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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 財源ケチった結果、深刻な教員なり手不足と学校崩壊

2024年11月05日 | こども危機

 ★ 教員採用試験で合格者「7割辞退」の高知県の波紋
   現代の若者には通じない「やりがい」「教職への憧れ」(AERA dot.)

 高知新聞が10月29日に報じた教員採用をめぐる記事が、教育関係者で話題となっている。採用試験に合格した人のうち、7割が辞退したという内容だった。こうした傾向は高知だけではないようだ。指摘されて久しい教員の過酷な労働環境。「なり手不足」は深刻さを増している。

 記事によると、高知県教育委員会は、2025年度の小学校教員の採用について、合格通知を出した280人のうち、7割を超える204人が辞退したと発表した。採用予定人数は130人だったといい、13人の追加合格を出した。さらに12月に2次募集をする方向だ。

 これだけの規模で人数不足が起きたことに、高知県教委も大騒ぎとなっているかと思いきや、担当者は「7割の辞退率はある程度見込んで(採用を)行いました」と冷静に話す。7割という辞退率は、ここ3年間は横ばいなのだという。

 高知県の25年度の教員採用試験は、1次試験の日程が全国で3番目に早い6月1日に実施された。

 「より多くの人に受験してもらえるよう、高知県の教員採用試験は本州にも会場を設けている。“滑り止め”として受験してくる人もいる」と担当者が語る。

 高知県の昨年の公立小学校の教員採用は定員に満たなかったため、追加合格の発表を3回出した。それでも定員に満たず、12月に2次募集をしてようやく確保できたという。

 担当者は「辞退率が7割というのは痛い。今年も2次募集を行うことになる」としつつも、「辞退率が高い背景には、教員の労働環境など複数の問題がある。高知県としてICT(情報通信技術)の導入などを進めており、労働環境改善に乗り出しています」と話す。

 

 ★ 鳥取県でも採用者辞退が半数超え

 採用辞退の規模が大きいのは高知県だけではない。鳥取県でも今年6月に行った公立の小中高校・特別支援学校の教員採用試験で、合格した327人のうち半数を超える174人が採用を辞退している。

 関東地方にある公立小学校の30代男性教員は、高知県教委の「滑り止め」との発言に、「(私が受験した7~8年前では)そういうことはあまりなかった」と話す。

 男性教員の話では、教員試験を受ける場合、出身大学と同じ都道府県や、地元の都道府県の試験を受けることがほとんどだという。滑り止め受験をしない理由については、「自治体によって試験内容が違い、対策も異なってくるから」とのこと。

 文部科学省が公開したまとめによると、23年度に採用された公立学校教員の採用倍率は、3.4倍(前年度3.7倍)と過去最低を記録した。このうち、小学校は2.3倍(前年度2.5倍)ともっとも低かった。

 別の30代男性教員がこう打ち明ける。

「風通しが悪く相談できない環境にある学校も少なくない。やる業務が多いのに、残業代もでない。子どものためにしてあげたいことはたくさんあるが、取捨選択をしないと自分が壊れてしまう

 

 ★ 96時間残業も… 

 公立学校の教員には残業代が支給されない代わりに、基本給の4%が一律に上乗せされることが「教員給与特措法」(給特法)として定められている。

 日本教職員組合(日教組)が昨年11月に公開した意識調査では、自宅への持ち帰り仕事を含むと、公立学校で働く教員の残業時間は月平均で96時間だった。過労死ラインとされる月80時間を超えており、“残業代”についても十分な額は支給されていない。

 こうした逼迫した状況に、精神疾患を抱える教員が増えているという。文科省の24年の調査では、精神疾患を理由に休職した教職員が6539人いた。

 教員のメンタルヘルスに詳しい関西外国語大学外国語学部の新井肇教授は、

「教員は教科を教えるほか、生徒指導や学級事務、部活動の指導などの役割も抱えていて、仕事量が膨大だ。そのため、精神的に疲れてしまう教員もいる。スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの常駐も必要」

 と主張する。

 2021年に義務教育基準法が改正され、学級編制は5年かけて40人から35人に引き下げられた。この点について新井教授は、こう話す。

「現場の業務量がいまだに多く、行き届いた教育をするためには、あと5人の引き下げが必要。そのためには財源がさらに必要だが、文科省の予算は微増のみで教員の『なり手不足』が解消されない」

 そして、こう続けた。

「教員確保はこれまで、仕事のやりがいや教職への憧れで成り立ってきたが、今の若い人たちは働きやすさなどの労働環境を重要視している」

 担当者は、「教員のなり手不足の解消のため、働き方改革や給与制度の改正が必要。財源を確保できるよう、財務省に強く要請する」と話した。

(AERA dot.編集部・板垣聡旨)

 

『AERA dot.』(2024/11/3)
https://news.yahoo.co.jp/articles/df925acf173a2709c783b3e7db6777ba8d31696a

 


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