石破総裁の自民は、前回2021年10月の衆議院選挙が自民党単独過半数であったものが、メディアの予想通りに自公連立でも過半数を下回る大敗となりました。メディアは自分達の力を示したいから「政治とカネ問題に鉄槌」的な原因論を提示しますが、庶民の肌感覚としては「相次ぐ値上げと相対的給与減(年金減)」が実生活に基づく政権評価だったと思います。
I. 立憲民主の支持は増えたのか?
今回の選挙では自民が247議席と単独過半数越えであったのが191議席と58議席減、一方で立憲民主党が98議席から50議席増の148議席、国民民主が7から21議席増の28議席、与党の公明が32議席から8議席減の24議席になったことが目立ちます。私の様なへそ曲がりは小選挙区と比例区で別の党を選びますが、比例区がその党を支持する基盤と考えると、毎日新聞がまとめた比例区の得票数比較では、自民党が500万票減は明らかですが、立憲民主は前回とほぼ同じ票数です。一方で国民民主は400万票明らかに伸びています。立民はしつこく「政治とカネ」を追求したのかも知れませんが、国民はそれに喝采を送った訳ではなく、自民と同じような政策を掲げて自民ではない穏当な国民民主に票が流れたと見るのが正しいのではないでしょうか。公明、維新、共産などの得票減は明らかに支持者減と見て良いでしょう。
II. 立候補者数からみたやる気度
今回の衆院選の総立候補者数は1,344名ですが、初めから政権を獲得する過半数に届く立候補者数を立てたのは自民、立民、共産の3党のみでした。共産党は特殊で実力に係わらず毎回各選挙区に候補を立ててくる点で、どこから金が出ているのかと思いますが、実力以上に候補を立てて来たのは維新(164)、参政党(95)、保守党(30)が目立ちます。比例区での得票数を見直すと立民1100万、維新510万で立民の半分、参政党180万、保守110万で維新の1/3程度となり、れいわは380万票得票していて共産を抜いています。国民民主は42人の候補者で28名当選ですからやる気度の割に棚ボタで当選したと言ってよいでしょう。立民は「国民が本気で支持した訳ではない事を肝に銘じて」国会対策をしないと次に大敗する事が確実です。
III. 西側諸国は与党過半数割れが趨勢
ドイツの州議会議員選挙とEU議会選挙の結果はショルツ首相の政策への明らかなノーが突きつけられた
2024年は多くの国で選挙が行われ、今までの結果を見ると、日本を含めて与党が過半数を取れなかった国が多いのが実情です。9月のドイツ州議会選挙では多くの州でショルツ首相が率いる中道左派、社会民主党(SPD)が右派ドイツのための選択肢(AfD)と接戦となり、野党保守派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)にも支持率で負ける情勢となっています。6月のEU議会選挙はCDU/CSUが第一党で、AfDが第二党です。
7月に選挙があったフランスはルペン氏が率いる国民連合が88議席から143議席に急進、左派が連合を組んでやはり149議席から182議席に増えてマクロン率いる中道連合は250から168議席に減らしたものの中道連合は左派と組んだ事で政権を保持したという結果でした。結果マクロンの好き勝手がしにくいコアビタシオン(共存)状態となっています。
昨年2023年7月に行われたスペイン総選挙も与党であった社会労働党は122議席で右派の国民党136議席に敗れましたがどちらも過半数の176議席には届かない状況で他党との連立を余儀なくされました。
今年6月のインドの総選挙は、モディ首相率いるインド人民党(BJP)は過半数272議席に達せず、240議席であり、第二党の国民民主同盟(NDA)などと連立を組む結果になっています。他にもオーストリアなど与党が過半数に達しなかった諸国が多くなったのが2024年の世界情勢であり、コロナとそれ以降に取って来た政策(要はグレートリセット政策)に国民がノーを突きつけているのが現実です。
IV. 労働党大勝の英国はグローバリズムを牽引する結果に
英国は7月に総選挙でスターマー氏率いる労働党が下院650議席のうち400議席を超える大勝を収めました。これは保守党のコロナとそれ以降の国内外政策に国民が明確なノーを突きつけた結果ですが、結果として選ばれた労働党スターマー氏はダボス会議からもヤンググローバルリーダーに認定されている列記としたグローバリストです。彼が初めに首相として行った事は、米国を訪問してバイデン政権にウクライナへNATOが供与する長距離ミサイルをロシア領内に使用する許可を与えるよう説得することでした。幸いにも世界大戦への「火に油を注ぐ」軽率な行為に流石のバイデン氏も首を縦に振らなかった事が印象的でした。
所詮グローバリストの手先でしかないことが明白なスターマー首相
V. 米国は過半数割れの石破政権をコントロールしにくい
自民が単独過半数を制した岸田政権においては、米国は「ワクチンを打ち続けよ」「円の利上げは待て」「ロシアに経済制裁を続けよ」「防衛費増額」「ウクライナに資金援助しろ」といった命令を実行させやすい環境だったと言えるでしょう。内閣の閣議で決定したことがそのまま政策として実行される事態も多く見られました。今後は野党との「部分連合」といった形態をとる事は、元々自民党内に「反石破勢力」が多かった事に比べると石破氏得意の「謙虚に説得を続ける」事で真に日本国に有益な事は通りやすくなる可能性もあり、面倒な安倍チルドレンを一掃したことはむしろ「石破流」をやりやすくなった可能性もあります。今後連立がどのような展開になるか現在不明で、来年の参院選時に過半数を持つ野党側から内閣不信任案を突きつけられて再度総選挙の可能性もありますが、種々米国大統領選の結果がそれらに影響する事は間違いないと思います。私としては米国とは一線を画した石破流政策運営を見せて欲しい所です。
11/2の状況では立民の方が苦労していて石破総理の方が余裕の笑顔(思惑通り?)という報道が・・
>「初めから政権を獲得する過半数に届く立候補者数を立てたのは自民、立民、共産の3党のみでした。」<
ですが、これは可也大事な着目点で、実は総選挙後の臨時国家で首相指名選挙では、勝つか負けるかに無関係に、(自民と連立を組む公明党を除き)各党は必ず自分の党首名を記名するのが決まりごと。
これは、そもそもが、政党の目的から鑑みて、当然の行為なのです。ところが自民、立民、共産の3党以外は総選挙に立候補さえしていないので、政権を取ることを目的とはしていないことになる。
それなら自民、立民、共産の3党以外は、いわゆる「政党」では無いと解釈出来ます。
>「共産党は特殊で実力に係わらず毎回各選挙区に候補を立ててくる点で、どこから金が出ているのかと思いますが、<
これも「毎回各選挙区に候補を立てる」のは政党だからで、「どこから金が出ているのか」の方も、政党だから。実は当然の話なのですよ。政党による選挙とは候補者が金や人を自分で用意するものではない。
人々が集まった結社(政党)が候補者を立てるもので順番が逆になっている。例えるなら村祭りの神輿が候補者で、村民(党員)が金を出し合って神輿を作って自分たちで担ぐものなのです。そして日本国では最大の政党が実は日本共産党だった。今でも数十万人もの党員がいて収入の1%を党費として納めて活動資金にしている。年収1000万なら10万円。
ちなみにマスコミが報道しないので知らない人が多いがドイツなどでは教会税なるものがあり収入の10%なのですから、共産党の10倍