酒井治「クロッキー」展が、無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。
いろいろな人の貴重な意見や質問が次への大きなあしがかりになり、何か次への「きっかけ」がつかめたような気がします
日頃、「美術に関心がある方」との話ができないことが多い中、こうした機会にいろいろな話ができ「いろいろな視点」での意見が聞けたことは大きな力になりました。
人は意外に自分だけの視点で終わりますが、他の人が持つ視点のおもしろさを改めて見直すと、世界が広がったように思えます。
また、日頃気がつかないこともこうした展示で分かることがたくさんあります。
また、思いがけない人との出会いもあり、貴重な時間を味わうことができました。
こうしたことを励みにして、次へのステップにつなげたいとい思っています。
ちなみに。ここにあげている5点の「クロッキー」は展示しようか迷った作品ですが、出品すればよかったという作品もあります。
ちゅうちょしていない作品が、やはり人の目には心地よい感覚を与えるようです。
1年半前になると思いますが、同じように「岩国市中央図書館」で「個展」をやったことがあります。
その時は「風景画」の「パステル画」と「クロッキー」を展示していました。
その時に出会った人で作家の「Iさん」という人がいます。その人の批評が頭に残り、依頼ずっとそれと戦ってきたようなところがあります。
どういうことかというと、「あなたの絵はパステル画より、クロッキーの方が訴える力がある」と言うようなことを言っていました。
その時の詳細は忘れましたが、私の心の中でも同じようなことを考えていたので、その言葉がいつまでも心に残り、その後の「個展」のあり方もいろいろと試してやっています。
その後、「タヒチ」の風景画だけの「クロッキー」の展覧会をしましたが、あるレベルまでの納得はできたものの、以前としてどこか自分と違うような気がしていました。
そこで今回は「人物」だけに絞り、その「クロッキー」の展示をしてみましたが、「納得」まではいきませんが、どこか自然な形で見られるようになったと自分でも思っています。
その方が今日も来られて、同じようなアドバイスをしてくれましてくれましたが、そうした「出会い」の中から、人は次のステップをめだそうとするのではないでしょうか。
作家の目は大変鋭く、話を聞いていてもそこに文での「絵画」が出来上がっています。
今、その方は「画家」をテーマにした小説を書いているそうですが、話を聞いているだけで、作家と言うものが「イメージ」の世界で自由にはばていていることがよく分かります。
そして、そのイメージを「他の人」がおもしろく再構成していく過程が見えてきます。
「絵画」も同じで、見た人がどのように「イメージ」を再構成するかにかかっているように思えます。
こうした「風景画」も見る人が、どのような「ストーリー」を創ることができるかにかかっているようです。
単に「美しい」とか「よく描けている」ということではなく、その絵から何を感じどんなことが「イメージ」されるかによって、そこに絵の価値がでてくるように思われます。
そうしたことを考えるきっかけも、こうした「出会い」があるからにほかなりません。
私はこの1年半の間に、大きな出口が見つかったようで、この方にとても感謝しています。
早速、その方の小説を読んでみたくなりました。
昨日の午前中、図書館の会場にいましたが、こられた方からたくさんの貴重な意見をもらい、第3者の目が必要であるか良くわかりました。
作者と言うものは、どうしても自分だけの尺度で見てしまいがちですが、他の人から見た目と同じ場合もあり、違う場合もあります。
ただ、「絵」と言う媒体は他の人にとてもよく伝わり、作者が感じ取れない分まで、他の人が感じ取る場合があることにも気づきました。
「モデルさん」のゆったりとした表情や自然なポーズに当然皆さん不思議がっています。しかし中にはその工夫を見透かした人もいてとても驚きました。
と言うのも、一度にこうした作品ができるわけではなく、「モデルさん」との会話を通じてそこに目に見えない「対話」のようなものがあり、時間とともに「モデルさん」の気持ちがほぐれていくわけです。
そうしたことを、こうした「クロッキー」を見て言い当てる人がいて、その「観察力」には驚かされると同時に、「絵の力」のすごさにも気づかされました。
また、「人」にはその人ならではの「ポーズ」があり、決してこちらが要求するものではないことにも気づかされます。
私はこうした人の表情が好きで、いろいろな視点で描くとまた違ったおもしろさがでてくるのでそれを追求しているだけですが、そのおもしろさがある程度伝わっているようでした
中には、「モデルさん」の持つ空気のようなものに同調され、そのもっている雰囲気に目をが言っている人もいました。
また、特徴となる部分や全体の動きに対して目がいく人もいて、とてもいい勉強になりました。
「鏡」で見る方向はほとんどが「正面」だけですが、こうした違う角度から見ると人の違う魅力がでてくるのがよく分かります。
あなたのふだん見ていない素敵な視点が、あるかもしれません。もう一度それをさがしてみてはどうでしょうか。
今日から「岩国市中央図書館」で、私の「クロッキー」展が始まりました。
「人物画」を中心にした今回の個展は、この2年間にたまった作品を29点展示しています。
「クロッキー」と言う言葉を耳慣れているのですが、意外とその意味を知らないで使っている人が多いように思われます。
「クロッキー」とはフランス語で「速写」のことで、決まった時間ですばやくかきあげる手法のことを言います。
ふつう「20分」「10分」「5分」「1分」「30秒」といろいろなパターンがありますが、今回は15分ぐらいの時間にかきあげたものを、主に展示しています。
ここにあげているのは、全て「15分」以内にかきあげたもので、いろいろな角度から描いた「クロッキー」を展示しています。
この角度から見た会場は、全て「人物画」を展示していて、「風景画」等は2階に展示しています。
こうして並べてみると、視点の違いが分かって「展示」する意味の重要性に気づきます。
「クロッキー」と言うのは「鉛筆」に限らず「コンテ」等を使ってもよく、その使う道具はその人にあったものでかまいません。
私はこの「クロッキー」を「パステル画」を描く前の「訓練」としてとらえており、「しっかりと見てとらえる」ことの重要性を意識しています。
写真と違って、「人」が描くものには、必ず偽りがあります。「美術」の場合その「偽り」に実は大きな価値があり、そこにレンズでは表すことのない情感がでてくると思っています。
「絵は何らかの形で人に伝わる」もので、その威力はすさまじいものがあります。
そうした意味でも今回の私の「クロッキー」展を見ていろいろと批評をして欲しいと思っています。
ただ、明日(木)は図書館の休館日で、開いていません。
20日(日)まで開催していますので、近くに来られたら立ち寄ってみてください。