《『大阪ネットニュース』から》
◆ 「表現の不自由展かんさい」を振り返って
7月16日~18日の3日間、エル・おおさかにおいて、「表現の不自由展 かんさい」が開催されたことは、ニュースなどでご存じの方も多いと思います。
このイベントは、2年前のあいちトリエンナーレで、鑑賞の機会を十分に与えられなかった芸術作品に出会いたいと願う市民によって実行委員会が結成されました。
実行委員会のメンバーは、「慰安婦」問題・「ひのきみ」問題・教科書問題・在日朝鮮人問題など、様々な課題に関わる市民活動の知り合いにも声をかけ、関わるメンバーがどんどん拡大していきました。さらに、ネトウヨや街宣右翼の攻撃も予想されたため、鶴橋などでのヘイトスピーチに対するカウンターを地道に続けているメンバーにも声がかけられ、
開催当日のスタッフや警備にも多くの人員が必要になるということで、大阪全労協・おおさかユニオンネットワークなどに結集している労働組合にも組織的な協力が呼び掛けられました。
当日は、コロナ対策のために入場者が千三百人に制限されていたにもかかわらず、その数倍もの希望者が会場を訪れたことで、整理券の配布や、入場者の時間制限も必要でした。しかも、警備上の必要から手荷物検査なども加わり、スタッフは休む時間もなく係に当たらざるを得ない場面もありました。
実施の3週間前に、会場の指定管理者から「使用取消」の連絡を受けるという、予想外の攻撃もありましたが、弁護団の迅速な対応で大阪地裁に差し止め請求を行い、地裁も短期間で「会場側の処分を執行停止とし、実行委員会に会場の使用を認めること」を決定しました。
さらに相手方の即時抗告・特別抗告もありましたが、憲法21条に規定される表現の自由を制限できるのは、「公共の安全に対する明白かつ現在の危険があると言える場合に限られる」という判決が確定しました。
そして、その判決に基づいて、最終的には会揚の指定管理者や警察とも危険を排除するための入念な打ち合わせができたことが実施に向けて大きな力になったのではないでしょうか。
「公的機関は表現の自由に対する攻撃に屈してはならない」という前提のもと、様々な妨害をはねのけて企画を成功裏に終えることができたことは、今後の運動にもおおいに活かすことができると思います。
さらに、その過程で、様々な市民団体が、会場の指定管理者や大阪府に対して抗議文を提出したり、使用取消の経過に関する情報公開を大阪府にしたことも大きな力になりました。
マスコミは、エルおおさかへのネトウヨや街宣右翼の抗議活動などを中心に報道しましたが、実際には開催を応援する立場での行動も様々な形でおこなわれていたのです。この企画の成功は、大阪(かんさい)の様々な反差別・反権力運動の自然発生的な連携と連帯にあったと言っても過言ではないと思います。
一方で、会場の向かい側で、3日間も露骨なヘイトスピーチを受け続ける中での開催であったことは、今後の反省点としてあります。一部では、この企画に反対する言動も表現の自由であるというような言説も見られましたが、相手の基本的人権にかかわる権利を、暴力的な言動によって抑圧する自由は存在しないこと、ヘイトスピトチに対しては、公権力は毅然と対応すべきであることを今後の運動の中でも訴え続けていくべきだと思います。
また、会場の指定管理者が「使用取消」を決定した過程が、事後の情報公開で明らかになってきています。
「知事レク」と称される、吉村大阪府知事への説明と知事の意見表明の場が3回も開かれていたのです。その中で、知事の意見への忖度として「使用取消」が決定されたこと、その他にも「使用取消」を指定管理者に圧力をかけていた存在があったことは、今後追求していく課題として残っています。
最後に、自由や人権、そして平和の実現は、黙っていても勝ち取れない。声を挙げ、行動する中でしか実現できないことが改めてはっきりした企画だったと思います。
『「日の丸・君が代」強制反対、不起立処分を撤回させる大阪ネットワークニュース』(2021年9月5日)
◆ 「表現の不自由展かんさい」を振り返って
グループZAZA 増田俊道
7月16日~18日の3日間、エル・おおさかにおいて、「表現の不自由展 かんさい」が開催されたことは、ニュースなどでご存じの方も多いと思います。
このイベントは、2年前のあいちトリエンナーレで、鑑賞の機会を十分に与えられなかった芸術作品に出会いたいと願う市民によって実行委員会が結成されました。
実行委員会のメンバーは、「慰安婦」問題・「ひのきみ」問題・教科書問題・在日朝鮮人問題など、様々な課題に関わる市民活動の知り合いにも声をかけ、関わるメンバーがどんどん拡大していきました。さらに、ネトウヨや街宣右翼の攻撃も予想されたため、鶴橋などでのヘイトスピーチに対するカウンターを地道に続けているメンバーにも声がかけられ、
開催当日のスタッフや警備にも多くの人員が必要になるということで、大阪全労協・おおさかユニオンネットワークなどに結集している労働組合にも組織的な協力が呼び掛けられました。
当日は、コロナ対策のために入場者が千三百人に制限されていたにもかかわらず、その数倍もの希望者が会場を訪れたことで、整理券の配布や、入場者の時間制限も必要でした。しかも、警備上の必要から手荷物検査なども加わり、スタッフは休む時間もなく係に当たらざるを得ない場面もありました。
実施の3週間前に、会場の指定管理者から「使用取消」の連絡を受けるという、予想外の攻撃もありましたが、弁護団の迅速な対応で大阪地裁に差し止め請求を行い、地裁も短期間で「会場側の処分を執行停止とし、実行委員会に会場の使用を認めること」を決定しました。
さらに相手方の即時抗告・特別抗告もありましたが、憲法21条に規定される表現の自由を制限できるのは、「公共の安全に対する明白かつ現在の危険があると言える場合に限られる」という判決が確定しました。
そして、その判決に基づいて、最終的には会揚の指定管理者や警察とも危険を排除するための入念な打ち合わせができたことが実施に向けて大きな力になったのではないでしょうか。
「公的機関は表現の自由に対する攻撃に屈してはならない」という前提のもと、様々な妨害をはねのけて企画を成功裏に終えることができたことは、今後の運動にもおおいに活かすことができると思います。
さらに、その過程で、様々な市民団体が、会場の指定管理者や大阪府に対して抗議文を提出したり、使用取消の経過に関する情報公開を大阪府にしたことも大きな力になりました。
マスコミは、エルおおさかへのネトウヨや街宣右翼の抗議活動などを中心に報道しましたが、実際には開催を応援する立場での行動も様々な形でおこなわれていたのです。この企画の成功は、大阪(かんさい)の様々な反差別・反権力運動の自然発生的な連携と連帯にあったと言っても過言ではないと思います。
一方で、会場の向かい側で、3日間も露骨なヘイトスピーチを受け続ける中での開催であったことは、今後の反省点としてあります。一部では、この企画に反対する言動も表現の自由であるというような言説も見られましたが、相手の基本的人権にかかわる権利を、暴力的な言動によって抑圧する自由は存在しないこと、ヘイトスピトチに対しては、公権力は毅然と対応すべきであることを今後の運動の中でも訴え続けていくべきだと思います。
また、会場の指定管理者が「使用取消」を決定した過程が、事後の情報公開で明らかになってきています。
「知事レク」と称される、吉村大阪府知事への説明と知事の意見表明の場が3回も開かれていたのです。その中で、知事の意見への忖度として「使用取消」が決定されたこと、その他にも「使用取消」を指定管理者に圧力をかけていた存在があったことは、今後追求していく課題として残っています。
最後に、自由や人権、そして平和の実現は、黙っていても勝ち取れない。声を挙げ、行動する中でしか実現できないことが改めてはっきりした企画だったと思います。
『「日の丸・君が代」強制反対、不起立処分を撤回させる大阪ネットワークニュース』(2021年9月5日)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます