徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

常温核融合について-2

2011年04月27日 | 物理

常温核融合の可能性について気になったのでWEBで色々調べて見た。その結果、2008年に大阪大学の荒田名誉教授が公開実験を行って成功していることが判った。

http://megalodon.jp/2010-1218-0759-07/www.gizmodo.jp/2008/06/post_3741.html

また、荒田教授はこの内容を、2009年の核科学国際会議(ローマ)で発表している。

http://dokuritsutou.heteml.jp/newversion2/image2/kakuyugo/SolidFusion_ronbun.pdf

この内容や他の情報を見るにつけ、常温核融合は科学的事実だと思えてきた。

上記の荒田教授の報告によれば、重水をパラジウム合金に吸収させて反応することによりヘリウムを発生させている。これは通常の化学反応では絶対に起りえない事だ。核反応が起った以外に説明がつかない。

ただ、内容を見てみると

1.反応生成熱量は数Kwのオーダー。

2.最高到達温度は65℃程度で、温度が高いほど反応は抑えられる。

3.反応継続時間は5時間程度(>室温+5℃)

4.パラジウム合金の反応前処理に純化、脱酸素処理で12時間以上かかる。

という事で、今のところ、えらく手間のかかる湯たんぽ位にしか使えない。

熱力学の常識として熱変換効率は温度差が大きいほど向上するが、65℃の温度では発電等に使うには低すぎる。

しかし、しかしである、こんな簡単な装置で核反応が起るとは驚愕の事実だ。

これは追求する意味のある反応である事は間違いない。これこそ、ベンチャーとして取り組み、実用化にこぎつければ人類の夢を実現するビッグ・チャレンジと言える。自然エネルギーに10億円かけるといっている孫正義社長に教えてあげたい位だ。

まんがで解る常温核融合

http://dokuritsutou.heteml.jp/newversion2/image2/kakuyugo/solidfusion-newtitle.pdf


常温核融合について

2011年04月22日 | 物理

熱核融合炉のついでに常温核融合の話題にも触れてみたい。フライシュマン・ポンズの常温核融合実験が華々しくニュースになったのは1989年の春の事である。その後、再現性の悪さからこの研究は似非科学扱いされ、研究者は学会や論文発表に際してひどい差別的な扱いをされて来た。しかし、パラジウムなどの固体水素吸収体に重水素を吸収させた状態で、電界を加える事により何らかの核反応が起ることは、事実で有るらしい。例えば長年この研究に携わってきた北大の水野博士による下記のような記述がある(太字参照);

http://www.lenr-canr.org/acrobat/MizunoTjyouonkaku.pdf

 従来の常温核融合研究において、最大の難点は再現性の悪さであり、そのために病的科学とよばれた。しかし、多くの研究者の地道な努力でその再現性は着実に向上してきた。最も再現性が高いのは三菱重工業が研究している方法である。パラジウム膜間に酸化カルシウムをはさんだ素子を用いて、100%の再現性で核変換反応を起こすことが出来る。....重水素ガスを透過すると、表面の元素は、ほかの元素に変換する。同時に X 線がバースト的に発生する。この場合、電極表面の反応元素が、より重い元素に変化する。質量は 8 増加し、原子番号は 4 大きくなる。反応後の元素の同位体分布は、初めの元素と同じ形をしている。この反応は再現性が 100%である。すでに JJAP 誌に論文として発表された。 

...この方法は単にエネルギーを得るばかりではなく、反応系内に存在する不安定重元素を核的に分解し、安定元素に変える可能性があることがわかった。これは応用面で大変重要であり、現在その処理に困っている、放射性廃棄物を根本的になくせる可能性がある。

上記の現象は核変換であるが、別の実験では余剰発熱も観測されている。ただ残念ながら安定的にそれを再現するには程遠い状態で、研究者自身も現象を掴みきれていないのが現状のようだ。このメカニズムを説明する理論は下記のような検討が進められている。

 固体内での核融合反応の理論的解析は、高橋の多体核融合反応理論、Frisone の微少亀裂近辺での核融合率変化の計算があげられ、測定結果との一致が良い。高橋は固体内での重水素クラスター核反応についての総合的な説明を行った。多体核融合反応は金属格子内にて反応率が上がることを、すでに理論的かつ実験的に証明してきた。ここでは、特に多くの反応生成物間の関係を詳細に解説した。Frisone はQED 理論によって重陽子による低温核融合について、微少亀裂内の格子変形が融合過程に与える効果を分析した。通常の融合確率と比較し、微少亀裂はD2 が不純物を含んだ金属内では融合確率が上昇するということである。最終的に、過剰に添加されたD2 の影響を分析している。

しかし考えて見れば、例えば地震という現象は正確には予測できないし再現性も無い。しかし、明らかに現象としては存在する。常温核融合現象というのはこれに近いのでは無かろうか。固体内部の歪や局所破壊、表面状態といった極めて定量化しずらい条件の下で核反応が起るようである。これに関連しては下記のような記述がある、

たとえば突起の部分では電子が集中しやすく、反応が起こりやすいと考えられる。...水素発生で考えると、そのような部分で放電は起こりやすいが、再結合は遅れる。すると当然、全過電圧に占める割合は変わってくる。全過電圧が今の0.2A/cm2の電流密度で1.2V とする。このうち通常表面ならば、放電と再結合による過電圧はそれぞれ1.5V と0.15V であるが、放電が起こりやすいためにそれが、0.7V と0.5V となったと仮定すると、計算で得られる水素圧力は1017気圧に達することになる。これは太陽中心の圧力1011気圧をはるかに越えるものとなる。このようにわずかに放電と再結合の過電圧の割合が変わるだけで、その圧力は大きく変化する計算になる。もし、さらに再結合の過電圧が0.7V と逆転すると1023気圧に達し、優に中性子星の中心圧力にもなる。...このように実際に中性子が入り込むことが本当に出来れば、後は核の安定性や、中性子エネルギーによって反応の進行は決まってしまう。

もちろん常温の試験管の中で核融合が起こせてエネルギーを取り出す事が出来れば、まさに画期的な事だ。しかし、例えそれがすぐには実用的な意味を持たない事で有ったとしても、何か我々の知らない新しい科学の展開を開く端緒となる現象なのかもしれない。ただ、あまり日の目を見ない分野なので研究者の退官等もあり研究継続が困難になりつつあるらしい。極めて特異な現象であるだけに、政府において何とか継続的な発展を続けられるような手当てを考えてもらいたいものである。

追記; 

常温核融合でサーチしていると下記のようなホットなニュースを見つけた、事によると事かもしれませんよ...

http://amateur-lenr.blogspot.com/2011/01/focardirossi2.html

2011年1月18日火曜日

Focardi氏とRossi氏の常温核融合公開実験(2)

Focardi氏とRossi氏の常温核融合公開実験」で紹介した実験ですが、実験の要である熱量測定結果についてJed氏による簡潔明瞭なレポートが http://www.lenr-canr.org/News.htm に掲載されました。
Jed氏のレポートによると、1時間にわたる今回の実験で、稼働が安定した後半30分に出た熱量は約12kW。この時、装置を温めるヒータへの入力電力は400Wだったので、実に入力の30倍の熱量が発生した事になります。これは、核反応発生を示す非常に強力な証拠と言えるでしょう。

核融合について

2011年04月20日 | 物理

福島原発事故により原子力発電の脆弱性が露呈し、今後エネルギー政策の大幅な見直しを余儀なくされるだろう。その一方で経済的発展を遂げる発展途上国、特に中国、インドにおけるエネルギー需要は飛躍的に増大し近い将来、石油の枯渇が現実のものとなる可能性は高い。(ちなみに、私自身は温暖化対策を目的としたCO2削減は根拠が薄いと考えています。)核融合炉の実用化、はそれに対する一つの解を与えてくれる。

核融合のメリットは、

1.燃料となる重水は海水中に無尽蔵に存在する。

2.原子炉の連鎖核分裂反応と違い、限定条件下でのみ反応が継続する暴走の無い安全な反応である。

3.一義的な反応生成物はヘリウムだけであり、クリーンで放射能の危険性が少ない。

等々、良い事ずくめである。

とは言うものの、最初のプラズマ閉じ込めが1951年に公表されて以来60年経過しているが未だ実用化には至っていない。しかし、近年、高温超伝導材料の飛躍的進歩により実用化の可能性が高まっている。下図はプラズマ密度・保持時間と温度で決まる臨界条件を示すローソン図と言われるものだが1996年の段階で臨界プラズマ条件は達成されており、今建設中のITERでは自己点火および入力と出力の比であるエネルギー倍増率Q=10を目指している。

実用化には多くの技術課題がある。高温プラズマと接するダイバータの設計、高速中性子に晒されるブランケット素材開発、プラズマを効率よく安定化させるための超伝導コイルの開発等々、人類の知恵が試されている。(下記参照)

http://oasis.muroran-it.ac.jp/FEEMA/pict/event/091127muroran/seki01.pdf

日本も主要国として参加する国際熱核融合実験炉:ITERは現在フランスのカダラッシュに建設中で2015年に稼動を開始する予定になっている。各国の高速増殖炉開発が頓挫している現在、この核融合技術こそ人類のエネルギー問題を解決してくれるものと信じたい。2030年の実証炉稼動を見るまでは死ねないな。


太陽黒点と気象

2011年01月28日 | 物理

霧島、新燃岳が噴火しています。宮崎在住の方は火山灰で大変だと思います。今後、噴火がこれ以上、拡大しないことを念じています。最近、火山の噴火や地震のニュースが多いと感じませんか?昨年のハイチ地震やアイスランド・エイヤフィヤトラヨークトル氷河での噴火。また今後ですが北朝鮮の白頭山で噴火の兆候があるという話も伝わってきます。

これらは偶然でしょうか? 東工大の丸山茂徳教授は太陽黒点と火山、地震活動が関係していると主張しています。太陽黒点は11年周期で増減を繰り返しており前回2000年のピークからちょうど11年目の今年にピークを迎えるはずなのに全くそうなっていません。黒点の発生が異常に少ないのです。 下記WEBサイトでNASAの黒点予測の推移が判りますが量、時期と共に後退しています。 http://wattsupwiththat.files.wordpress.com/2011/01/ssn_predict_nasa_1024.gif

太陽黒点は太陽の活動を示しており、黒点が多いほど活発となります。逆に現在のように黒点が少ないと太陽の活動は低下し、太陽の発する太陽風も勢いが弱まります。太陽風は地球を含む太陽系をバリヤのように守っていますが、これが弱まると深宇宙からの宇宙線が侵入しやすくなります。丸山教授によると、この宇宙線は大気中の過飽和水蒸気を刺激して雲を作ったり、地殻中のマグマの過飽和ガスを発泡させたりする。マグマがコーラだとすると宇宙線で泡立ち噴出する感じで噴火する。また大陸プレート界面でこれが起こると滑りやすくなり巨大地震が発生する、という事を主張しています。宇宙線と雲との関係についてはデンマークのスベンスマルクという学者が同様の主張をしており、地球寒冷化との関係を指摘しています。

いづれにせよ現在、黒点数の推移は数百年に一度くらいの異常を示しており、今後それが地球上の気象や地殻変動に影響を与える可能性を排除できないと思います。

 

 


量子の謎 続き

2010年12月12日 | 物理

シュレジンガーの猫というのはシュレジンガーがコペンハーゲン解釈に反論するため重ね合わせの状態をマクロな猫の生死に関連付けたパラドックスである。外から見えない箱の中にウランとガイガー計測器とそれに連動し、アルファ崩壊を計測すれば青酸ガスを発生する装置と生きている猫を入れる。アルファ崩壊は量子過程なのでそれが起こったとしても観測するまでは重ね合わせの状態と考えられる。さて猫はアルファ崩壊が起こり計測されればそれに連動して放出される青酸ガスで死ぬ。崩壊が起こらなければ生き続けると普通は考える。ところがコペンハーゲン解釈では猫は箱を開けて生きているか死んでいるか確認(観測)するまでは量子の重ね合わせ状態であり、生きている事と死んでいる事の不定状態(重ね合わせ)であると解釈する。なんでこんな事が議論になるのかと言うくらい奇妙なテーマであるが、物理学者は延々とこれについて100年近く議論を続けている。最近これに決着をつけそうな理論が出てきている。脱コヒーレンスである。簡単に言うと、生きた猫と死んだ猫はミクロのそれぞれを構成する量子状態の平均値に差が無い。なぜなら生と死のコヒーレント(同期した)な量子などは存在せず猫の中では生きている確率と死んでいる確率が同居しているだけで、生きており且つ死んでいる重ね合わせの確率は無い。この状態を脱コヒーレンスと呼ぶ。よってシュレジンガーの猫(マクロ現象)は生きているか死んでいるかであって重ね合わせの状態には無いという至極当たり前な結論になる。

さて、量子もつれ。これは観測問題の延長にある。宇宙のどこか銀河系とアンドロメダ星雲との中間地点にあるカルシウム原子がSPSカスケードで二つの光子ペアを放出したとしよう。片方の光子は銀河系の地球に飛んできて検出器で偏向が観測される、その瞬間に遠くアンドロメダへ飛んだ光子の片割れの偏向が地球で観測された偏向と直角方向に確定する、まるで光速を超えた通信をしたように.... これは元々コペンハーゲン解釈に反論するためアインシュタイン等が提案したEPRパラドックスが実は現実に起こっている事を示しておりジョン・ベルの定理をアスペが実験で数値化しこのような事が実際に起こっている事が証明されている。そして其れがどの様にして起こっているかは誰も知らない。多世界解釈によれば光子ペアが発生した瞬間に偏向ごとに並行宇宙に分離したと解釈するがその証明は永遠に出来ない。

謎である。

 


量子の謎

2010年12月12日 | 物理

謎の量子力学の話をしよう。 量子力学が示す物質の振る舞いはとても、とても奇妙である。はっきり言うと、この現象を真に理解している人間は現時点で誰もいない(断言します)。アインシュタインの相対論は発表当時、理解しているのは3人しかいないと言われた。それは時空の変換というパラダイム・シフトを受け入れる難しさと、リーマン幾何という高度な数学的理解を要求されたからであるが100年経った現在ではそれは常識(古典)となり謎は無い。ところが量子論は根本の部分で謎を残しており、未だに真の理解に至ってはいない。

その謎は三つある。

1.観測問題

2.マクロ系のスーパーポジション (シュレジンガーの猫)

3.量子もつれ(Quantum entanglement)

観測問題とは何かというと、例えば二重スリットを通過した電子が干渉パターンを示す現象がある。電子は粒子のはずなのに波動方程式に従い波のような広がりを示し、二重スリットの右と左を通過する状態が重ね合わされている。ところがどちらのスリットを通ったか確認しようとしてスリットにセンサーを取り付けると重ね合わせは解消し粒子としての電子が検出され干渉パターンは現れなくなる。この干渉は電子を一時間に一個づつ個別に飛ばしても起こる(日立、外村)。この重ね合わせという状態は何を示しているのかについて喧々諤々、未だに明快な答えは無い。コペンハーゲンにあるボーア研究所が発信したコペンハーゲン解釈というのがある。これは、重ね合わせの状態は不定で無意味であり観測した瞬間に実在となるという考え方(解釈)で我々が従来持っていた認識と全く違う考え方である。これを聞いたアインシュタインは”月は我々が見た時にだけ存在すると言うのか”と呟いた。しかし、こうでも考えない限り、重ね合わせの状態というのは奇妙で理解不能な状態なのである。

もちろん、このコペンハーゲン解釈は一種の思考放棄でもある。そこで、これを説明しようとして、いくつかのほかの説が現れた。その代表としてエベレットの多世界解釈、ボームのパイロット波(量子ポテンシャル)等がある。多世界解釈というのは、重ね合わせの状態にある電子は右のスリットを通る宇宙と、左のスリットを通る宇宙が並行に存在しそのどちらかの宇宙に存在する観測者が其れを見る。というもので論理的な矛盾は見事に解消する。しかしである、量子過程が起こるたびに宇宙が分岐する?! 例えば原子崩壊の際の中性子の放出方向は量子過程であり360度球殻状の波動関数を持つ。とすると原子崩壊が起こるたびに、この全ての方向に応じた宇宙に同時に分岐しているというのか?原子爆弾が爆発するとき膨大な数の原子崩壊が起こり、其れが360度全ての方向への宇宙に分岐する!これではコペンハーゲン解釈よりも謎が深まった、としか言いようが無い。おまけに並行宇宙は干渉しないのでこれを証明するすべは無い。ボームの仮説に関しても支持する向きは少ない。つまり重ね合わせの状態を、証明付きで説明する理論は存在しないのである。D.リンドリーはその著書の中で ”結局、これはコペンハーゲン解釈のとおりで、我々が経験し得無い事は理解も出来ないのではないか。” と書いているが、これが正解なのかもしれない。 続く....


宇宙の始まりと質量・エネルギー保存則

2010年10月13日 | 物理
我々は幸せな時代に生きている。宇宙の構造と成り立ちは人類が文明を持って以来の最大の謎である。その知見がこの直近30年の間に大幅に進んでおり、それ以前の人類の知らなかった宇宙に関する謎が解き明かされつつある。ソクラテスもニュートンも孔子も老子もカントもヘーゲルもこの答えを知らずに悶々として死んだのであるが、幸いにも私はこの件に関してある納得をすることが出来ている。過去7000年の間に生きた全人類の、誰もが知りたいと思いながら知らずに死んでいった真実を、今の時代に生きる我々は知ることが出来る。これは幸せなことである。
宇宙の原初に関して私の基本的な疑問はビッグバンによって無から宇宙が生まれたとしたら質量・エネルギー保存則はどうなるんじゃい!という点であった。無から有が生まれるとしたら保存則は否定される。ちなみに質量とエネルギーは例のE=MC2で変換可能であるので、ここでは同一のものとして問題は無い。
宇宙の始まりをざっとおさらいすると、プランク距離の範囲で沸き立っている粒子対が微小確率でトンネル現象を起こしプランク距離を逸脱しその相転移による過冷却エネルギーの解放でインフレーションが起こり、その後膨張を続けている、というものである。
Wikiを見ても上記の様な説明で終わっているし、最近のニュートン(雑誌)の宇宙特集でもそんなものであった。しかしこれでは納得できない。無から有の宇宙が飛び出してきたのか?保存則は否定されるのか? プランク距離内における粒子対の発生は納得できる。なぜなら対はプランク時間内に再結合してトータル・ゼロに戻るからだ。
インターネットもこの30年間における革命的な発明である。私は上記の疑問に関する答えをインターネットで知ることが出来た。負の値を持つ重力エネルギーがその答えである。
重力エネルギーが負の値を持つことは球殻内での重力ポテンシャルの思考実験で説明できる。球殻内では何処でも無重力であるが球殻自体は収縮しようとする。これは無重力に向かってポテンシャルを減少させゼロに収束する事を示す。つまり最もくっついた状態が最大のエネルギー状態=0でそれ以外は負のポテンシャルエネルギーを持つことになる。
ここまで書けば、答えはお解かりであろう。トンネルを起こした原初の粒子対はプランク長を超えて飛び離れる際に負の重力エネルギーを持つことになり保存則を保持するために正の質量・エネルギーでこれを埋め合わせる事が必要になる。そこで新しい物質が生まれ爆発的に離散することで、より大きな負の重力と正の質量が連鎖的に増大する。これが宇宙の誕生である。
これは結局のところ宇宙の総エネルギー(質量)は、重力エネルギーとの差し引きで、今でもほぼゼロ(プランク質量)であるという事である。私も貴方も実は重力エネルギーの影のような存在なのである。保存則は満たされた、そしてこの事実が不毛な真実かどうかは、見解の分かれるところである。