8月にイベントに参加した「血の婚礼」の舞台を観てきました。
イベント後、岩波文庫でしっかり予習をして、どんな舞台になるのか、楽しみにしていました。
「血の婚礼」というタイトルですが、舞台上に血は流れません。
もちろん、バトルシーンはありますか、洗練されたダンスのようで美しいです。
この「血」は、「血筋」とか「血縁」という意味合いで、「血みどろ」という意味ではなく、因襲的な古い田舎を表しているようです。
結婚式当日に花嫁を略奪するレオナルド役は、木村達成さん。
最近、いくつかの舞台で拝見して、気になっている一人です。
今回は、ワイルドなレオナルド役。
激情のまま、滅亡に向かって疾走するヒリヒリするような熱い危険な男を体現しています。
彼が登場すると、舞台の上に緊張が走ります。
かっこいいです。
今回の戯曲では、登場人物が整理されていて、その分、物語がシンプルでわかりやすくなっていました。
また、ロルカの戯曲では「3幕7場の悲劇」となっているのですが、今回は1幕が90分、2幕が45分の2幕ものになっています。
1幕で花嫁の略奪まで一気に物語が進み、2幕は、ちょっと不思議な詩的とも言えるシーンの後、激しいバトルと、よくわからないラストへと流れ込んでいきます。
珍しく、開演前と終演後は、劇場内での撮影もOKでした。
物語はこのシンプルな白い壁に囲まれた家から始まります。
舞台の脇も塞がれていて、イメージとしては、大きな棺桶でしょうか?
どこから登場するのかと思っていたら、客席からでした。
すぐ横を母親役の安蘭けいさんが通り過ぎていって、びっくり。
コロナで封印されていた演出も戻ってきましたね!
この閉塞感溢れるセットですが、演者が触ると壁の一部が壊れて、ドアや窓になります。
窓やドアになることによって外の世界とつながったり、風景が覗けるようになり、象徴的で面白い舞台装置だと思いました。
1幕が終わるとこの壁がなくなり、一面、茶色い山肌に変わります。
(幕間の休憩時間に、山肌の整備が行われていました)
そして、終演後の風害がこれ!
白い枠は、ラストシーンの部屋を暗示するための窓枠であり、ドアです。
男たちが死んで、残された女たちの心象風景みたいでした。
今回、面白い演出がたくさんあって、久々に演劇見たぞって思いました。
ストップモーションやスロー・モーションが効果的に使われ、白い壁も、レオナルドの家では照明で赤く染められ、また、月があんな形で(ナイショ)登場するなんて思いもしませんでした。
不思議だけど、なんか楽しい幻想的?なシーン。
あれは、やっぱり安蘭けいさんだからこその演出だと思います。
「蜘蛛女」のワンシーンみたいでした。
ドキッとするようなイメージですが、いやらしさは全く感じない舞台です。
もっとドロドロしたものを期待していた人には物足りないかもしれませんが、私はこういうの、好きです。
久々に長い記事になりました。
おやすみなさい。