徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

今年は台風多発

2013年10月13日 | 物理

下の写真は本日(2013/10/13)の全球赤外衛星写真ですが、見事に3っの熱帯性低気圧(台風x2+サイクロン)が並んでいます。台風は低緯度海域から高緯度地域への熱輸送ポンプの働きをしていて、これが無ければ地球はとても住みにくい星になってしまいます。しかし、今年は台風の発生が多い...

追記 ちなみに写真左のサイクロンについて以下の記事が出ていました。

インドに大型サイクロン、最多の90万人避難

 【ニューデリー=田原徳容】インド東部オディシャ州に12日夜(日本時間13日未明)、大型サイクロン「ファイリン」が上陸した。

 2005年に米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」級の規模で、甚大な被害が懸念されたため、政府は過去最多の90万人以上を事前に避難させる未曽有の対策を講じた。関連死者数は13日午後現在で7人で、同州首相は「事前の避難措置の徹底が人的被害を最小限に食い止めた」と述べた。 インド東部では1999年、サイクロンで8000人以上が死亡し、減災対策が課題となっていた。
(2013年10月13日19時36分  読売新聞)

 


南海トラフ地震 被害想定に関する考察

2013年03月20日 | 物理

昨日、新聞一面に南海トラフ地震の被害想定がデカデカと載っていた。なんと、被災者が6800万人!日本人の半数以上が被災するというとんでもない被害を想定している。

 

 

しかし正直言って、ホンマですか?という気がする。なぜなら前回の海溝型巨大地震、つまり昭和東南海地震の被害記録(下表)を見ると桁が違いすぎるからだ。

この地震は太平洋戦争中の1944年12月7日に起っていてM7.9と推定されている。戦時中の事で軍部はこの被害を隠そうとして過小評価の面はあるが(本データは1977年飯田による)それにしても今回の被害想定と違いすぎる。

よくよく見ると、今回の被害想定はM9.1を算出の条件としている。M7.9とM9.1だと地震エネルギーとしては63倍の違いがある。こうなると、今回の被害想定もあながち間違いとは言えない。おそらく、3.11地震がM9.0だったので、それを超えるM9.1で被害想定をしたのでしょう。

地震はいつどこで起きても不思議ではない、と言うのが常識だが、実は海溝型地震にはその常識は通用しない。海溝型地震はそのメカニズムから周期的に起ることがわかっている。歴史上も684年の白鳳地震の記録以降、約120年周期で必ず起っているのです。

前回の昭和東南海地震は1944年、その前は1854年の安政東海・南海地震だから、その間は90年しかなく、よって昭和東南海地震は比較的規模が小さかったといわれている。直近数万年間でマントル対流によるプレートの移動速度は一定と考えられるので地殻バネに蓄えられるエネルギーは時間に一次で正比例する。つまり、地震の規模は前回の地震からの年数によって決まり、間隔が長いほど大きな地震となると言う事です。

さて、前回は1944年に起ったわけだから、平均値でいうと次は120年後の2064年に起る確率が最も高い、今から51年後だ。個人的に言えば恐らく私自身はとうに死んでいなくなっているだろう。しかし、自然現象にはばらつきガある。この地震の周期ばらつきはσ=20程度なので3σを取ると明日起ることも考えられる。ただし、先に述べたとおりそのメカニズムから期間が短い場合は蓄積エネルギーは小さい。明日東南海地震が起ったとしても線香花火並みの地震にしかならない。逆に言うと今回の被害想定のM9.1のエネルギーが蓄積するには平均周期を上回る期間が必要なので、少なくとも今後50年間でこの想定する被害の地震が起る確率はほぼ無い、と言って良いだろう。

ただ、駿河湾沿岸にお住まいの方には注意が必要だ。実は前回の東南海地震では東海部分が割れていないのだ。1980年代に東海地震が今にも起ると騒いでいたのを覚えている方は多いと思う。それはこの割れ残りを問題にしていたからだ。しかし、歴史上、東海地震が単独で起った記録は無く、必ず東南海地震と連動していることがわかっている。という事は、次回の東南海地震に東海地震が連動すれば二回分の溜まったエネルギーを吐き出すことになり相当の揺れになるだろう。名古屋は前回やられているので次回は大した事はないが静岡は大変になる、と言うのが当方の勝手な見解です。

もうひとつ今回の被害想定で気になる点がある。前回の地震では無く、今回の地震で初めて問題になるもの。 原発への影響を除外している点である。福島の例でわかったとおり、原発に事故があると、続く100年間に影響を与えるようなダメージを残す。とにかく、海溝型地震は必ず起るしその為の被害はある程度仕方が無い。しかし、それによる原発事故はなんとしてでも防がなくてはならない。政府には巨大堤防を作るなどとゼネコンを喜ばすだけの無駄な公共投資をするのではなく、原発対策をきっちりやっていただきたいものだ。特に直撃をくらう浜岡原発の処理は最優先の課題だろう。

 

 


一般相対論による宇宙モデル

2013年02月27日 | 物理

 えらそうな事を書くつもりは有りませんが アインシュタインが一般相対論を思いついた経緯は理解しているつもりです。 一般相対論に先立つ特殊相対論が 光速度不変則を前提とした場合には辻褄を合わせるために時空そのものを変える(ローレンツ変換)ことから発想されたように 重力加速度と運動加速度による力が等価であるという奇妙な事実を説明するためにアインシュタインが思いついた事なのです。

 つまり、静止質量と加速運動は同じように空間を歪ませるのでこの二つの効果は等価で違いが無いという事 アインシュタイン自身はこれを発想したもののこれを定式化するに当たってはリーマン幾何をつかって解く必要があり 数学者であるマルセル・グロスマンの助けを借りて微分方程式(アインシュタイン方程式)にまとめたものです

 ご存知の通り微分方程式は殆んどが解けない 解が出ないのが普通です ただ条件を極端に単純化した限定条件の場合に解けることがあるという代物です アインシュタイン方程式を最初に解いたのがシュバルツシルトです このモデルは一点に質量が集中した場合の空間のゆがみをアインシュタイン方程式を使って定式化したものでブラックホールがその典型です (ところで、我が銀河系を含むほとんどの銀河の中心には巨大ブラックホールが鎮座しているというのが最近の天文学の常識だって事 知ってました!)

 もうひとつの端にある単純化モデルが均一空間における解です 無限に近い空間に均一に密度と圧力のパラメータを持つ流体が分布した場合の時空がアインシュタイン方程式でどのように記述されるか これはロシアのフリードマンが解きました これは宇宙方程式と呼ばれています ところがこの式で空間の二階微分が負になる 当たり前の事ですが重力は引力なので均一密度空間は必ず収縮することになり 宇宙を安定的なものと見ていたアインシュタインを戸惑わせた訳です この後、ハッブルが宇宙の膨張の証拠(赤色偏移と距離関係)を発見し 変化しつつある宇宙という認識に至ったわけです 

 まったく物理学の真髄は切り捨てることなのだ... と思わせる宇宙モデルの話です


超新星爆発と対流

2013年02月24日 | 物理

 宇宙の始まりは137億年前 そんな昔の事は誰も見たことが無いのに判るというのはちょっと不思議 宇宙物理学というのは比較的簡単な状態方程式と核物理と相対論からなっている (ああ、あと量子論) それが実際の観測と良く合う (ダークマター、ダークエネルギーはぜんぜんダメだけど) たとえばHR図における星の一生などはそのものです

 その主系列星の7倍太陽質量星における超新星爆発がなぜ起るかという理由が対流にあるという

 対流というのは軽い物質が上昇し重い物質が下降する ただそれだけ 液体の場合の対流は縮まないので簡単ですが 気体の場合はそうはいかない 上昇すると周りの気体も薄くなって軽くなる その軽い周囲の気体より軽くなければ上昇を維持できない 

 地球の大気圏での対流では上昇した空気が冷えて雲を造り雨や雪を降らせることにより水の潜熱が解放され周りの気体より暖かくなり上昇が維持される 

 しかしこれが太陽内部だと状況は変わってくる ここでは潜熱プロセスは無い あるのは水素核融合プロセス 恒星内での核融合には二種類ある(PPチェインとCNOサイクル) この二つの違いはプロセスの安定性 そして条件は圧力 圧力が低い つまり太陽サイズの場合はPP過程で安定する しかし太陽の7倍の大きさを超えるとCNOプロセスとなり圧力にセンシティブなプロセスになる

PP過程では恒星核では対流が起らない なぜなら 反応気体の核融合は安定的で断熱膨張条件を超えることが無く上昇しても周囲の気体より熱くはならない しかしCNO過程では圧力異存が顕著で断熱膨張条件より熱くなる つまり核において対流が起る

 これがトンデモナイ 対流が起らない場合は炭がじわじわと燃えつきる様になるわけですが 対流がある場合はガス(プラズマ)が攪拌されるので燃え尽きると一気に縛縮を起こす そして、この際の衝撃波で超新星爆発を起こす

 わが太陽は超新星にはなり得ませんが その7倍以上の質量を持つ恒星ではその核内で対流状態で核融合が起るが故に超新星爆発を起こすというお話でした

 

 

 


ニュートリノが、光速よりも速く飛んでいる -2

2011年10月05日 | 物理

 9/23にSERN(欧州原子核研究機構)でこの件に関するセミナーが行われ、詳細が報告されている。http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/25/neutrino/index.html

ニュートリノ検出器:OPERAはイタリアの山中深くに設置されているので、トンネル入り口をGPSで確定してレーザー測長で検出位置を出したらしい。発生器からの距離は731278.0+-0.2m、時間タイミングはGPS時間をセシウム原子時計で補正して2.3+-0.9nSの精度を確保している。

ただ、私が素人意見として、問題がありそうだと思うのは下記の点です。

”送出されるニュートリノの数やタイミングは直接には測定することはできないので、元になる陽子ビームの波形をBCT(Beam Current Transformer)で取り出してタイムスタンプを付けてデジタルレコーダに記憶する。そして、OPERAでニュートリノを検出した時刻と数と比較する。”

つまり、送出側のタイミングは直接計測していない事になる。また、以下の事実もある。

”小柴先生のノーベル賞となったニュートリノ検出が行われた超新星1987Aは16万8000光年の距離にあり、今回の測定の光とニュートリノの速度比率が正しいとすると、光の方がニュートリノより約4年遅れて届く計算となるが、実際はほぼ同時に届いており、今回の結果とは矛盾する。ただし、この時のニュートリノは10MeV程度と低エネルギーであり、17GeVと同じ速度とは断言できない。”

ここではエネルギーによる差を言及しているが、CERN自身は17GeVと28.1GeVでの差は無かったと言っており矛盾する。

とっぴな仮説だが、陽子衝突の60ns前にニュートリノが発生したとは考えられないのだろうか? これでは、結果が原因に先行することになり因果律を壊すことにはなるが、これであれば小柴データとは矛盾しない。

何れにせよ、日本にもスーパーカミオカンデがあるので筑波からニュートリノを飛ばせば同様の実験は出来る(基線250km)。基線を変えて60ns差が変わらなければ上記仮説が有力に為る。

 

 


ニュートリノが、光速よりも速く飛んでいる !

2011年09月23日 | 物理

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110923-OYT1T00374.htm?from=top

 だいたいが、光速度不変の理由が解っていない。ローレンツ変換は光速度不変の辻褄合わせのために時空を歪ませた訳だが、その根拠となる光速度が不変という事の理由は誰も知らない。(もちろん、アインシュタインも...)

 そこで、ニュートリノが光子より7.5km/sec(誤差?)早いとしても驚くには当たらない。早く知りたいのは、ニュートリノ速度が不変かどうかだ?もし、ニュートリノ速度が不変で7.5km/secが事実なら、ここから光速度不変則の理由解明の手がかりが掴めるはずだ。光子だけが特殊だと言うのはなんとなく馴染まない。ニュートリノは元々奇妙な素粒子だが、それが光子の仲間だとすると面白いことになりそうだ。 長生きはすべきですね。


太陽の北極域で異例の磁場反転

2011年09月02日 | 物理

 2008年以降、太陽黒点数が異常に少ない現象が報告されているが、ここに来て異例の展開を見せている。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110901-OYT1T01005.htm?from=main5

黒点数減少は地球寒冷化を招くと多くの学者が指摘している(スベンスマルク、丸山等)が、太陽内部で大きな変動が起きていることは確かなようです。

太陽活動が低下すると太陽風が弱まり、深宇宙線が地球に到達する確率が増える。それにより大気中の過飽和水蒸気を刺激して雲を作り寒冷化が進む(スベンスマルク説)。また地殻内マグマやプレート界面に到達した宇宙線が過飽和ガスを刺激して、大地震や火山噴火を引き起こす(丸山説)。また、太陽黒点と経済活動は理由は判らないが、かなりハッキリした相関があり、黒点数減少時には景気は後退する。

現在、景気後退や地震多発、火山噴火などの現象が明らかに起っており、これらが太陽活動と因果関係が有りそうだ、という事はうなづける。一旦この状態になると20-30年は続くだろうという見解もある(丸山)ので、人類にとってしばらくは、辛い時代が続くのかもしれない。


ハイゼンベルグの永久機関

2011年06月28日 | 物理

上図はハイゼンベルグの永久機関と呼ばれるものです。量子力学で不確定性原理を発見した
ハイゼンベルグが提案した永久機関でこれがなかなか手強い。永久機関は第一種永久機関と
第二種永久機関があり、経験則としてこの二種類の永久機関は実現不可能と言われている。

この装置はピストンとシリンダーからなる部品を、回転するベルトに方向を固定して接続し水中
に沈める。シリンダー内には空気があり、ピストンには重り(図では10kg)が付いていて、
ベルトの左側では下に重力で引っ張られシリンダー容積は増え浮力が増す。反対の右側では
ピストンは圧縮方向に動き浮力は減る。この左右の浮力差でベルトは永久に時計回りを
続ける!?

正直なところ私自身はこの装置が動かない明確な理由が判らない。ただ、一点気づいたことは
左下の点でピストンが伸びて浮力が大きくなる過程では吸熱が起り、右上のピストンが縮む過
程では発熱すると言うことだ。と言うことは水中で熱輸送が起らないとすると、温度差がある程
度以上になると運動は停止することになる。つまり、この装置は第二種永久機関なのか?
仕事をしながら熱エントロピーは減少している ???

実際の装置を作ってみたい誘惑に駆られる。(きっと動かないとは思いますが...)
誰か、この件に関する答えを知っていたら教えてください!

 


高速増殖炉もんじゅ 炉内装置引き抜き成功

2011年06月24日 | 物理

高速増殖炉もんじゅの炉内装置引き抜きに成功した模様だ。

http://www.asahi.com/national/update/0624/OSK201106240001.html

過去二回失敗しているだけに、今回の成功は慶事といって良い。地震断層直上の大量の金属ナトリウムとプルトニウムの混合物が、いつ爆発するか判らない状態は時限爆弾を抱えている気分だったが、その赤リード線をニッパーでパチリと切断していただいた気分です。

今後の原子力行政の見直しとともに、もんじゅは廃炉の運命を辿ることになろうが、今回の引き抜き成功でその処置がスムーズに進む事を期待したい。


水力発電について-2

2011年05月14日 | 物理

5月2日の記事で、原子力を含めた全発電方式のうちもっとも低コストなのが水力発電だと言う事を書きました。それでは、なぜ水力発電をもっと使わないのかと言うことをWEB上で調べて見ると、原発を推進する立場からの恣意的な行政の態度があるように思います。

実は下記のwebサイトの内容に納得してしまっただけなのですが、結論として水力のポテンシャルは非常に高く、現状19%しかない水力発電施設の稼働率を、現実的な70%までに引き上げるだけで国内電力需要の4割近くを賄える可能性があるということです。

http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2011/01/000833.html

なぜ、それをしなかったかと言うと原発優先行政だったからです。どうもその裏には原発稼動で生じるプルトニウムによる核武装の発想があったとも言われています。また、福島原発事故で東電が計画停電などと騒いでいましたが、結局のところ火力発電の再稼動で凌げそうだと言う話になりつつあります。これをTVでコメンテーターが、”なんだ、やればできるじゃん”といみじくも言っていましたが、まさにその通りで日本の電力は原子力がなくても実は何とかなるかもしれないのです。

再生可能エネルギーにも太陽光、風力、地熱等色々あります。水力もその一つです。その中で水力のユニークな特徴は安定供給が可能だと言うことです。太陽光や風力は貯めておくことが出来ないので、お天気任せ、風任せで需給バランスをこれだけでカバーすることは不可能です。そうなると原子力や火力と言った安定出力発電と組み合わせざるを得ません。一方、水力は原子力の夜間余剰電力を揚水発電で吸収しているようにエネルギーを貯める機能があります。水力は水の位置エネルギーにより発電するからです。位置エネルギーは運動エネルギーや熱エネルギーと違い保持している間のロスが全くありません。

コストが安く、潜在供給ポテンシャルが高く、安定供給が出来、しかも再生可能エネルギーである水力をもっと活用しない手は無いと思います。日本はこれから少子高齢化で人口が減っていきます、そうなると電力需要も減る。そこを、無理をして危険な原子力で賄う、なんてことは時代に逆行する振る舞いと言えるでしょう。日本は国土の73%が山地の山国で、水力資源の豊富な国です。この自然の恵みを享受して、森と共に生きるのも悪くは無いでしょう。


東海、東南海地震について

2011年05月11日 | 物理

中部電力が浜岡原発停止を決定した。これは正しい判断だと思う。ところで一方、我が家はまだ地震保険に入っていない。東海・東南海連動地震が起れば、うちも震度6の揺れが想定されている。緊急に対応すべきかどうか経済性とのトレードオフを検討する必要がある。(人間は自分と関係の深い事項に関しては過大に評価し、これを認識の遠近法と呼ぶ;ニーチェ)

左の図は過去の東海・東南海・南海地震の発生の記録である。これを見ると二つ解る事がある。一つ目は発生の間隔、近ばでみると100年から150年間隔で地震がキチンと起っている。これはプレート・テクトニクス理論の正しさを証明している証拠であって、海溝型地震は周期的に必ず起るのである。もう一点は東海地震(右端)についてだが、この表を見るかぎり東海地震が単独で発生した記録は無い。

今回の浜岡原発の例で30年以内に87%の確率で地震が起るといわれているが、実はこの数字には若干のトリックが含まれている。もともと東海地震が起る起こると言われていたのは1854年の安政地震以来、東海地震は起っていないので地震エネルギーが極限まで高まっている、との理由であった。しかし、上記の記録を見る限り、東海地震は単独で起ったためしは無いのである。

一方、東南海、南海地震はどうかと言うと、安政地震の90年後の1944年と1946年に昭和地震を起こしており、それから今日まで67年が経過している。海溝型地震はマントル対流速度が一定なので、歪が蓄積して地震を起こすに至る周期がほぼ決まっている。今日現在の67年と言う期間は東南海地震に至る歪を蓄積するに十分な期間とは言えない。ただ、前回は90年で起っているので、あと10年もすれば、そろそろ危険水位ともいえる。今後、30年以内に87%と言うのは間違いでは無いのだが、メカニズムから言って今後30年のうち、後ろになるほど発生確率が上がる特有の分布がある事を忘れてはならないし、閾値の観点から見ると67年では海溝型地震は発生し無いとも言える。加えて、東海地震に連動条件があるとすると、あと十年は南海トラフの地震は起らないだろう。

という事で、我が家の地震保険は今後10年以内に加入する事とし、急がないことに決定した。しかし、近所の断層地震が起って全壊の憂き目に会えば、それは不運と言うしかない。(太陽黒点は少ないままだし...)

 


水力発電について

2011年05月02日 | 物理

上の表は第48回原子力委員会(2010年9月7日)に提出された資料から抜粋したものです。

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf

己の不明を恥じる事ではありますが、これによると一般水力発電コストは原子力、火力の半分以下である事が判ります。これは意外でした。水力発電はCO2を出さない再生可能エネルギーであり、コストも半分と言うことであれば、見直しても良いのではないでしょうか?

水力はその他のメリットとして出力調整の容易さがあります。原子力や火力の場合は最大出力運転を継続することが効率的ですが夜間、消費量が減った場合の余剰出力の問題があります。これを解消するため揚水発電やオール電化で夜間電力消費を促進したりしている。これに対し水力は夜間は水量を絞れば自由に出力調整が出来ます。

一般論として水力発電の問題としては、

1.消費地に遠いので送電設備が必要。

2.ダム建造による環境破壊、住民移動等の問題

3.ダム建設可能地の減少

等が言われています。 しかし、日本は国土の73%が山地であり、考えて見れば水力資源が非常に豊富な国でもあります。東京一極集中で地方は過疎化が進んでいるときにダム建設による事業を行うことは、地方からはむしろ歓迎されるのではないでしょうか?環境破壊についても原子力や火力と比較すれば議論の余地は余り無いと思います。

ということで、日本は今後、原発を廃止して水力発電に移行すると言う選択肢を考えても良いと思いますが、いかが?


宇宙は何でできているのか、を読んで

2011年04月28日 | 物理

村山斉の ”宇宙は何でできているのか” の書評が良いので買って読んだ。導入部は易しいのだが次第に現代素粒子論の核心部分、つまり小林・益川理論や南部の自発的対称性の破れ、ヒッグス粒子、超ひも理論等々となかなか付いていけない内容に踏み込んでいる。数式を使わずにこれらを説明する村山の才能には驚嘆する。本質を理解していないと出来ることではない。

その村山氏があっさりと、解らないと言っているのが、宇宙が何で出来ているかだ。その部分はこう書かれている、

星やガスなど宇宙にある全ての原子をかき集めても、全エネルギーの4.4%程度にしかなりません。...実は「原子以外のもの」が、宇宙の約96%を占めている。それがわかったのは、2003年の事でした。...その一つが「暗黒物質(ダークマター)」と呼ばれるものです。...しかし、原子と暗黒物質を合わせても、まだ27%。宇宙のほんの一部にすぎません。...(残りは)名前だけ一応はついていて「暗黒エネルギー」と呼ばれています。...(これは)きわめて非常識なことに、宇宙という「箱」がいくら大きくなっても、その密度が薄まることがありません。...もっと気持ちの悪い現象...宇宙の膨張スピードが「加速している」という事実です。

ここで、思い出して頂きたいのは私がブログの初めの頃に書いた”宇宙の始まりとエネルギー保存則” と言うページだ。

http://blog.goo.ne.jp/pgpilotx/e/ff543c39b59afcfcf813d60f44d41a12

宇宙が膨張する場合、それにより重力エネルギーは負の増加を示す。しかし、エネルギー保存則を守る限りその負の値を埋める正のエネルギーが発生しないと辻褄が合わない。暗黒エネルギーとはこれに相当するものでは無いか。村山はこの点には触れていないが結局、宇宙の総エネルギーは重力エネルギーと打ち消しあってほぼゼロ(プランク質量以下)になるのだろう。 宇宙の総体が実はゼロだという認識は、私を究極の”大いなる正午”に導く。