goo blog サービス終了のお知らせ 

五十坂・登りきらずに下り坂

とうとう56才になりました。
ほとんど年寄りと女子供しか
回りにいません。
そんな日常を綴っています。

紙の月

2012-07-11 22:33:41 | 

今日は、久々に読んだ本の感想を書きます。



角田光代著 紙の月

昨日、ローカル新聞に、
銀行員が客の金を引き出した、というニュースが載っていました。

事件そのものは、たいして珍しい事件でもない。

けど、ちょうど、角田光代の「紙の月」を読み終えたばかりだったので、
彼が着服した経緯をありありと想像できてしまう。

この小説は、たぶん本当の事件をモチーフに書いたのだろうけど、
普通の人間が、ずぶずぶと深みにはまっていく様を書かせたら、
彼女の右に出るものはいないでしょう。

きっかけは、ほんの偶然、
いや、必然だったのか。。。

ひょっとしたら、自分も犯罪に手を染めるかもしれない、
というジワジワとした怖さを感じる小説でした。

この小説も1億円の横領、
そして、秋田の事件も1億円。

1億円なんて、使おうと思えばすぐなくなってしまうお金なのね。

余談ですが、この秋田の事件、
犯人は何故か福島にいて(出身が福島なのかな?)
職業が「介護員」と表記されていた

懲戒解雇されてもちゃんと仕事につけるんだ。
(履歴書にちゃんと書かなかったから?)

この小説の主人公、
タイなんかに逃げなくてよかったのに。
 


「平成猿蟹合戦図」・吉田修一

2011-11-06 23:40:16 | 

今、テレビで、「悪人」やっています。

我が家のしょぼい録画も出来るチューナーは、
私が「悪人」を予約していたので、
その時間になったら、女子バレーが突然「悪人」に代わり、
ダンナ、怒ってしまいました。

まさか、延長になると思わなかったのだもの。

前振りはここまでで、さて、「悪人」の原作者、吉田修一氏の小説
「平成猿蟹合戦図」です。

新宿歌舞伎町・ひき逃げ・ホスト・ヤクザ・・・

ときたら、なにやら不穏な雰囲気が漂いますよね。

「悪人」も読んだのですが、なんだか、人間の悲しみとか、せつなさとか、
読後がやるせなかったので、
この本もそんなのかな~~
と、最初の辺りはそんな感じで、恐る恐る読んだのですが、
いやはや、読後はスカッとします。

秋田の大館が出てきます。
方言が、これまた忠実で(文字でしかわからないのですが)
ひょっとして、作者は秋田出身?と思ってプロフィールを見たのですが、
九州の人でした。

都会の人がしゃべる田舎っぽい言葉じゃないんです。
(おら、〇〇しただ・・・みたいな)

身近に秋田の人がいて、指導を受けたのでしょうか。

「〇〇だびょん」なんて、秋田に人に教えてもらわなきゃ、
表現できない言葉です。

私は秋田に住んでいるけど、大館は遠いので、昔行ったきりですが、
きっと作者は大館を丹念に取材したのでしょう、
たぶんかなりリアルに描いていると思います。

秋田出身の人だけじゃなく、どこの田舎に住んでいる人も(田舎でなくても)
楽しめる一冊なので、是非読んでみてください。

別のサイトで、読書ブログを開設したのですが、
ただいま開店休業中。
(講座受講中で、本を読む暇がない)

そのうちぼちぼちアップします。


「逮捕されるまで」・市橋達也

2011-07-12 21:14:09 | 

今日、市橋達也被告に無期懲役が求刑されたそうです。

事件そのものは、特に珍しいものでもないのですが、
2年7ヶ月もの間、整形してまで逃亡していたというのが
センセーショナルな事件だったからでしょう。

「どうやって逃げ延びていたのだろう」

世間の好奇の目を満足させるために書いたのであろう、逃亡記。

あざといぞ、幻冬舎。

市橋被告の贖罪の弁なぞひと言もなく、
単に、自己顕示欲だけの本でした。

逃亡していた時にどういうことをしていたのか、
憶測でマスコミに書かれるのが、たまらなく自尊心を傷つけられるらしい。

こんな本を読んだのを後悔しました。
(借りて読んだのですが)

私としては、どうすればこんな大人に育つのだろうか、
と、母親の手記を読んでみたい。

 


「海に沈んだ町」・三崎亜記

2011-04-12 23:00:33 | 

図書館に行って、本棚を見て、その装丁に目を奪われました。

こういう時期にこういう本はちょっと心証が悪いんじゃないかと、
余計な気を回したりします。

でも、この本は、地震が来る前に刊行されたもので、
作者に意図はないはずです。

以前、作者の「となり町戦争」を読んだ事があるのですが、
その独特の三崎ワールドについていけなかったのですが、
今回これを読んで、
なんだか、胸にザワザワしたものが湧き出て、
非現実の世界のお話なのに、
どこかそれが、単なる絵空事の出来事でないような、
そんな怖さを感じた短編でした。

本を閉じて、テレビをつければ、
そこには、まぎれもなく現実で起こっている事実。

この一ヶ月、別の世界へ紛れ込んだような、
そんな違和感をずっと感じて生きてきました。

本を閉じれば現実に引き戻されるように、
1ヶ月前に時間を戻して欲しい、
そんな叶いもしないことを願わずにいられません。


神様のカルテ

2011-03-25 16:49:14 | 

本を読んでも、ちっとも頭に入らないんです。

でも、この本はずっと前に図書館に予約していて、
やっと借りることができたので、半ば機械的に読みました。
(斜め読みです)

「事実は小説よりも奇なり」とは言ったもので、
今、被災地でろくに医療器具も薬もないところで、
不眠不休で戦っている医療スタッフに思いを馳せてしまいます。

彼らに比べたら、この小説に出てくる過酷な医療現場なんて甘っちょろいじゃないの、
と、思ってしまう。

この小説は、作者が現役の医師だそう。
なあんだ、過酷な勤務といいながら、小説書いている暇あるんじゃないの、
なんて、ついイヂワルなことを考えてしまう。

現役の医師だからなのか、悪い事は書かれないのか、
この小説に出てくる人は、みんないい人。
地域医療に高い志を持った人たちばかり。

みんないい人達過ぎて、
どこかお涙頂戴的な感じが鼻について、
「ああ、私は、こんな小説好きじゃなかったんだっけ」
と再確認した次第。

要するに、地方の医師は不足しているんだ、
と声高にではないものの、
ひっそりと主張している小説なのかな・・・


今日、実家の母が病院に行く。
8時半に病院に着き、終わったのが3時半。

システムが悪いのか、医師がいないのか・・・


はばたけ、息子

2011-02-16 23:59:16 | 

今更、この本を参考にしようとしてもすでに遅し・・・
でしょうが、
斉藤家はどんな子育てをしたのか、興味本位で図書館からかりてきました。

斜め読みだったので、詳細は抜けていると思いますが、
要約すると、家族仲良しだった。試合はどんな事があっても見に行った。
そんなことくらい?特別な子育てをしてきたようには感じられませんでした。

この本は、小学生の子供をもつ親の雑誌『エデュー』に連載したのだそうですが、
この本を読んで、子育ての参考になるとは思えません。

考えてみると、斉藤佑樹という人物は、マスコミに作り上げられた偶像?
と思えてきました。

確かに礼儀正しい青年でしょう。
しかし、他の野球選手だって礼儀正しい人は多いはず。

ビジュアル的に、品のいい顔をしているので得しているんだよな、きっと。

彼と同じ年のマー君だって、きっとしっかりしたお子さんだと思うけど、
ちょっとヤンチャな顔をしているので、
オバ様たちのハートはつかめなかったのね。

この本には、斉藤投手とお兄さんの対談が載ってあるのだけど、
その中に、
佑樹「お母さんに似た人を奥さんに選ぶっていうけど、すごくわかるなぁ。そういう人を奥さんにしたいと思うもん」
兄「僕は、自分のこどもができた時、その子をまた教育してほしいな」
佑樹「孫育てもお願いする、ということで」

いや~~~斉藤投手ってマザコンだったの?
自分の子供も育てて欲しいって?
母親が聞いたら泣いて喜ぶだろうけど、奥さんになる人は泣くよ、きっと。
(願わくば、女子アナの餌食にならないで欲しい)

もし私が、自分の息子が小学校の時からエースで注目されるような選手だったら、
毎回試合は見に行くし、甲斐甲斐しく弁当作りだって、炊き出しだって、洗濯だって、なんでもします。
精神的ささえになることができるかどうかはわからないけど、
それくらいのことは、普通のスポ小の母親はたいていしていることなんじゃないの?

なんだか、斉藤投手の母親へのやっかみみたいになりましたが、
うちの息子、斉藤投手と石川遼くんの間の学年なんです。

比べること自体間違っているのだけど、
何?この違い。
どこでどう子育てたら、彼らみたいになったの?

その答えは、この本には見出せず。

平凡でもいいから、はばたけ、息子。


読書の意義

2011-02-09 00:04:48 | 

雪も落ち着いてきたし、
何より明け方に来るブルドーザーが、ここ数日来ないので、
ストレスがなくなり、
どら、読書再開といきましょうか、と図書館に行く。

三浦しをんの「木暮荘物語」を予約してまで借りたのに、
半分しか読めず、返してしまったので、
無念で、彼女の他の本を借りる。

「天国旅行」

家に帰って、数行読んだら、
「なんだ、私これ以前読んだじゃないの」
と気づく。
(数行で気づいたのは、えらかった)

こんな時、「私にとって読書って何?」
虚しさを感じる瞬間である。


ところで、今日図書館に行ったら、
前に行ったとき、

この本が、1歳児が大好きで、(この本は私の子供たちが読んだ本です)
このような、1歳児が探せる本ありますか?
と、図書館の人に聞いたら、いいのがなくて、
今回行ったら、頼みもしないのにわざわざ他の図書館から取り寄せてくれました。

そのチョイスした本もイマイチだったのですが、わざわざ取り寄せてくれたので、
借りてきました。

まぁ、図書館の人も暇なんでしょうね。

日曜日はそこそこいるのですが、平日なんてほとんど人がいません。
それなのに、図書館にいる人は3人もいて、時には4人も。
たぶんお一人以外は非常勤の人。
非常勤なんて雇う必要があって?
(なんて、心の中でいつも思っているのです)

私のやっかみです。


マリアビートル/伊坂幸太郎

2010-11-13 22:24:32 | 

病院で3時間待ちしてた時に読んだ本です。

ちょっとした小旅行気分で病院に行くので、
「病院に持って行くのにふさわしい本はどれか」
と厳選して選んだ本がこれ。

なかなかグッドチョイスでした。

病院の待合室がちょうど駅の待合室のような雰囲気で、
この本の舞台は新幹線「はやて」
時々病院にいるのを忘れてしまうほど没頭しました。

伊坂氏の真骨頂という本でした。
殺し屋なんていう物騒な人々が出てくるのですが、
前回の「グラスホッパー」のような重苦しい感じは全然なくて、
一人ひとりのキャラクターがきちんと描かれていて、
あの王子以外は、殺し屋というのを除けば愛すべきキャラクターです。

しかし、あの王子がいるからこそ、ただのドタバタ劇になっていないんですね。

それにしても、私は東北新幹線に何度ものっていますが、
「こまち」にしか乗ったことがないので、
「はやて」が三人掛けであることを初めて知りました。

三人掛けであることが重要だったので、「こまち」は採用されなかったのかな。
(こまちは二人掛けです)

なぜ車体は同じ幅のように見えるのに、
「はやて」と「こまち」の座席の数が違うの?

今度乗る機会があったらよく観察してみよう。
(通り抜けはできませんが)

ゴミ箱脇のレバーもちゃんとあるか観察してみようっと。


病院の待合室で、
自分も「はやて」に乗っているような錯覚に時々陥ったひとときでした。


佐野洋子さんの訃報

2010-11-06 21:36:35 | 
私の好きな作家の佐野洋子氏が亡くなられた。

以前読んだ本に自分は癌であることを告知していた。

余命2年と医師に告知され、その足でジャガーを買った人です。
なんかそのパワーに圧倒されて読みました。

余命を聞いて、チマチマ貯金していたお金を、
生きているうちに使ってしまおう、という魂胆?

癌という悲壮な感じは全然なくて、
余命がわかってラッキーとまで言い切る
その精神の強靭さ、
強がりでもなんでもなく、

そうか、そういう考えもあるのね、
と妙に納得してしまう。

きっと亡くなるときは
「じゃあね」と言って別れたような気がします。

でもこれから彼女の書いた本を読めなくなるのは残念です。

病床で書いたエッセイが出版されるといいのですが。

なんだか不謹慎な文になってしましましたが、
ご冥福をお祈りいたします。

『小暮写真館』・宮部みゆき

2010-09-25 18:48:27 | 

宮部みゆきって人気があるんですね。
確か6月頃に図書館に予約して、今読んだところです。

なかなか順番が回って来なかった理由がわかりました。
本の厚さが半端じゃない。
普通の本の2.5倍はあるんじゃないか?
そんなに厚いなら、上下巻にすればよかったのに。

皆さんはどんな姿勢で本を読みますか?
私は寝る前、ベッドで寝ながらが多いのですが、
あまりに重くて、手首が疲れるし、しびれる。
本を読みながら、腕を鍛えるという効果を狙ったのでしょうか。

さて、本の内容ですが、
こんなに厚くする理由が見出せませんでした。

高校生の英一が、なんだか、サザエさんのカツオみたいに大人の事情につっこみすぎ。
普通の高校生なら、近所の人に「あ、ども」くらいの挨拶しか出来ないのに、
この子は「おじいちゃん、お元気でいいですね」
と気の利いた挨拶ができ、大人に可愛がられているようなタイプ。

なんだか、鼻持ちならないのよね。
他の友だちもみんないい子で、正しい青春をしていて、
根性がひん曲がっている私は
素直に感動なんかできない。

そして、この家族は昔、幼い子を亡くしていて、
家族4人それぞれが深く傷ついている。

その思いが、この小説の心の澱のように
深いところで淀んでいる。

亡くなった子の葬儀の時に
親類から心無い言葉を浴びせられ
それからは絶縁状態。

「あなたがもう少し早く病院に連れて行っていれば」

そんな言葉って、子を亡くした親には心に刃を突き付けられたも同然?
私にはそんなにひどい言葉には思えないけどな。
向こうは早く病院に行けなかった事情を知らないんだし。

私は子を亡くした事がないので、その悲しみの深さは測りようがないのですが、 
両親以外だって、その悲しみと折り合いを付けれないんだし、
誰もが尋常じゃない心理のときに、
「あの時こんな事を言われた」といつまでも根に持っているなんて
心が狭過ぎやしないか。


これは小説とは関係ないのだけど、
義姉が舅、姑と絶縁してます。

同居していた時にいじわるされたらしい。

まるっきり絶縁状態なのかはよくわからないのだけど、
長男の嫁なのに、我が家に、盆は13日、正月は1日に来ます。

世の中、ちょっと関係が悪くなると絶縁、という風潮。

絶縁したモン勝ちというか、
夫の身内なんかとは正直あまり付き合いたくない、
義父母の介護なんかしたくない。

80歳を過ぎても嫁は家にも寄り付かず。
どんだけイジワルをするとそんな仕打ちされるのでしょうか。