rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

欲望の資本主義2023感想

2023-01-08 11:11:28 | その他

2023年元日にNHKBS1にて恒例のシリーズ「欲望の資本主義2023」が放送されました。クオリティの高い番組であり、毎年感想をブログに記していますので今年も流れに沿って備忘録的に記します。

全体の流れとしては、グローバリズムに代表される英米一極主義が終焉に向かう現在(というとらえ方がグローバリズムのプロパガンダでしかない周回遅れの大手メディアと異なる)、新たな経済のあり方を模索する上でのヒント、日本の進み方は?という内容。副題の「逆転のトライアングルに賭ける時」とはどのような意味かが解き明かされて行きます。

 

第一章 巨大国家の衰退

これは前提である英米(特に米国中心)のグローバリズム経済が行き詰まり、GAFAMによる独占がエネルギーや食料など生活必需品の高いインフレを招いている。しかもインフレ原因は需要の増加でなく供給の減少による。それは多極化による中東、ロシア、ウクライナなどエネルギー、食料供給国が経済の鍵を握りつつある「タンジブル・エコノミー」の時代に入った結果であり、仮想経済を支配していたグローバリズムが経済を制御できる時代が終焉したという事だ(という表現ではなかったですが要約するとこうなる)。

結果として今まで脱落組でなかった中流以上の層が脱落しまいと競争するトリクルアップリスクの時代になっている。

 

第二章 引き裂かれる気分の国「ニッポン」

世界は全体の商品が値上がりするインフレだが、日本だけは食品とエネルギーのみのインフレで留まっている。今後賃上げを伴う全商品のインフレに進むか、ステルス値上げ、シュリンクフレーション(見かけ上の値上げ)で全体の経済は縮小してゆくか、国民全体の気分としてまだ定まらない。

 

第三章 イノベーション神話

新しい経済の創出には創造的破壊につながるイノベーションが必要とされるが、GAFAMの様に破壊が不可能なほど巨大になった独占企業は、破壊を伴う新たなイノベーションを抑制し、利益を独占し継続しようとする。それは経済の限界と終焉につながる。

 

第四章 超大国の終わりの始まり

米国はイノベーションを起こせるエンジニアを自国で育てられず(教育の過剰な商業化)、多くは中国やインドからの移住者に頼っている。米国が、イノベーション力があり、成長できた時代は「開拓と英国の植民地からの独立」という活力あるパイオニアの時代、経済時期としては20世紀半ばまでで、後はそれまでの勢いのみで減速の時代に入った。独占によるイノベーション抑制は競争から対争(contention生き残るための負の争い)の時代に入っている。

 

第五章 時代に逆らった「鉄の女」の過ち

ボリスの後英国首相になったリズ・トラスは不況と物価高に苦しむ英国に「与える」「与える」と連呼し、原資を伴わない財政出動を宣言したことで結果的に経済が混乱して数十日で辞任に追い込まれた。かつてレーガンとともに英国経済を復活させたサッチャーの強引な経済政策をまねた可能性があった。「供給は自ら需要を作り出す」はフランスの経済学者、ジャン・パティスト・セイによる「セイの法則」(経済学原論)だが、生産につながらない消費の増大による経済刺激策は無意味とされ(ジョン・スチュアート・ミル)、「反セイの法則」と批判される。世界経済フォーラムのヤングリーダーで「核戦争も平気」と外相時代息巻いていたトラス女子、やはり頭はカラだったと直ぐにバレたのでした。

 

第六章 気分の国(日本)の成功の代償

1970年代のインフレ時には、日本はインフレを抑制するために協調して賃上げを控えて需要を抑制し、結果高い生産性や技術で輸出の増加などで経済成長を続けて後に続くバブル経済につながった。協調のみでイノベーションがない経済成長は「真の資本主義」とは言えず、後の失われた30年、基本方針が定まらず「夢よもう一度」という掛け声だけの舵取りが行われることになった。

 

第七章 イノベーションと投資との間に

労働者側と企業側の競争関係がなければイノベーションは産まれない。企業の投資だけではイノベーションは産まれず、民間投資+公共投資が必要(産学協同とか)。シュンペーターは企業こそ野心のみでなく、公共心を持つべきと「経済発展の理論(1912年)」で述べている。企業、政府(公共投資)、市民社会の三者がトライアングルを作る(三すくみで競合する)状態が新たなイノベーションにつながる。リスクとリターンの独占は駄目で公益の実現こそが大事。

 

最終章 減速の時代の歩き方

資本主義は膨張の時代だが、今後は循環の時代に入る。資本主義も人類の歴史の一時代にすぎない。成長が減速しつつある中で、いかに循環型に適合してゆくかが、鍵となる。日本のあり方について、グランドデザインを作れ。(大国で行くか、中等度の国でゆくか、豊かな小国でゆくか)

 

結論

逆転のトライアングルとは、公共性のある企業、政府、市民社会の▽関係とも取れるし、減速▽する経済でいかに循環型の経済にシフトしてゆくかのグランドデザインの描き方とも言えるでしょうか。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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農村が都市グローバルを包囲するけど時代! (ローレライ)
2023-01-10 06:05:37
農村が都市グローバルを包囲する毛沢東戦略が地球規模で実現して来たのが現代とも分析できる!
そこで都市側は農村破壊で難民として人口の都市移動を促すが、分断と対立の戦場が都市に現れた!
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Unknown (ローレライ)
2023-01-14 06:16:18
資本主義の本質は奴隷制度,地球規模の奴隷狩りが目的となる!
返信する

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