シュレジンガーの猫というのはシュレジンガーがコペンハーゲン解釈に反論するため重ね合わせの状態をマクロな猫の生死に関連付けたパラドックスである。外から見えない箱の中にウランとガイガー計測器とそれに連動し、アルファ崩壊を計測すれば青酸ガスを発生する装置と生きている猫を入れる。アルファ崩壊は量子過程なのでそれが起こったとしても観測するまでは重ね合わせの状態と考えられる。さて猫はアルファ崩壊が起こり計測されればそれに連動して放出される青酸ガスで死ぬ。崩壊が起こらなければ生き続けると普通は考える。ところがコペンハーゲン解釈では猫は箱を開けて生きているか死んでいるか確認(観測)するまでは量子の重ね合わせ状態であり、生きている事と死んでいる事の不定状態(重ね合わせ)であると解釈する。なんでこんな事が議論になるのかと言うくらい奇妙なテーマであるが、物理学者は延々とこれについて100年近く議論を続けている。最近これに決着をつけそうな理論が出てきている。脱コヒーレンスである。簡単に言うと、生きた猫と死んだ猫はミクロのそれぞれを構成する量子状態の平均値に差が無い。なぜなら生と死のコヒーレント(同期した)な量子などは存在せず猫の中では生きている確率と死んでいる確率が同居しているだけで、生きており且つ死んでいる重ね合わせの確率は無い。この状態を脱コヒーレンスと呼ぶ。よってシュレジンガーの猫(マクロ現象)は生きているか死んでいるかであって重ね合わせの状態には無いという至極当たり前な結論になる。
さて、量子もつれ。これは観測問題の延長にある。宇宙のどこか銀河系とアンドロメダ星雲との中間地点にあるカルシウム原子がSPSカスケードで二つの光子ペアを放出したとしよう。片方の光子は銀河系の地球に飛んできて検出器で偏向が観測される、その瞬間に遠くアンドロメダへ飛んだ光子の片割れの偏向が地球で観測された偏向と直角方向に確定する、まるで光速を超えた通信をしたように.... これは元々コペンハーゲン解釈に反論するためアインシュタイン等が提案したEPRパラドックスが実は現実に起こっている事を示しておりジョン・ベルの定理をアスペが実験で数値化しこのような事が実際に起こっている事が証明されている。そして其れがどの様にして起こっているかは誰も知らない。多世界解釈によれば光子ペアが発生した瞬間に偏向ごとに並行宇宙に分離したと解釈するがその証明は永遠に出来ない。
謎である。