ピッコロ便り

ピッコロシアター、県立ピッコロ劇団、ピッコロ演劇学校・ピッコロ舞台技術学校など、劇場のトピックをご紹介します。

学校法人山手学園90周年記念公演 音楽劇「フレンズ~友情~ 小説ウィキッドより」を終えて

2015年02月07日 | ピッコロ劇団

ピッコロ劇団員の中川義文です。
私が昨年、演出・指導として関わった同公演の上演までの過程をご紹介します。

2014年は、この企画から始まりました。

年明け
神戸山手女子高校音楽科の先生より、小説『ウィキッド』を原作に音楽劇が作れないかと打診を受ける。
出演者も、道具作りも生徒。さらには生徒だけのオーケストラの生演奏付き。会場は、神戸文化ホール中ホール。
学校に伺い企画の話を詰め、共同演出者であるオペラ演出家の唐谷裕子先生と脚本を執筆するところから始めました。
1~3月にかけて正直、いちばん一緒に居た人だと思います(笑)

4月
新入生の入学を待って、オーディション。
当初の予定を大きく上回る50人以上の生徒さんが集まりました。
90周年記念になんとか関わりたいと、キャストだけでなく、スタッフでの応募も多数。
生徒に愛されている学校なんだと感じました。

5月
ここから、僕は本業に入ります。
劇団公演&ピッコロわくわくステージ「海賊、森を走ればそれは焰……-九鬼一族流史-」出演のためです。
その間は、唐谷先生が稽古をつけてくださいます。
僕とは、たまの電話でのやりとり。


いよいよ芝居パートの稽古です。
本業のオペラの仕事がある唐谷先生とバトンタッチ。夏休みを利用して、ワークショップから始めます。
なにせお芝居初体験の子たちばかり。人から言われたことをやるだけでは、お芝居なんて成立しません。
いかにコミュニケーションを取るか。お芝居におけるコミュニケーションとはなんなのか。
身体で体験してもらいます。


ピッコロわくわくステージ秋の陣が始まります。また、ここで唐谷先生にたすきを渡します。
僕がいない間に、音楽のことを詰めていただきます。

11月
いよいよ残り一ヶ月。文化祭もテストも終わりました。
高校3年生は大学にも合格しました!あとは「フレンズ」に全力投球してもらうのみ!
ここまで唐谷先生が走ってくださったタスキを繋ぎ、きちんと生徒に返すためにも大人も全力で取り組みます。
衣装や美術の先生、スケジュール管理の先生、生徒のお世話など雑用を一手に引き受けてくださる先生、
もちろん音楽やダンスの先生など、本当に大勢の方々のご協力とご助力がありました。
それもこれも皆、この公演を成功させたいがため。
上演直前に、唐谷先生も合流し、最後の最後まで細かく詰めていきます。
神は細部に宿る、と信じて・・・。

11月30日(日)
いよいよ開演。
こうなってはもう祈るのみ。もう何もできません。
幕が上がる高揚感と、同じくらいの寂しさを抱えて客席で見守ります。

この公演が成功だったかどうかは、お客様にお尋ねするしかありません。
ただ、決して楽しいだけでは無かったであろう長い稽古期間を通して、
生徒たちの今後の生活に少しでも自信や希望が残ったのだとしたら、嬉しく思います。


兵庫県立ピッコロ劇団員
中川義文