◆ 文科省が採択のやり直しルール作りをしています
皆さま 高嶋伸欣です
連休中をどうお過ごしですか。
少し余裕のあるこの時期に注目して頂きたい話題があります。
1、それは文科省が、一度採択をしたら4年間は変更を認めていなかった小中学校の教科書採択について、やり直しを認める新たな特例規定を設けようとしていることについてです。
2.これまでも特例規定はありましたが、教科書会社の倒産などで発行がされなくなった場合のものでした。ところが今度は違うのです。
3.新たに、小中学校の教科書採択で明白な不公正行為があったことが判明した場合に、4年間の同一教科書使用義務期間中でも、採択をやりなおせることにする、というのです。
4.そのための新たな省令(無償措置法施行規則)改正案(既定の新設)を4月27日に公表し、一般からの意見を求めるパブリックコメント(5月26日まで)にかけています。
5.このことをマスコミはほとんど報道していませんが、大きな意味のあることではないかと、思われます。
何かと硬直した検定・採択制度の運用が問題にされてきたところで、文科省自身が制度の弾力化に着手したことになります。
6.そうなった要因の一つは、2011年の教科書採択で沖縄・八重山地区の公民教科書をめぐって紛糾し、竹富町教委が採択した分については、14年度までの3年間は無償制を適用できず、4年目の15年度だけ適用という状況に、文科省側が追い込まれたという事実の存在です。
文科省自身が、同一教科書の無償給与は4年間変更しないという制度に整合しない事態を黙認したのでした。
7.そこへ、最近は教科書会社による検定・採択終了以前の謝礼金問題が浮上しました。
その話題に勢いづいたのが「脅し」の政治家・義家弘介文科副大臣で、教科書採択のやり直しや教科書発行資格の取消などの「脅し」を繰り返したことが、報道されています。
8.今回新設される規定は、4年間の途中でも採択の変更を可能とする「同一教科用図書の採択の特例」の条項に、次のような項目を加え、特例の範囲とその場合の期間を示すというものです。
9.<案>「採択した教科用図書の採択に関し発行者その他の教科用図書の採択に直接の利害関係を有する者の不公正な行為があったと認められる場合、当該採択に関し不公正な行為があったと認められる教科用図書を採択していた期間」
10.ところで、ことの発端になった謝礼金問題は公正取引委員会が教科書会社22社を同「容疑」で取り調べていますが、せいぜい警告か注意という行政指導ぐらいにしかならないだろう、というのが法律専門家などの見立てです。
義家政務官の「脅し」は空振りになりそうです。
11.けれども、それとは別に大阪と広島・呉市では、育鵬社版の採択に向けた露骨な不公正行為の存在が次々と発覚してきています。
この省令改正による採択やり直しの適用第1号と第2号が、育鵬社版採択のケースになる可能性が高まってきているわけです。
12.この偶然とも思える好機を活用しようではありませんか。保守派も今さら「省令改正を取りやめにしろ」とは言えないはずです。
13.ただしです。上記9、の<案>では、適用条件を極めて限定的にしています。しかも、厳密に読むと、教育委員会自身ではなく、教科書発行者(会社)など教委の外部の利害関係者による不公正な行為があった場合に限定しているようにも読めます。
14.大阪と呉の事例は、すでに地元の皆さんが公表し、『週刊金曜日』誌上などで繰り返し説明されているように、明らかに教育委員会での採択過程における不公正・違法な行為であって、教委自身も不公正・違法行為を演じているものです。
特に呉市の場合は、採択のための教科書比較資料を改ざんしたり、指導主事が規定違反の介入行為をしたことが確認されています。そのようにして特定の教科書を教委が強引に採択しているケースを、この<案>はきちんと想定していないという点です。
15.呉市の件についてはすでに国会で質問され、馳大臣が状況を問題であると認識していることが明らかになっています。
16.そうであるならば、この新規定には「教科用図書の採択に直接の利害関係を有する者」だけでなく「教育委員会関係者」も付け加えた案にされるべきです。
17.その上でなお完璧を期すのであれば、不公正・違法な行為を防げなかった、あるいは教委関係者自身が不公正・違法な行為をしたのであれば「臨時に第三者委員会を設置して採択をやり直さなければならない」などというくらいの厳しさで、教委に責任があることを明確にする規定にすべきです。
18.そこで、皆さんへのお願いです。
パブリックコメントに掛けられているこの機会を利用して、大阪や呉の事例にこの新規定が確実に適用されるように、皆さんから修正意見、あるいは別建ての「採択やり直し義務付け規定」を新設するようにという意見を出していただけないでしょうか。
19.そうした社会的要求に対応せざるをえないという認識を馳大臣などに持たせるために、連休明けには、公正取引委員会に対して、大阪での扶桑社版採択が、金銭の授受とは関係なく明らかに不公正・違法なものであったとする申告(告発)をし、文科省にも働きかけることを私たちは予定しています。
20.そうした取り組みと並行して、上記18.のパブリックコメントへの対応を全国の皆さんにお願いする次第です。
21.この件のパブリックコメントの手続きなどについては、下記のパブリックコメント一覧を開き、<教育 4月27日>を目安にして検索することができます。
手続きはかなり煩雑ですが、この連休中にでも粘り強く、意見表明を宜しくお願いいたします。
以上 文責は高嶋です 転載・拡散は自由です
※ 文科省のパブコメの要領をアップしてもらいました。
【案件番号:185000827】 「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の実施について
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「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の実施について
案件番号 185000827
定めようとする命令等の題名 ・義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案
根拠法令項 ・義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和39年政令第14号)第15条第2項及び第3項
行政手続法に基づく手続であるか否か 行政手続法に基づく手続
問合せ先
(所管府省・部局名等) 文部科学省初等中等教育局教科書課
案の公示日 2016年04月27日
意見・情報受付開始日 2016年04月27日
意見・情報受付締切日 2016年05月26日
皆さま 高嶋伸欣です
連休中をどうお過ごしですか。
少し余裕のあるこの時期に注目して頂きたい話題があります。
1、それは文科省が、一度採択をしたら4年間は変更を認めていなかった小中学校の教科書採択について、やり直しを認める新たな特例規定を設けようとしていることについてです。
2.これまでも特例規定はありましたが、教科書会社の倒産などで発行がされなくなった場合のものでした。ところが今度は違うのです。
3.新たに、小中学校の教科書採択で明白な不公正行為があったことが判明した場合に、4年間の同一教科書使用義務期間中でも、採択をやりなおせることにする、というのです。
4.そのための新たな省令(無償措置法施行規則)改正案(既定の新設)を4月27日に公表し、一般からの意見を求めるパブリックコメント(5月26日まで)にかけています。
5.このことをマスコミはほとんど報道していませんが、大きな意味のあることではないかと、思われます。
何かと硬直した検定・採択制度の運用が問題にされてきたところで、文科省自身が制度の弾力化に着手したことになります。
6.そうなった要因の一つは、2011年の教科書採択で沖縄・八重山地区の公民教科書をめぐって紛糾し、竹富町教委が採択した分については、14年度までの3年間は無償制を適用できず、4年目の15年度だけ適用という状況に、文科省側が追い込まれたという事実の存在です。
文科省自身が、同一教科書の無償給与は4年間変更しないという制度に整合しない事態を黙認したのでした。
7.そこへ、最近は教科書会社による検定・採択終了以前の謝礼金問題が浮上しました。
その話題に勢いづいたのが「脅し」の政治家・義家弘介文科副大臣で、教科書採択のやり直しや教科書発行資格の取消などの「脅し」を繰り返したことが、報道されています。
8.今回新設される規定は、4年間の途中でも採択の変更を可能とする「同一教科用図書の採択の特例」の条項に、次のような項目を加え、特例の範囲とその場合の期間を示すというものです。
9.<案>「採択した教科用図書の採択に関し発行者その他の教科用図書の採択に直接の利害関係を有する者の不公正な行為があったと認められる場合、当該採択に関し不公正な行為があったと認められる教科用図書を採択していた期間」
10.ところで、ことの発端になった謝礼金問題は公正取引委員会が教科書会社22社を同「容疑」で取り調べていますが、せいぜい警告か注意という行政指導ぐらいにしかならないだろう、というのが法律専門家などの見立てです。
義家政務官の「脅し」は空振りになりそうです。
11.けれども、それとは別に大阪と広島・呉市では、育鵬社版の採択に向けた露骨な不公正行為の存在が次々と発覚してきています。
この省令改正による採択やり直しの適用第1号と第2号が、育鵬社版採択のケースになる可能性が高まってきているわけです。
12.この偶然とも思える好機を活用しようではありませんか。保守派も今さら「省令改正を取りやめにしろ」とは言えないはずです。
13.ただしです。上記9、の<案>では、適用条件を極めて限定的にしています。しかも、厳密に読むと、教育委員会自身ではなく、教科書発行者(会社)など教委の外部の利害関係者による不公正な行為があった場合に限定しているようにも読めます。
14.大阪と呉の事例は、すでに地元の皆さんが公表し、『週刊金曜日』誌上などで繰り返し説明されているように、明らかに教育委員会での採択過程における不公正・違法な行為であって、教委自身も不公正・違法行為を演じているものです。
特に呉市の場合は、採択のための教科書比較資料を改ざんしたり、指導主事が規定違反の介入行為をしたことが確認されています。そのようにして特定の教科書を教委が強引に採択しているケースを、この<案>はきちんと想定していないという点です。
15.呉市の件についてはすでに国会で質問され、馳大臣が状況を問題であると認識していることが明らかになっています。
16.そうであるならば、この新規定には「教科用図書の採択に直接の利害関係を有する者」だけでなく「教育委員会関係者」も付け加えた案にされるべきです。
17.その上でなお完璧を期すのであれば、不公正・違法な行為を防げなかった、あるいは教委関係者自身が不公正・違法な行為をしたのであれば「臨時に第三者委員会を設置して採択をやり直さなければならない」などというくらいの厳しさで、教委に責任があることを明確にする規定にすべきです。
18.そこで、皆さんへのお願いです。
パブリックコメントに掛けられているこの機会を利用して、大阪や呉の事例にこの新規定が確実に適用されるように、皆さんから修正意見、あるいは別建ての「採択やり直し義務付け規定」を新設するようにという意見を出していただけないでしょうか。
19.そうした社会的要求に対応せざるをえないという認識を馳大臣などに持たせるために、連休明けには、公正取引委員会に対して、大阪での扶桑社版採択が、金銭の授受とは関係なく明らかに不公正・違法なものであったとする申告(告発)をし、文科省にも働きかけることを私たちは予定しています。
20.そうした取り組みと並行して、上記18.のパブリックコメントへの対応を全国の皆さんにお願いする次第です。
21.この件のパブリックコメントの手続きなどについては、下記のパブリックコメント一覧を開き、<教育 4月27日>を目安にして検索することができます。
手続きはかなり煩雑ですが、この連休中にでも粘り強く、意見表明を宜しくお願いいたします。
以上 文責は高嶋です 転載・拡散は自由です
※ 文科省のパブコメの要領をアップしてもらいました。
【案件番号:185000827】 「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の実施について
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「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の実施について
案件番号 185000827
定めようとする命令等の題名 ・義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則の一部を改正する省令案
根拠法令項 ・義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和39年政令第14号)第15条第2項及び第3項
行政手続法に基づく手続であるか否か 行政手続法に基づく手続
問合せ先
(所管府省・部局名等) 文部科学省初等中等教育局教科書課
案の公示日 2016年04月27日
意見・情報受付開始日 2016年04月27日
意見・情報受付締切日 2016年05月26日
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