「原案 石原慎太郎」の文字にはいきなりげんなりさせられました。それで意味もなく裸にされていくユキ。今後の展開で意味を持つのでしょうか・・・
戦闘シーンはきれいだけど、定規で書いたようで、質感はない気がしました。ゲーム感覚。輸送船を画面にいっぱい入れたかったのか、密着させ過ぎな気もしました。
ちょっとホッとするのが、キャラクターが動く時の「アニメ的」なところでしょうか。
だからと言って、キャラクターの絵が気に入ったわけでもなく、あまり表情がない、硬い表情で、目も死んでる感じでした。真田さんはもう、ギャグ漫画みたいでした。
ワープや波動砲というヤマトの2つのウリも映像的にすごい!という感じではなかったのが残念ですかね。
ストーリーは、流れはそんなに悪いと思わないのですが、やっぱり最初の「石原」の呪縛がかかっているので、そういう見方をしてしまいます。
たとえば、移民を侵略ととらえられる誤解を、あの時の侵略戦争を誤解とでも言いたいのかとか、移住先の女王さまがヤマトにお礼を言うところなんかも、日本は侵略戦争の意図ではなく、解放のための戦争だったんだよと、言いたいのかなあ…などと、思ってしまうのです。そして、その国が攻撃されているのに動けないヤマトというのは、そんなふがいない憲法9条を持ってていいのかと思わせたいのかな?
あのへんな生命体が、ああいう形で裏で操る意味も全くわかりません。あれだけの巨大な力があれば、何もしなくてただのみこめばいいと思うし、それ自体が宇宙の世界で自然現象としてとらえれば、悪でもなんでもない災害でしかたないですもんね。命の生き死になんて、人間ベースで考えれば重いものだけど、宇宙規模で考えれば、ゴミよりも小さいものだと思うし。
生命体の意思として考えるならば、何でこの時期に急に太陽系に来たのでしょうか。そこにどんな意思があったのかがわかりません。
地球側も、10年ぐらい研究したといってるけど、その時点でしか発見できない情報網って、何なんだろうと思ってしまいます。ヤマトができてから、長距離ワープも可能になって、他の生命体とも出会っているわけで、そういう交流があれば、そういったブラックホールの存在なんてわかるだろうに。まあ、10年前に発見されたとして、それからどんな調査をしたのでしょうか。それこそ、最後の手段で古代ではなくて、その時点で真田とか古代を現場に送ってれば、まるく収まった話でしょう。
地球がいつまでたっても鎖国状態だったのが大きな問題です。
ガミラスに侵略されて以来、外交抜きにずっと宇宙の問題を軍事的にとらえてしまっている地球の政策が、この事態を引き起こしたのではないかと思ってしまいます。だから、そんな軍事偏重の地球が大ぜいをひきつれて移民しようとしたら、侵略と誤解されたというのも納得いきます。
あの女王さまの国にしたって、連合していることすら地球に情報を与えてなかったんでしょうから。
もしかしたら、地球を追い出すために、あえて情報を与えずにひきいれたのは作戦だったのかもしれません。そしてあの応急に集まった群衆は、実は国の圧政に我慢できなくなった人たちの集団だったのかも。
石原なら、そんな事実のねじ曲げを平気でやりそうですからね。
あの生命体がヤマトに種明かししちゃったところなんて、もう残念すぎる。あのぎりぎりのところで打開できるのかを試したのかとも思えちゃうわけですが、
セリフもだめですね。雪のセリフもくだらない。親子関係の希薄さも薄っぺらで、先が見える展開。古代の命をおれに預けてくれみたいなセリフもすごく薄っぺらい感じがしたし、セリフは全般的に薄っぺらくで心に響くものがないので、それが石原の薄っぺらさと重なったのもあるかも知れなません。
新キャラも、今までのキャラも薄いし軽い。
特に若者のえがきかたは、今の若者に対する一面的な見方を象徴しているようで、それでも、現代の若者も根っこには伝統ある大和魂があると言いたいのか。石原が原案なら、とことん「ごくつぶし」な若者像を描いてほしかったな。いざとなったら、おろおろして「戦いたくありません~」ってなっているところに、古い武士道の精神を持った(笑)年寄りたちが、頑張るみたいな。でも、福祉の恩恵を受けている(と思い込んでいる)お年寄りも石原にとっては、贅沢にぬるま湯につかっている人なんでしょうけど。実は東京都庁の地下室で、石原が冷凍保存されていて、復活して艦長をやるとか。それぐらいの方が面白かったかも知れませんね。それで軟弱な若者を破壊的なスパルタ教育で叩き直して、戦争の中で平気で人を殺せる立派な日本男児を育てるというのも、ありだったんじゃないかな。
娘は何ちゃんって言ったかな?みゆきちゃんだったかな?小雪にすればよかったのに。
あそこで娘だけしか救う対象にしていないところが古代のダメ親ぶりを発揮している気がしました。他は全く探そうともしていませんもんね。
地球に残ろうとした人への気持ちも全くないみたいでした。
この映画の良かったところは、ヤマトをいろんな角度から見れることでしょう。側面の機銃とか、主砲が火を吹くと、やっぱり、ヤマトだなあ…って思います。でも、前にも行ったように、波動砲とワープが見せられてない。
あと、白色彗星から変な要塞が出てきて、超巨大戦艦が出てくるという、あのパターンで、やっつけたと思った後にまたそのあとがあるってやつ。ヤマトらしくていいんだけど、あの技術をもっと前の戦闘でやっていない時点で駄目でしょう。それとも、あれは真田さんみたいな人が敵にもいて、仕込んでいたのかな?
波動砲6発でエンジン停止というのは、波動砲は6発までしか撃てないのとは違ったみたいですね。