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最初の印象は、せりふが聞き取れないということです。古い映画なので仕方ないのですが、そこが最初ちょっと戸惑いました。
次に思ったのは、あの歌です。港の見える丘とかいったと思うんですけど、男はつらいよでリリーさんが歌ったり、最後のほうで寅さんと美容師さんの人が一緒に口ずさみますね。
とても雰囲気のあるいい曲だと思っていたのですが、ここで聞くことができるとは、思ってもみませんでした。
そして物語の中身ですが、まさにあのどぶのような沼が物語の中身を表現しています。泥沼から這い出せないという現実。先生やあの飲み屋のお姉さんの言うように普通に暮らしたいけど、結局そこから抜け出せない。そういう悲しさをあらわしています。
最後のさされるシーンも象徴的ですね。殺し殺されるなんて、かっこいいもんじゃない。いくら虚勢を張っていても、現実にはあのペンキで足を滑らせて、バラエティー番組のように、必死になればなるほどこっけいに見えてくる。やくざな世界なんて所詮そんなものと、感じさせられます。
しかも、利用価値がなくなったら、捨てられて、町の民衆も見向きもしなくなる。結局、今まで、自分自身が信頼されていたと思っていたものが、実は、その地位に信頼があったという現実が突き刺さってきます。
自分が信じてきたものに裏切られ、自分に縁がないような人が最後まで心を寄せてくれた。でも、そっちのほうには戻れないわけで、結局、裏切られた自分の生き方に殉じるしか道はなかったわけですね。
当時の東京の景色がとても新鮮です。普通に土がある道、何の囲いもない沼の存在もいいです。すばらしいです。
もし、じぶんが東京都知事になったなら、新しい公共事業として、ビルを壊し、余計なアスファルトを引っぺがしたい。