第二の「あり方検」蠕動
「主任教諭」?「統括校長」?
教員・校長各々職の「分化」を提言
職員会議が意志決定機関であることを否定する「管理運営規則」改悪を生んだあの「あり方検」から8年、第二の?「あり方検」が7月28日にまたしても教育の根本を揺るがす「報告書」を提出した。
URL:http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr060727j.htm
都教委の「教員の職のあり方検討委員会」とは、教員の給与制度改革に端を発し、それを梃子に任用制度のあり方に踏み込こんで、任用と処遇により人事面での管理統制を強めようと2006年4月に設置されたものである。
「人件費削減」の錦の御旗の下、業績評価に基づく「職務職階制」の細分化を企てる。職務の困難性や責任の度合いに応じて、処遇に差を付けることが急務なのだそうだ。
具体的には教員を「主任層」と「一般層」に分け、校長を「統括校長」と並みの「校長」に分けることが提案されている(なぜか「副校長」は分ける必要なし)。
以下、生徒の視点の欠落した、教師性悪説とも言うべき根深い不信感に基づいた、非教育的な報告書からの抜粋である。
第二章 教員の職のあり方について
1 職層別の構成割合
東京都の行政系職員については、同一の職における職務内容の多様化等に対応して、主任、課長補佐、統括課長等の職の分化を行ってきた経過があり、現在では9段階の職層構成を採っている。それぞれの職が、定められた職責を担うことにより、組織としての公務遂行が図られている。
これに対して、主幹の設置後も、教員の職は
教育職員給料表の適用関係で区分すると2級の教諭及び養護教諭(以下「教諭等」という。)、特2級の主幹、3級の副校長、4級の校長という4段階の簡素な構成となっており、同一の職層に長期にわたり在職することとなっている。このため、次表のような職層別年齢構成となっており、2級の適用を受ける教諭等の職に、教員の85%程度という大多数が在職する状況になっている。
3 職務の困難度・責任の度合い
しかし、85%程度が在職する教諭等の職にある者の中で、実際に遂行している職務の困難度や、果たしている責任の度合いに大きな違いが生じている実態がある。具体例を挙げれば、分掌する校務の遂行を通じた学校運営への参画の度合いは、教諭等一人ひとりの資質・能力や意欲等により大きく異なっている。
また、校長及び副校長についても給与制度検討委員会報告で指摘されているように、「学校種別、指導困難校や進学指導重点校などの学校ごとの課題など、管理職が担う責任や困難度において、質的、量的に大きな違いが生じている」状況がある。
さらに、1級の実習助手等については、既に職の分化が図られ、「専修実習助手」及び「主任寄宿舎指導員」が設置されているが、その職務の困難度や責任の度合い等に応じた給与水準となるよう、改めて見直す必要がある。
Ⅱ 2級職の分化
現在、教員の大多数を占める2級の教諭等の処遇については、年功的・一律的な性格が濃いものとなっている。しかし、同じ2級の教諭等であっても、職務の困難度や責任の度合いに大きな違いが生じている。このような実態に対しては、教諭等の職責・能力・業績をより適切に評価し処遇することで、教諭等の資質・能力の向上を図り、東京の公立学校の教育力の向上を推進していくことが急務となっている。
このような課題に対応し、教員の85%程度を占める2級の教諭等の職について、職責及び能力に応じ、2つの職に分化し、それぞれ適切な処遇を行っていく必要がある。
なお、ここでは、分化後の2つの職について、「主任層」と「一般層」と呼ぶことにする。
(2) 分化の基準とすべき職務の困難度や資質・能力等
○学級担任や教科担任として、児童・生徒への実践的・効果的な指導が行える職務遂行能力を有すること。
○校務分掌上の主任を担うなど、学校運営における中心的な役割を果たす資質・能力があること。
○主幹をサポートするなど、学校運営に積極的に参加する意欲・能力があること。
○若手教員等への助言や支援などができること。
○教員としての使命感、責任感、社会性及び協調性があること。
3 分化に当たって留意すべき点
(1) 10年経験者研修との整合性
教育公務員特例法第24条に基づく10年経験者研修は、「個々の能力、適性等に応じて、教諭等に必要な事項に関する研修」として任命権者が実施することが義務付けられている。都では、10年経験者研修について要綱等を定め、対象となる教諭等に対して、通常は、在職期間11年目の年度に実施することとしている。(略)
従って、10年経験者研修受講の時期を、「一般層」と「主任層」を分化する起点と捉え、適切な選考の実施により、分化する制度設計が必要である。
(4) 高い専門性や高度な知識を有する教員への複線型の任用制度の導入
○「授業力リーダー」
「授業力リーダー」は、平成18年度に開設した東京教師道場での2年間の研究・研修の修了後、「授業力リーダー候補者」としての一定期間の活動状況等を把握して、業績評価を踏まえて指名される。
このため、2級職の分化に当たっては、「授業力リーダー」については、本則として定められる必要な経験年数等を待たずに、「主任層」の有資格者として位置付けていくことも検討する必要がある。
○ 教職大学院
教職大学院への現職教員の派遣は、東京教師道場で2年間の研究・研修を修了した者等を対象に検討されており、その活用に応じた処遇を検討していく必要がある。
(5) 選考基準の客観性・公正性・納得性の確保
「一般層」と「主任層」を分化するにあたっては、客観性、公正性、納得性の高い選考を実施し、「主任層」の統一的な資質・能力の水準を確保する必要がある。
(6) 在職者の取扱い
職の分化を行った場合、制度導入時、2級に在職する教諭等の取扱いが課題である。例えば、採用後10年を超えるものを対象とした「主任層」への選考を実施した場合、約3万人の有資格者が発生することとなる。
このような大量の有資格者に対して、適正な能力を実証できる合理的な選考を実施していくことが求められる。
4 新たな教諭等の職の設置
教員の85%程度が在職する2級職について、職責及び能力に基づき、「主任層」と「一般層」に分化し、新たな教諭等の職として「主任教諭」(仮称)を設置する必要がある。
なお、職の位置付けとしては、現行の主幹級職と教諭職との間に新たに階層組織を設けるものではない。2級職教諭等の85%の中には、既に「主任層」と「一般層」が混在している。この中の、「主任層」について、類型化した分化の基準に基づき、それにふさわしい能力を有することを、実証可能な適正な選考により、分化していくものである。
このように分化後の「主任層」は、主幹を支え、学校運営への係わりを強化する層であるとともに、将来の主幹及び管理職となるべき層であり、分化に当たっては、これら管理・監督層との整合性を図る必要がある。そのため、主幹及び管理職への昇任インセンティブが働くような仕組みが必要である。
これまで述べてきたように「主任層」は、今後の学校教育の活動主体として中心的役割を担うものであるため、これらの職責及び能力の視点を踏まえ、新たな教諭等の職として、「一般層」と併せて、その職責に応じた処遇について検討していく必要がある。
Ⅲ 管理職の職の分化
1 分化の方向性
管理職の職について、分化を行う場合、基準となる「職責」及び「能力」については、次のように捉えられる。
基準となる職責とは、校長等として管理する学校の困難度である。学校の困難度を測るには、学校特性や学校規模といった複合的な視点が必要となる。学校特性による区分を行った場合、困難度が高いと考えられるのは、例えば中等教育学校や小中一貫教育校、複数課程等の併置校、寄宿舎設置校など、制度的な困難度の外に、地域事情や社会変化により、学校運営に克服すべき課題を生じている学校などが挙げられる。また学校規模の点では、学級数や教職員数が多い大規模校が、これに相当する。
次に、能力についてであるが、困難度の高い職責を果たせる能力を有しているかが基準となる。経験豊富で、高い専門的知識を有し、若手管理職への指導・助言や地域における調整役を担うなど、困難度が高い職責を十分に果たすことができる校長等は能力が高いといえる。
2 新たな校長級の職の設置
このような視点から校長の職について分化を行い、重要困難な校長級の職として、「統括校長」(仮称)を設置する必要がある。
重要困難な校長級の職である「統括校長」(仮称)は、行政系管理職の統括課長に類似した性格を持たせ、明確なポスト指定を行うとともに、指定数の管理は厳格に行う必要がある。
「統括校長」(仮称)への昇任については、年齢・経験年数等の資格基準を定め、業績評価等に基づく選考を行った上で、任用を行う(資料7)。
85%の何割を「主任教諭」に任命するのかは、行政職の1~3級が66%であることから類推すれば、2割強ということになる。このようなインセンティブが生徒に向かうものではなく上の目に向かうものでしかないこと、かえって仕事の偏りを増やすこと、大多数の教員は意欲減退することは、「主幹制度」の失敗進行中で明らかではないか。都教委の役人には人参さえぶら下げれば馬は走るというような浅はかな頭しかないようだ。
またひとつ実効のない「やってるふり」改革がうごめき始めた。
「主任教諭」?「統括校長」?
教員・校長各々職の「分化」を提言
職員会議が意志決定機関であることを否定する「管理運営規則」改悪を生んだあの「あり方検」から8年、第二の?「あり方検」が7月28日にまたしても教育の根本を揺るがす「報告書」を提出した。
URL:http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr060727j.htm
都教委の「教員の職のあり方検討委員会」とは、教員の給与制度改革に端を発し、それを梃子に任用制度のあり方に踏み込こんで、任用と処遇により人事面での管理統制を強めようと2006年4月に設置されたものである。
「人件費削減」の錦の御旗の下、業績評価に基づく「職務職階制」の細分化を企てる。職務の困難性や責任の度合いに応じて、処遇に差を付けることが急務なのだそうだ。
具体的には教員を「主任層」と「一般層」に分け、校長を「統括校長」と並みの「校長」に分けることが提案されている(なぜか「副校長」は分ける必要なし)。
以下、生徒の視点の欠落した、教師性悪説とも言うべき根深い不信感に基づいた、非教育的な報告書からの抜粋である。
第二章 教員の職のあり方について
1 職層別の構成割合
東京都の行政系職員については、同一の職における職務内容の多様化等に対応して、主任、課長補佐、統括課長等の職の分化を行ってきた経過があり、現在では9段階の職層構成を採っている。それぞれの職が、定められた職責を担うことにより、組織としての公務遂行が図られている。
これに対して、主幹の設置後も、教員の職は
教育職員給料表の適用関係で区分すると2級の教諭及び養護教諭(以下「教諭等」という。)、特2級の主幹、3級の副校長、4級の校長という4段階の簡素な構成となっており、同一の職層に長期にわたり在職することとなっている。このため、次表のような職層別年齢構成となっており、2級の適用を受ける教諭等の職に、教員の85%程度という大多数が在職する状況になっている。
3 職務の困難度・責任の度合い
しかし、85%程度が在職する教諭等の職にある者の中で、実際に遂行している職務の困難度や、果たしている責任の度合いに大きな違いが生じている実態がある。具体例を挙げれば、分掌する校務の遂行を通じた学校運営への参画の度合いは、教諭等一人ひとりの資質・能力や意欲等により大きく異なっている。
また、校長及び副校長についても給与制度検討委員会報告で指摘されているように、「学校種別、指導困難校や進学指導重点校などの学校ごとの課題など、管理職が担う責任や困難度において、質的、量的に大きな違いが生じている」状況がある。
さらに、1級の実習助手等については、既に職の分化が図られ、「専修実習助手」及び「主任寄宿舎指導員」が設置されているが、その職務の困難度や責任の度合い等に応じた給与水準となるよう、改めて見直す必要がある。
Ⅱ 2級職の分化
現在、教員の大多数を占める2級の教諭等の処遇については、年功的・一律的な性格が濃いものとなっている。しかし、同じ2級の教諭等であっても、職務の困難度や責任の度合いに大きな違いが生じている。このような実態に対しては、教諭等の職責・能力・業績をより適切に評価し処遇することで、教諭等の資質・能力の向上を図り、東京の公立学校の教育力の向上を推進していくことが急務となっている。
このような課題に対応し、教員の85%程度を占める2級の教諭等の職について、職責及び能力に応じ、2つの職に分化し、それぞれ適切な処遇を行っていく必要がある。
なお、ここでは、分化後の2つの職について、「主任層」と「一般層」と呼ぶことにする。
(2) 分化の基準とすべき職務の困難度や資質・能力等
○学級担任や教科担任として、児童・生徒への実践的・効果的な指導が行える職務遂行能力を有すること。
○校務分掌上の主任を担うなど、学校運営における中心的な役割を果たす資質・能力があること。
○主幹をサポートするなど、学校運営に積極的に参加する意欲・能力があること。
○若手教員等への助言や支援などができること。
○教員としての使命感、責任感、社会性及び協調性があること。
3 分化に当たって留意すべき点
(1) 10年経験者研修との整合性
教育公務員特例法第24条に基づく10年経験者研修は、「個々の能力、適性等に応じて、教諭等に必要な事項に関する研修」として任命権者が実施することが義務付けられている。都では、10年経験者研修について要綱等を定め、対象となる教諭等に対して、通常は、在職期間11年目の年度に実施することとしている。(略)
従って、10年経験者研修受講の時期を、「一般層」と「主任層」を分化する起点と捉え、適切な選考の実施により、分化する制度設計が必要である。
(4) 高い専門性や高度な知識を有する教員への複線型の任用制度の導入
○「授業力リーダー」
「授業力リーダー」は、平成18年度に開設した東京教師道場での2年間の研究・研修の修了後、「授業力リーダー候補者」としての一定期間の活動状況等を把握して、業績評価を踏まえて指名される。
このため、2級職の分化に当たっては、「授業力リーダー」については、本則として定められる必要な経験年数等を待たずに、「主任層」の有資格者として位置付けていくことも検討する必要がある。
○ 教職大学院
教職大学院への現職教員の派遣は、東京教師道場で2年間の研究・研修を修了した者等を対象に検討されており、その活用に応じた処遇を検討していく必要がある。
(5) 選考基準の客観性・公正性・納得性の確保
「一般層」と「主任層」を分化するにあたっては、客観性、公正性、納得性の高い選考を実施し、「主任層」の統一的な資質・能力の水準を確保する必要がある。
(6) 在職者の取扱い
職の分化を行った場合、制度導入時、2級に在職する教諭等の取扱いが課題である。例えば、採用後10年を超えるものを対象とした「主任層」への選考を実施した場合、約3万人の有資格者が発生することとなる。
このような大量の有資格者に対して、適正な能力を実証できる合理的な選考を実施していくことが求められる。
4 新たな教諭等の職の設置
教員の85%程度が在職する2級職について、職責及び能力に基づき、「主任層」と「一般層」に分化し、新たな教諭等の職として「主任教諭」(仮称)を設置する必要がある。
なお、職の位置付けとしては、現行の主幹級職と教諭職との間に新たに階層組織を設けるものではない。2級職教諭等の85%の中には、既に「主任層」と「一般層」が混在している。この中の、「主任層」について、類型化した分化の基準に基づき、それにふさわしい能力を有することを、実証可能な適正な選考により、分化していくものである。
このように分化後の「主任層」は、主幹を支え、学校運営への係わりを強化する層であるとともに、将来の主幹及び管理職となるべき層であり、分化に当たっては、これら管理・監督層との整合性を図る必要がある。そのため、主幹及び管理職への昇任インセンティブが働くような仕組みが必要である。
これまで述べてきたように「主任層」は、今後の学校教育の活動主体として中心的役割を担うものであるため、これらの職責及び能力の視点を踏まえ、新たな教諭等の職として、「一般層」と併せて、その職責に応じた処遇について検討していく必要がある。
Ⅲ 管理職の職の分化
1 分化の方向性
管理職の職について、分化を行う場合、基準となる「職責」及び「能力」については、次のように捉えられる。
基準となる職責とは、校長等として管理する学校の困難度である。学校の困難度を測るには、学校特性や学校規模といった複合的な視点が必要となる。学校特性による区分を行った場合、困難度が高いと考えられるのは、例えば中等教育学校や小中一貫教育校、複数課程等の併置校、寄宿舎設置校など、制度的な困難度の外に、地域事情や社会変化により、学校運営に克服すべき課題を生じている学校などが挙げられる。また学校規模の点では、学級数や教職員数が多い大規模校が、これに相当する。
次に、能力についてであるが、困難度の高い職責を果たせる能力を有しているかが基準となる。経験豊富で、高い専門的知識を有し、若手管理職への指導・助言や地域における調整役を担うなど、困難度が高い職責を十分に果たすことができる校長等は能力が高いといえる。
2 新たな校長級の職の設置
このような視点から校長の職について分化を行い、重要困難な校長級の職として、「統括校長」(仮称)を設置する必要がある。
重要困難な校長級の職である「統括校長」(仮称)は、行政系管理職の統括課長に類似した性格を持たせ、明確なポスト指定を行うとともに、指定数の管理は厳格に行う必要がある。
「統括校長」(仮称)への昇任については、年齢・経験年数等の資格基準を定め、業績評価等に基づく選考を行った上で、任用を行う(資料7)。
85%の何割を「主任教諭」に任命するのかは、行政職の1~3級が66%であることから類推すれば、2割強ということになる。このようなインセンティブが生徒に向かうものではなく上の目に向かうものでしかないこと、かえって仕事の偏りを増やすこと、大多数の教員は意欲減退することは、「主幹制度」の失敗進行中で明らかではないか。都教委の役人には人参さえぶら下げれば馬は走るというような浅はかな頭しかないようだ。
またひとつ実効のない「やってるふり」改革がうごめき始めた。
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