第三弾は陝西歴史博物館。
中国の博物館は、受付で身分証明書(外国人はパスポート)を提示すると無料で入館できるんだそうです。
おまけに写真撮影もOK!
太っ腹です。
(なぜ日本に来ると写真撮影がNGなんでしょうね?)
陝西歴史博物館は北京、上海と並ぶ第一級の博物館です。
そのなかからお父ちゃんお気に入りのいくつかを、蘊蓄とともにご紹介。
杜虎符(とこふ)(秦 前3世紀頃)
青銅製の虎の形をした割符です。
軍事行動を行う際、君主がこれを左右に分割し、左方を将軍に与えたそうです。
獣首角杯(唐 8世紀)
角杯は西方のリュトンと同種の器物で、本来は犀や牛などの角の内側を刳り抜いて杯としたものです。
これは金栓を除きすべて瑪瑙の一材を削り研ぎ出して成形したもので、牛頭に羚羊(れいよう)の角を組み合わせた造形と言われています。
精巧な造りが観る者のロマンをかき立てる逸品。
とても美しい杯ですよね。
お父ちゃんは、この杯を見て、「葡萄美酒夜光杯」という王翰の『涼州詞』の一節が頭に浮かんだそうです。
「夜光杯」というと、一般的には正倉院宝物にある瑠璃杯のようなガラス製の杯を思い浮かべますが、中国では次のような玉製の杯と考えられているようです。
玉製の杯(唐)西安博物院蔵。
獣紋六花形盤(唐 8世紀)
「飛廉文銀盤(ひれんもんぎんばん)」とも呼ばれています。
一枚の銀板を打ち出して花形に成形した盤で、中央に一頭の神獣を表現し、その紋様の部分に鍍金が施されています。
この神獣は、中国の神話伝説に登場する「飛廉」という風の神を表現したものと言われています。
どことなく表情が茶々子ちゃんに似ているので、私は気に入っています。
お腹と言うか胸のあたりとか、なんか、茶々子っぽい。(親ばかです)
また、この神獣は、正倉院宝物の「紅牙撥鏤撥(こうげばちるのばち)」に表わされる「一角の馬頭と脚に蹄を持つ鳥」の意匠にとてもよく似ています。
(正倉院展図録より)
獣紋双桃形盤(唐 8世紀)
こちらは桃を二つ合わせたような形から桃形盤と呼ばれています。
二頭の獣は狐でしょうか?
ただ、中国では狐を神聖な動物と考えることはあまりないので、何らかの神獣かもしれません。(お父ちゃん談)
私にはカワウソのようにも見えます。
「獣首角杯」「獣紋六花形盤」「獣紋双桃形盤」は西安南郊の何家村(かかそん)の窖蔵(こうぞう)から出土したものです。
窖蔵とは埋納蔵のことです。
何家村は長安城の興化坊に位置し、かつてここは邠王(ひんのう)李守礼(章懐太子の子・高宗と武則天の孫にあたる)の王府のあった所で、これらは邠王家に縁のあった品物で、安史の乱に際してその難を逃れるために地下に埋納されたと考えられているそうです。
これらは特別展示になっていて、見学には20元が必要だったのですが、20元を払う価値は十分にあったそうです。