オレンジとイエローで女性を表現した作品です。酒井治は同じ作品でも台紙の色を変えて作品を何枚も描いて残しています。イメージの違いをご覧ください。
オレンジとイエローで女性を表現した作品です。酒井治は同じ作品でも台紙の色を変えて作品を何枚も描いて残しています。イメージの違いをご覧ください。
酒井治が残したものは絵だけでなく、美術書や国内外の美術館を訪れた時の図録やパンフレットなどが本棚に並んでいます。酒井治は読書家でもあり毎日本を読んでいました。その蔵書も本棚に積まれており、私は時々その本や画集などを開いて読んでいます。今読んでいる本は、林望の「芸術力の磨き方」です。その中に赤ペンで線を引いた箇所がありました。
「日常のルーティンワークから抜け出て、未知の何かと出会い、観察し、新たな自分自身を発見する。その発見の喜びこそが、芸術という遊びの楽しさではないでしょうか。で、そういう魂を持つことは、どのような日常を送っている人にとっても等しく大切だろうし、また可能だろうと思うのです。芸術は決して遠くにあるのではありません。」
この内容を見ると酒井治が共感したのも頷けます。岩国で行ってきたパステル展に参加者を呼びかけ、岩国の文化を広めたいという思いと一致しています。絵を描くことや絵を鑑賞することが生活の一部になっていくことを願っていたのではないかと思う。
今回の絵は前回紹介した絵と同時期に描かれた物です。海外に行き始めイマジネーションョンが沸き起こった頃です。
ここは何処だと思いますか。地上約1万メートルの世界です。つまり飛行機からとった外の映像です。この日は雨の日で、上空では青と白の世界でした。シンプルなのに色の美しさを感じ心まで澄み渡る思いになりました。色ってメッセージ力があるなと思いませんか。今回の旅で色の力を感じた場所がもう一つありました。それは横浜にCUPNOODLES MUSEUMに行った時です。ここの色は白と赤の世界です。この2色の世界はオシャレでアグレッシブな感じになります。このミュージアムのテーマも想像力と探究心の目を子供たちに持ってもらえる体験型ミュージアムになっています。色によってこんなにも人の心を変えていく力があるなんて不思議です。
酒井治も一時期2色のテーマを追求して絵を描いていたことがあります。それは青と赤の世界です。どんな気持ちでこの色を選んだのか聞きたかったなと思います。
BLUE LINE
RED LINE
今回はどの絵を載せようかとスケッチブックを探していたら、今まで見逃していた分厚い小さなスケッチブックが見つかりました。いつ描いたのかどこで描いたのか分かりませんが、外国を旅していた時に短い時間でさっと描いたものだと思います。題を決める時にクロッキーにするかスケッチにするか迷いました。辞書を引くとクロッキー(フランス語)は、短時間でする写生。略画。スケッチ(英語)は、印象を写し取った図。写生。とありました。辞書を引いてもよくわからないのでまずはご覧ください。