◆ <情報>山川出版の中学歴史教科書に「集団自決」記述を求める要望書です
皆さま 高嶋伸欣です
今日3月26日は、1942年のこの日、米軍が沖縄本島西の慶良間諸島に上陸し、沖縄での地上戦(沖縄戦)が始まった日です。しかも米軍上陸とともに、島の各地で「集団自決(強制集団死)」の悲劇がおきたのでした。
その節目になる日の前日3月25日の沖縄の新聞各紙が伝えたのが、中学校歴史教科書に新規参入した山川版では、沖縄戦記述で「集団自決」に全く言及していないまま検定に合格したという事実でした。
この事態に対し、「9・29県民大会決議を実現させる会」はこのまま見過ごすことはできないとして、各組織からの世話人による定例会(25日)で態度表明することを決め、即日(25日午後4時半)から緊急の記者会見を沖縄県庁記者クラブで行いました。
その際に公表した『声明』は添付の通りです。ご覧いただければ幸いです。
記者会見の様子は、今朝の地元紙で報道されましたのそれらの記事も添付しました。
*4時半からの記者会見でしたが、TVカメラも多数待ち構え、記者も二重三重にいましたので、驚きました。夕方6時過ぎからのローカルニュースで放映し、詳しい解説をした局もありました。
ところで、添付資料(略)の『詳説 日本史』の「沖縄戦」記述の変遷をご覧ください。
Aは、それ以前の執筆者の伊藤隆氏から加藤陽子氏に交代した最初の版です。
伊藤氏の時代にはなかった「日本軍の島民に対する残虐行為」(住民虐殺のこと)、「集団自決の強要など生じた」との記述が初めて登場し、執筆者交代の”効果”を私たちは実感したものでした。
B=ところが、2005年度検定に提出された『詳説 日本史』の白表紙本では上記の記述がすべて削除されそのまま検定に合格したのです。
最近の教科書問題で議論の対象になっているのは、歴史修正主義による政治的圧力やそうした政治力に迎合した検定による圧力を執筆者が忖度して、原稿本(白表紙本)の段階でそれまでは検定に合格していた記述を取り下げてしまうケースが多出するようになっていることです。
このBが、それに該当します。
ただし、この時、沖縄県内を含め、私たちはこの事態にたいして粘り強く抗議して是正を求めるということにあまり取り組みませんでした。批判・抗議の声を上げましたが、一過性で終わった観は否めません。
そして、そうした沖縄からの反発が強烈でなかったことを見透かしたようにして引き起こされたのが、2006年度の「日本史」検定での「集団自決」記述歪曲検定事件ということになります。
こうした経過から、Bの『詳説 日本史』は、
①2007年9月29日の「県民大会」の起因となる「集団自決」記述歪曲検定事件を誘発させる”露払い役”を、結果として果たした意味と責任は重い。
②8冊ある高校「日本史B」教科書の中で、『詳説 日本史B』が単独で63%の占有率を占めている実情に照らして、このままでは「日本史B」を学ぶ高校生の半分以上が沖縄戦についての重要な実態を知る機会を得られなくなるなどの問題点が指摘されます。
そこで「9・29県民大会決議を実現させる会」は毎年実行している「東京要請行動」の際に、山川出版社を訪問して、沖縄戦の記述をAに戻すように要望をし続けました。
けれども、2007年度用から2016年度用までの10年間、要望は聞き入れられませんでした。
ところが、2015年度検定でも同様の記述の白表紙本を提出してそのまま検定合格して採択も終わっていた2016年9月5日に山川出版社は「集団自決」の表記を復活させる訂正申請をしていたことが、Cの記事にあるように同年12月に判明しました。
この結果、現行版でもある『詳説 日本史 改定版』のDでは、とりあえず「集団自決」の語が記載されています。
以上の経過を経ているにもかかわらず、山川出版社は新規参入した中学歴史教科書でAはもちろんDのレベルの記述でもないBの記述の白表紙本を検定に提出し、合格の判定を得たのです。
この事態を「実現させる会」は看過できないとしています。
理由は
1)上記の経過から「集団自決」記述をめぐる議論の到達点や社会的共通理解を、山川出版社が認識していないとは思えない
2)山川出版自身が『詳説 日本史 改定版』でCの訂正申請(16年9月)を実行して2年以上を経過した2019年4月の検定申請において、Cの訂正申請以前のBレベルの記述の白表紙本を提出したことは、言行不一致で教科書発行者として社会的信頼性を欠く。
3)さらに、Cの記事で明らかにされているように、山川出版社は「集団自決」を加筆するための訂正申請の理由を「誤記」としている。そうであれば、今回の中学歴史教科書の「集団自決」の語が欠けている記述は「誤記」ということになる。
一方で「誤記」と自ら主張していながら、その「誤記」相当の記述を新たな検定に際して平然と用いている行動に論理性、公正性を見出すことはできない。
4)加えて、上記3)の問題は検定審議会、文科大臣は訂正申請で「誤記」とする根拠を承認した以上は、同様の記述に対して今回の検定で「誤記である」との検定意見を付さなかったのは、論理矛盾であり、職務怠慢として責任を問わざるをえない
5)加えて上記1)~3)は山川出版社側に何かうかがい知れない確信犯的要因の存在が想像され、不可解である。主たる教材発行者のありようとして不透明感を拭えない
などです。
以上 長くなりましたがとりあえずの状況報告で、」文責は・茲任后 。
転送・拡散は自由です
*ちなみに「実現させる会」は、07年の「集団自決」歪曲検定問題の際、検定結果が判明した07年4月上旬において「検定結果が教科書記述の最終決定ではない。夏の採択を経て08年4月に生徒の手に渡す供給本の印刷に着手する07年12月までに、記述を是正する訂正申請の機会がまだある。そのためには沖縄県民が声をそろえて文科省や執筆者に迫ることが必要だ。そのための行動を起こそう!」という呼びかけによって「9・29県民大会」が実現したのと同様に、今回の件も沖縄県内の民意の動向が重要な意味を持つと考えています。
沖縄県外の皆さんからの声も大きな支えになります。まずはこの状況認識の共有化を宜しくお願いいたします。
皆さま 高嶋伸欣です
今日3月26日は、1942年のこの日、米軍が沖縄本島西の慶良間諸島に上陸し、沖縄での地上戦(沖縄戦)が始まった日です。しかも米軍上陸とともに、島の各地で「集団自決(強制集団死)」の悲劇がおきたのでした。
その節目になる日の前日3月25日の沖縄の新聞各紙が伝えたのが、中学校歴史教科書に新規参入した山川版では、沖縄戦記述で「集団自決」に全く言及していないまま検定に合格したという事実でした。
この事態に対し、「9・29県民大会決議を実現させる会」はこのまま見過ごすことはできないとして、各組織からの世話人による定例会(25日)で態度表明することを決め、即日(25日午後4時半)から緊急の記者会見を沖縄県庁記者クラブで行いました。
その際に公表した『声明』は添付の通りです。ご覧いただければ幸いです。
記者会見の様子は、今朝の地元紙で報道されましたのそれらの記事も添付しました。
*4時半からの記者会見でしたが、TVカメラも多数待ち構え、記者も二重三重にいましたので、驚きました。夕方6時過ぎからのローカルニュースで放映し、詳しい解説をした局もありました。
ところで、添付資料(略)の『詳説 日本史』の「沖縄戦」記述の変遷をご覧ください。
Aは、それ以前の執筆者の伊藤隆氏から加藤陽子氏に交代した最初の版です。
伊藤氏の時代にはなかった「日本軍の島民に対する残虐行為」(住民虐殺のこと)、「集団自決の強要など生じた」との記述が初めて登場し、執筆者交代の”効果”を私たちは実感したものでした。
B=ところが、2005年度検定に提出された『詳説 日本史』の白表紙本では上記の記述がすべて削除されそのまま検定に合格したのです。
最近の教科書問題で議論の対象になっているのは、歴史修正主義による政治的圧力やそうした政治力に迎合した検定による圧力を執筆者が忖度して、原稿本(白表紙本)の段階でそれまでは検定に合格していた記述を取り下げてしまうケースが多出するようになっていることです。
このBが、それに該当します。
ただし、この時、沖縄県内を含め、私たちはこの事態にたいして粘り強く抗議して是正を求めるということにあまり取り組みませんでした。批判・抗議の声を上げましたが、一過性で終わった観は否めません。
そして、そうした沖縄からの反発が強烈でなかったことを見透かしたようにして引き起こされたのが、2006年度の「日本史」検定での「集団自決」記述歪曲検定事件ということになります。
こうした経過から、Bの『詳説 日本史』は、
①2007年9月29日の「県民大会」の起因となる「集団自決」記述歪曲検定事件を誘発させる”露払い役”を、結果として果たした意味と責任は重い。
②8冊ある高校「日本史B」教科書の中で、『詳説 日本史B』が単独で63%の占有率を占めている実情に照らして、このままでは「日本史B」を学ぶ高校生の半分以上が沖縄戦についての重要な実態を知る機会を得られなくなるなどの問題点が指摘されます。
そこで「9・29県民大会決議を実現させる会」は毎年実行している「東京要請行動」の際に、山川出版社を訪問して、沖縄戦の記述をAに戻すように要望をし続けました。
けれども、2007年度用から2016年度用までの10年間、要望は聞き入れられませんでした。
ところが、2015年度検定でも同様の記述の白表紙本を提出してそのまま検定合格して採択も終わっていた2016年9月5日に山川出版社は「集団自決」の表記を復活させる訂正申請をしていたことが、Cの記事にあるように同年12月に判明しました。
この結果、現行版でもある『詳説 日本史 改定版』のDでは、とりあえず「集団自決」の語が記載されています。
以上の経過を経ているにもかかわらず、山川出版社は新規参入した中学歴史教科書でAはもちろんDのレベルの記述でもないBの記述の白表紙本を検定に提出し、合格の判定を得たのです。
この事態を「実現させる会」は看過できないとしています。
理由は
1)上記の経過から「集団自決」記述をめぐる議論の到達点や社会的共通理解を、山川出版社が認識していないとは思えない
2)山川出版自身が『詳説 日本史 改定版』でCの訂正申請(16年9月)を実行して2年以上を経過した2019年4月の検定申請において、Cの訂正申請以前のBレベルの記述の白表紙本を提出したことは、言行不一致で教科書発行者として社会的信頼性を欠く。
3)さらに、Cの記事で明らかにされているように、山川出版社は「集団自決」を加筆するための訂正申請の理由を「誤記」としている。そうであれば、今回の中学歴史教科書の「集団自決」の語が欠けている記述は「誤記」ということになる。
一方で「誤記」と自ら主張していながら、その「誤記」相当の記述を新たな検定に際して平然と用いている行動に論理性、公正性を見出すことはできない。
4)加えて、上記3)の問題は検定審議会、文科大臣は訂正申請で「誤記」とする根拠を承認した以上は、同様の記述に対して今回の検定で「誤記である」との検定意見を付さなかったのは、論理矛盾であり、職務怠慢として責任を問わざるをえない
5)加えて上記1)~3)は山川出版社側に何かうかがい知れない確信犯的要因の存在が想像され、不可解である。主たる教材発行者のありようとして不透明感を拭えない
などです。
以上 長くなりましたがとりあえずの状況報告で、」文責は・茲任后 。
転送・拡散は自由です
*ちなみに「実現させる会」は、07年の「集団自決」歪曲検定問題の際、検定結果が判明した07年4月上旬において「検定結果が教科書記述の最終決定ではない。夏の採択を経て08年4月に生徒の手に渡す供給本の印刷に着手する07年12月までに、記述を是正する訂正申請の機会がまだある。そのためには沖縄県民が声をそろえて文科省や執筆者に迫ることが必要だ。そのための行動を起こそう!」という呼びかけによって「9・29県民大会」が実現したのと同様に、今回の件も沖縄県内の民意の動向が重要な意味を持つと考えています。
沖縄県外の皆さんからの声も大きな支えになります。まずはこの状況認識の共有化を宜しくお願いいたします。
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