◎ 「服務事故再発防止研修」に抗議する声明
本日(8月29日)、東京都教育委員会(都教委)は、3月の卒業式での「君が代」斉唱時の不起立を理由として懲戒処分(戒告処分)を受けた都立高校教員に対する「服務事故再発防止研修」を強行した。この「研修」は、自己の「思想・良心」や、教師としての「教育的信念」に基づく行為故に不当にも処分された教職員に対して、セクハラや体罰などと同様の「服務事故者」というレッテルを貼り、精神的・物理的圧迫により、執拗に追い詰め「思想転向」を迫るものである。
私たちは、憲法に保障された「思想・良心の自由」と「教育の自由」を踏みにじるこのような「再発防止研修」の強行に満身の怒りを込めて抗議するものである。
都教委は、「服務事故再発防止研修」と称して2012年度より、センター研修2回と長期にわたる所属校研修を被処分者(受講者)に課している。
しかも該当者(受講者)は、既に、5月10日に卒業式処分を理由にした「再発防止研修」を都教職員研修センターで受講させられており、今回で2回目となる。またこの期間に、所属校研修と称して、月1回の所属校への指導主事訪問による研修の受講も強制さている。
これは、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」と判示した東京地裁民事19部決定(2004年7月23日須藤典明裁判長)に反することは明らかである。
また、教育環境の悪化を危惧して、「自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり・・そのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」という最高裁判決の補足意見(櫻井龍子裁判官2012年1月16日最高裁判決)、「謙抑的な対応が教育現揚における状況の改善に資するものというべき」と述べ、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めている補足意見(2013年9月6日最高裁判決鬼丸かおる裁判官)などの司法の判断に背く許されない行為である。
受講対象者は、東京「君が代」裁判第四次訴訟原告であり、都人事委員会の処分取消請求事件の請求人でもある。係争中の事案について「服務事故」と決めつけ、命令で「研修」を課すことは、「研修という名を借りた実質的な二重の処分行為であり、被処分者に対する「懲罰」「イジメ(精神的・物理的脅迫)」にほかならない。
更に重大なのは、2学期直前のこの時期に教員を本来の職場である学校から引きはがし、「不要不急」の研修を課し、学校での勤務、特に新学期の準備や生徒への指導を不可能とすることによって、生徒の教育を受ける権渕を侵害し、かつ「教諭は児童の教育をつかさどる」とする学校教育法や、「教育公務員は、その職責を遂行するために絶えず研修と修養に努めなければならない」とする教育公務員特例法第21条の教育公務員の自主的研修権の理念に明白に反していることである。
このように都教委が、教育活動よりも違憲・違法な研修を優先していることは教育条件の整備に責任を持つ教育委員会として断じて許されるものではなく、教育行政に対する都民の期待に背くものである。
私たちは、決して都教委の「懲罰・弾圧」に屈しない。東京の異常な教育行政を告発し続け、生徒が主人公の学校を取り戻すため、広範な人々と手を携えて、自由で民主的な教育を守り抜く決意である。「日の丸・君が代1強制を断じて許さず、「再発防止研修」強行に抗議し、不当処分撤回まで闘い抜くものである。
2016年8月29日「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木俊一 星野直之
【連絡先】近藤徹(事務局長)携帯090-5327-8318 e-mai1:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp
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