「赤」と「青」を混色すると「紫」になるのは、皆さん知っていると思います。その「紫」もいろいろな色のバリエーションがあり、花でさえこんなにもいろいろな「紫」を見ることができます。
また、「紫」は高貴な色として使われ、歴史的に見ても貴族的なものを感じ取ることができます。
しかし、「赤」と「青」だけの世界になると大きく違い、その強烈な彩度はお互いに反発しあいその空間にある種の「緊張感」を生むことになります。
この画像は、広実さんの作品ですが、展示する時にまずこのパステル画に目が行ったことをよく覚えています。
「人物画」と言うこともありますが、それだけでなく色と色のぶつかり合いが、大きな力を作っているように思えます。
「ルーブル美術館」にある「フェルメール」の絵で「レースを縫う女」と言うのがありますが、この絵を見た時その作品がすぐ思い出されました。
「フェルメール」の絵は「24×21㎝」という大変小さな作品ですが、あの小さな作品から受ける印象はとても大きなものであることを思い出しました。
広実さんが描いている人物は多分「中国」の人をモデルにしていると思われますが、どこか共通点があるのはとても興味が尽きないものとなっています。
「フェルメール」が古典なら、「広実さん」の作品は現代版といえるのではないでしょうか。
「花」をテーマにすると、少しその印象は薄れますが、それでも「赤」という色と「紫」という色を上手に使い、「花」の持つ「香り」さえ出しているように思えます。
たぶん、「直感的な感覚」が優れていて、それを自分の思い通りに操っている結果、こうした作品が生まれてくるように思います。
そうしたことを考えながら、「花畑」を見てまわると、そこに同じような色調が見られます。「色」からでてくる「香り」のようなものがここでも発見できるようです。
それとは反対に「赤」だけの世界に入ると、そこには「印象」という強烈な世界が待っています。