嚥下障害とは、物を飲み込みにくい状態を言うらしい。
私は生まれて初めて目にする漢字を辞書で調べても手間取るばかりなので、
なんて読むの?って神様に聞いた。
すると、神様は「えんげしょうがい」と教えてくれた。
へぇ~、と思った。
日本語はやっぱり深いなぁと感心した。
その響きに初恋をしたときのような感動を覚えていると、
神様は、とりあえず主治医に電話をして、
点滴をしたあと安静を保つためにも一晩入院させてもらいなさい、と言った。
私は神様の言うとおり、主治医へ電話をかけた。
もちろん、外来中なので、症状と今から向かいます、と
メモ書きにして渡して欲しい旨を電話口の女性へ伝え、
軽度の入院準備をしてタクシーを拾った。
浅草のほうずき市の帰り、小柳で鰻を食べたのは月曜日の夜。
鰻を食べたとはいっても、ご飯が喉を通らないので、
鰻重なのに、鰻だけを食べて、確かにご飯のほとんどは残していた。
その後、老舗JAZZBARでカシューナッツを3粒つまみ、
小さなフルーツの盛り合わせを食べた。
それ以後、銀座のうおがし茶屋の水出し茶以外、
口にしていないことをすっかり忘れていた。
というよりも、おなかが空かないので、そのままにしていた。
私が焦ったのは、何気なく冗談のつもりでのった体重計が
表示する重さの現状だった。
3日で5kg減。
過度なダイエット狂者じゃあるまいし、
これは喜んでいられる類ではないと察知し、病院へ向かった。
私が神様から拝借した裏技によって、
(本来の裏技を意味していませんので誤解のないようにお願いします)
急患として対処してくれた。
確かに、2週間前に経過観察したときより
だいぶお痩せになって、というので、
健康なときなら大喜びなんですが・・・・・と
無理につくる私の笑顔を見破ったのか、主治医は笑顔を返さなかった。
看護婦さんの肩を借りて、ふらふらと歩き、処置室へ。
私にとって点滴は速度によって心臓への負担大なので、
2時間弱、その後、安静1時間にて、タクシーを呼んでもらい帰宅した。
一瞬止んだ雨音、西側の窓をあけ、部屋の空気を入れ替えていたとき、
部屋の壁に激突し、体力の低下を実感した。
人間は食べなければ・・・・・・
人間は歩かなくては・・・・・・
私が実感しているひとつにはやはり体力と快方の相関があり、
食事の内容と睡眠の質によって、よくも悪くも体調を左右する。
もっと、突き詰めていけば、
それが、快方の差になってしまう。
部屋の空気を入れ替えていたとき、神様からお告げが届いた。
そこには私が生まれてはじめて目にする嚥下障害という文字配列だった。
心地よい風が頬を撫でたとき、神様の流儀で私はまた救われた。
神様、ありがとう。