狙って取ったチケットではなかったのですが、偶然、桜桃忌に太宰治の「新ハムレット」の舞台を観るという巡り合わせとなりました。渋谷パルコ劇場開場50周年記念作品でもあります。
原作の戯曲仕立ての小説は、ちゃんと予習のために読んで臨みました。
とにかく長台詞が多く,予習中は意識が飛びまくって大変でした。
午後からお休みをもらって駆けつけたので、正直体力的にも心配だったのですが、役者さんたちに引っ張ってもらい,ちゃんと完走できました。
木村達成さんのハムレットがすごくよくて、シェークスピアのハムレットじゃない、太宰のハムレットだ!と感じました。
トーク・イベントで、「芝居がかった台詞回しでなく、普通に喋る台詞を意識した」と話されていて、なるほど、生きたハムレットを感じたのは,そういうところだったのかなと思いました。
「血の婚礼」のカッコいい達成さんもよかったし、ミュージカルの達成さんも素敵でしたが、全然カッコよくないこの拗らせハムレット、好きです。
ハムレットの長台詞が一箇所ラップになっていて、そこもちゃんと台詞が伝わってきたのに感動しました。
この「ハムレット」は、太宰治のサービス精神と役者陣の遊び心があいまって、とても喜劇的です。
池田成志さんのボローニヤスや加藤諒さんのホレーショーには、たくさん笑わせてもらいました。
平田満さんのクローヂヤスや松下由樹さんのガーツルードには、一筋縄ではいかない人間の多面性みたいなものを感じました。
ぱるるのオフヰーリアの乾いた感じが、作品に潤いを与えている矛盾した効果も面白いと思いました。
朝日新聞の劇評で「唐突」と批評された最後の演出は、確かに唐突かもしれませんが、そんなに気にはなりませんでした。
さあ、今週1週間、がんばります!