしている危険な首相だ。
◎ 山口氏は6日の自民党安倍派の政治資金パーティーで、「来年の参院選を自民、公明両党で勝ってこそ、本当の意味で岸田政権の安定と、国民が期待する政策実行につながる」と挨拶したが、敵基地攻撃能力保有を容認すれば、党是である非戦・平和主義を完全に放棄することになる。そうなれば公明党は解散するしかないだろう。
◆ 公明党・山口代表が会見で「決めつけはやめなさい」
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)
◎ 私の自宅のすぐ近くにある地主の所有する駐車場には、柏の恥と言われる自民党の桜田義孝元五輪相と公明党のポスターがある。
公明党のポスターは「携帯料金値下げの党」とある。
「人権と平和」を掲げる公明党は2019年の参院選では「小さい声を、聴く力」というスローガンを掲げていた。
◎ 作家の佐藤優氏らは「公明党が自民の暴走の歯止めになってきた」などと言うがとんでもないデマだ。
公明党が20数年、自民党と選挙互助と権力維持のためにだけ野合してきたことで、日本の政治が歪んだ。
特に、安倍晋三第二次政権以降の自公の独裁・専制政治による「行政の私物化」での、公明党の犯罪は万死に値する。
◎ その公明党の山口那津男代表は自らを「ナッチャン」と呼んで、弁護士出身の温厚な人柄と言われてきたが、7日に開かれた記者会見で、敵基地攻撃能力に関する自身の発言の変化について記者から聞かれ、「言葉尻を捉えて後退したとか、前進とかいう決めつけはやめなさい」と色をなして反論した。
山口氏は衆院選が公示された10月19日、NHKの番組で岸田氏が朝鮮民主主義人民共和国の弾道ミサイル発射実験を受け敵基地攻撃能力の保有に検討言及した際、「敵基地攻撃能力というのは昭和31年(1956年)に提起された古めかしい議論の立て方だ」と牽制(けんせい)した。
弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力に関し、公明は一貫して否定的な立場を取っている。
◎ 一方、岸田氏は10月19日、官邸で開いた国家安全保障会議(NSC)後、記者団の囲み取材に、「敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう改めて確認した」と説明した。
岸田氏は今月6日の所信表明演説では、「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と踏み込んだ。歴代首相のなかで「敵基地攻撃能力」という言葉を所信表明演説で使って、その検討の必要性に踏み込んだのは、初めてだ。
◆ 「敵基地攻撃能力」めぐる記者の質問に激怒
◎ 山口氏は岸田氏の演説後、記者団に、政府がこれから策定する新たな国家安全保障戦略は「そこ(敵基地攻撃能力の保有)に主眼があるのではなく、現在の状況をとらえ、どう対応すべきなのか、国民の理解を得ながら確立することが大切」と語っていた。
7日の会見では、こうした言いぶりについて記者団から「衆院選中は強い言葉で慎重論を言っていたのに、態度が軟化したのではないか」と問われ、山口氏は「決めつけはやめなさい」と声を荒らげた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/aea964b4adf0690c75008212668e20342bf05ea6
テレビ東京(テレ東BIZ)は6日、<冷静な記者対応で知られる公明党の山口代表が珍しく記者会見で怒った一幕>として、<そのやりとりをノーカットでご覧ください>と放送した。
https://www.youtube.com/watch?v=MZV6cVzeGgw
◎ 7日の会見の全部を公明党の公式チャンネルの動画でみた。党本部で開かれた約25分の会見は、国会にある「野党クラブ」という政権反対党を担当するキシャクラブ(日本にしかない「記者クラブ」は、海外にあるpress clubとの混同を避けるためkisha clubと英訳される)を対象に開いた。
山口氏が「お待たせしました」と挨拶して、オミクロン株に関する冒頭発言を約4分行った後、記者との質疑応答に移った。
共同通信、毎日新聞、NHK、テレビ朝日、朝日新聞の記者が、北京五輪の外交ボイコット、女系皇族、自公連立などで聞いた。
山口氏の会見は、氏名不詳の司会者が質問者を指名し、党職員がマイクを記者に渡す方法で進行している。
◎ 5人目に「敵基地攻撃」についての質問があった。メディアはこの質問をした記者を「新聞記者」とか「記者」としか報じていないが、西日本新聞東京支社の大坪拓也記者だ。
会見動画で確認すると、大坪記者は社名と名前を名乗って質問している。
西日本新聞のHPには大坪記者の記事一覧が載っている。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/813268/
◎ 山口氏の記者を威圧する発言を報じた当の西日本新聞も大坪記者の氏名を載せていない。
大坪氏は会見開始から16分20秒後、敵基地攻撃能力に関し「党内で意見を集約し有権者に示すか」などと聞いた。
山口氏は「自民の進め方も見ながら、どういう議論の在り方がふさわしいか検討していく。参院選まで通常国会や、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決める日程がある」などとして、2022年夏の参院選で争点にすることに慎重な姿勢を示した。
大坪記者は再び挙手して、社名と名前を名乗って、「衆院選中は強い言葉で慎重論を言っていたのに、態度が軟化しているのではないか」と再質問した。
◎ 山口氏は「敵基地攻撃能力は、70年前に理論的な可能性として政府が提示したが、その後、現状が大きく変わっている。現実がどうかを踏まえて議論することが大事だ」など答える中で、大坪記者を睨みつけ、「決めつけはやめなさい」と声を荒げて反論した。
激怒した時の目が怖い。
大坪記者の質問は冷静で、言葉も明瞭で何の問題もなかった。
朝日新聞(小野太郎記者)は<党内に抵抗感が強いテーマだけに、神経をとがらせているようだ>と書いた。
https://www.asahi.com/articles/ASPD754RQPD7UTFK010.html
◎ 11月末の衆院選で、第二自民党である「日本維新の会」が第3党に躍進し、国民民主党も自民党にすり寄って、公明の存在感が薄れる中、イライラが募っているのだろう。
山口氏の記者への威圧的態度はとても「民主主義国」の政権党のリーダーの撮るべき態度ではない。
◆ 無表情で抗議もしないキシャクラブ仲間の退廃
◎ 記者仲間の姿勢も民主主義国の報道記者の態度ではなかった。
山口氏の暴言の後、大坪記者本人も含め、山口氏の暴言に誰も抗議しない。
会見場では14分ぐらい重い雰囲気の沈黙があり、読売新聞の前田記者が挙手。
前田記者は何もなかったように、岸田政権が新設した経済安全保障担当相に関して質問した。前田記者は公明党や山口氏に「理解」のある記者なのだろう。
海外なら、こういう時には、長老の記者が「今の物言いは党首としていかがか」などと反撃し、発言の撤回を求めると思う。会見の席で、無表情でパソコンを叩く記者たちを見ていると、これでは権力の監視などできるはずがないと思う。
◆ 「平和の党」の看板掲げる公明党の焦りか
◎ 自民党は防衛・憲法問題で考え方の近い「維新」、「国民」を味方にして、壊憲の動きを強めるだろう。
御用メディアは「岸田氏はハト派」と宣伝しているがとんでもないデマだ。
歴代政権がとってきた「敵基地攻撃を目的とした装備は考えていない」(2005年当時、大野功統防衛庁長官)という方針を覆そうとしている危険な首相だ。
◎ 山口氏は6日の自民党安倍派の政治資金パーティーで、「来年の参院選を自民、公明両党で勝ってこそ、本当の意味で岸田政権の安定と、国民が期待する政策実行につながる」と挨拶したが、敵基地攻撃能力保有を容認すれば、党是である非戦・平和主義を完全に放棄することになる。そうなれば公明党は解散するしかないだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます