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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

未だ原子力緊急事態宣言が解除されていない福島で、被曝と健康被害の関連の隠蔽がますます疑われる

2019年03月15日 | フクシマ原発震災
  たんぽぽ舎です【TMM:No3599】
  《2019.3.10東京電力本店合同抗議への連帯メッセージから》
 ▼ 東電本社前行動・原電本社前行動を続ける皆さまへ
福島県民 武藤類子

 原発事故から丸8年を間近に迎える今日も、東電電力本社前そして日本原電本社前で抗議を続ける皆さまに、心から敬意と感謝の気持ちを表します。
 また3.11が近づいてきました。いまだに当時のことを思い出すと、胸がざわつき、事故によって起きた理不尽と苦しみが続いていることを再認識します。
 2012年に告訴し強制起訴となった東京電力元幹部の、原発事故の責任を問う刑事裁判は36回を経て、昨年は傍聴に明け暮れました。その公判の中では、今まで闇に眠っていた多くの真実が明らかにされています。
 政府機関である地震調査研究推進本部が公表した長期評価では、福島県沖で巨大な地震津波が起きることは十分注意すべき確率だったこと。それを受けて東電社員たちは計算を行い15.7mという津波評価を得て、具体的な対策も考えていたこと。
 3人の被告人はその情報を受ける様々な機会を持ちながら、対策を何もせずに原発を運転し続けたこと。それらが多くの証言、メール、議事録などの証拠から浮かび上がっています。
 それに対し、被告人らは「見ていない、聞いていない、記憶にない、自分には権限がない」などと無責任な主張を繰り返すばかりでした。
 昨年末、検察官役の指定弁護士は、論告で「被告人らは自らの事故の責任を否定し、他者に責任を転嫁しようとする供述ばかり」「原子力事業者の最高経営層に属するものの態度としては、到底考えられない」と指摘し、「被告人らに有利に斟酌する事情は何一つない」として、3人に業務上過失致死傷罪の上限となる禁錮5年を求刑しました。
 3月13日の東電側の最終弁論で結審し、判決は夏ごろになるでしょうか。
 (注:2019年3月13日(水)公判期日3月13日が取り消しとなりました!)
 事故を起こした企業の責任がきちんと問われ、悲惨な原発事故がもう二度と起きないように、裁判所が厳正な判決を下すことを心から願っています。
 未だに原子力緊急事態宣言が解除されていない福島の状況ですが、次々と新たな問題が起きています。
 東電敷地内のタンクにたまり続けるトリチウム汚染水の処分方法が検討され、海洋放出をすべきだと原子力を規制する立場の更田規制委員長が述べました。
 それに対し、経産省が開催した説明・公聴会では多くの市民が意見を表明し、汚染水は海洋放出をせずに陸上保管をするべきだと訴えました。
 私も女性たちと勉強をしながら、公聴会に申し込み意見を公述しました。もちろん漁業者も徹底抗戦の構えです。
 しかし、それらの声は昨年12月28日の汚染水に関する経産省の小委員会の議論では全く反映されませんでした。
 また、事故後福島県内に設置されたモニタリングポスト2400台の撤去の方針がやはり原子力規制員会から出されました。
 モニタリングポストの継続配置を求める市民の会が設立され、子育て世代の母親たちも含め多くの住民たちが各地での説明会で撤去に反対する声をあげています。県内の約1/3の自治体も撤去をしないでほしいという意見書を国に出しています。
 除染土を市道に埋めて再利用しようとする二本松市の実証事業は、住民の反対で中止になりましたが、今度は高速道路の路床として埋める計画が南相馬市で進められています。
 飯舘村の帰還困難区域では農地のかさ上げ材としての再利用計画が進められています。 それは、日本全国にばらまかれる恐れがあります。
 昨年、国連人権理事会の特別報告者が、子どもや出産年齢の女性に対しての避難解除の基準をこれまでの20mSv以下から年間1mSv以下まで下げることや、無償住宅供与などの公的支援の打ち切りが、区域外避難者らにとって帰還を強いる圧力になっていることなどを指摘しましたが、福島県は区域外避難者に対し打ち切り後に提供していた県の支援策も今年3月で終了し、今後公的な支援は行わないとしています。
 また、未だ帰還困難区域を含む浪江、富岡、葛尾、飯舘の4町村に対しても2019年度末までに仮設住宅の提供を全て終了すると福島県知事が発表しました。
 今年になって、やはり国連の子どもの権利委員会からも、新たな勧告がでています。
 事故当時18歳以下の甲状腺検査では、現在、甲状腺がん診断された人が166人、がんの疑いが40人、合わせて206人と発表されています。
 しかし、昨年の甲状腺評価部会において、その中には含まれていないがん患者が11人いることが公表されました。
 また、県民健康調査を通さずに甲状腺がんを福島県立医大以外で手術している人が、民間の支援団体によって把握されていますが、県は県民健康調査以外の事例の調査はしないとしています。
 評価部会は今後原発事故との関連の検討に入るとしていますが、これでは、原発事故後の福島県内の小児甲状腺がんの正確な罹患数はわからず、正確な評価はできないと思います。
 検討委員会では、過剰診断による見つけなくてもよいがんを見つけてしまうとか、学校での一斉診断が人権侵害にあたると主張して、検査の縮小を提案する委員もいますが、継続の重要性や早期発見と早期治療を主張する委員との間で激しい議論となっています。
 今年になり、事故当時双葉町に在住していた11歳の少女の甲状腺等価線量が100mSv程度になると国の研究機関・放射線医学総合研究所の2011年5月の会議で報告されていたことが、新聞で報道されました。
 国は今まで「100mSv を被曝した子どもはいない」と発表していました。
 当時避難区域からの避難者が内部被ばく量の検査が十分にされずに「問題がない」とする文書が作られていたことも明らかになりました。
 福島県伊達市の被曝線量を1/3に見積もった論文がその間違いを指摘されているなど、被曝と健康被害の関連はますます隠蔽が疑われる状況になっています。
 ひとたび原発事故が起きれば、このように思いもしなかった出来事が続いていきます。東電はその現実を見つめ、真摯に反省をし原発からの完全撤退を決断して欲しいです。
 日本原電は、安全な原発などないことを認識し、東海第二原発の廃炉を一刻も早く決断して欲しいです。
 福島を想い、東電や原電前で闘い続けて下さる仲間がいることが、私たちにとって力強い励みとなっています。本当にありがとうございます。
 この行き詰った日本を、核と原発、そして戦争も差別もない平和で、気持ち良く、一人一人が大切にされる国にするために力を合わせていきましょう。
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