英軍のホイットレー爆撃機を作りました。Armstrong Whitworth Whitleyは1936年に正式採用され、ウエリントン、ハンプデンとともに開戦時の英国爆撃機主力機の一つでした。ウエリントンが生産性を無視したかご状鉄骨に羽布張りという構造で、ハンプデンが射界改善として細く珍妙な形態に至った事に比してオーソドックスで無骨な形態であり、最も多く生産されたMk5は最高速度357km、航続距離2600kmと大戦初期ではまあまあであったが、中期以降は哨戒、輸送などの任務に就かざるを得ない状況でした。それでもMk5のみで1476機が生産され、初めてのドイツ本土爆撃やイタリア本土爆撃に参加するなど活躍しました。Mk5は他の同時代の爆撃機が空冷星形エンジンが主流であった時代に戦闘機にも用いられる液冷マーリンエンジンが使われ、尾部にはその後4発爆撃機に使用された4連装電動ナッシュアンドトムソン砲塔を備えるなど尾翼に支柱がついているような古い設計にしては近代重爆につながる装備を備えていました。私としてもそんなチグハグな所にも魅力を感じています。
ホイットレーGR7の実機と箱絵
模型は老舗のAirfixで2000年代の新金型であり、修正なくきれいに仕上がる安心モデルです。作ったのは対潜哨戒型のGRで、1941年初めて航空機によるUボート撃沈を果たしたことでも有名です。記録によると、対潜哨戒型ホイットレーが就役中に撃沈したUボートは、5隻に上ったそうです。プラモデルは機種の内容のみでなく、箱絵に惹かれて購入することも多いですが、このプラモの箱絵も非常に気に入っています。波穏やかな北海でASV2レーダーに捕捉した浮上航行中のUボートに雲上から近づくホイットレー哨戒機。雲間から突如現れた対潜哨戒機にEmergency diveの警報が鳴り、観測員が船内に入ってハッチを占めると同時にすでに潜航に入りつつあるUボート。機銃を浴びせつつ、次のパスで止めの攻撃に入るための旋回に入るホイットレーの緊張した場面を見事に描いた箱絵です。
搭乗員はハセガワ製を流用 無骨さと近代さを兼ねた姿
下面は白ですが、疲労感を出すために接合部にレッドブラウンの筋を塗ってから白をスプレーしてみました。上面はエクストラダークシーグレーとダークスレートグレーの迷彩で、502Coastal Command所属の機体です。搭乗員は付いていなかったので、ハセガワ製の海軍搭乗員セットを改造して操縦士、航法士、銃手2名を載せてみました。開戦時に同様活躍したウエリントンと並べてみました。空冷ブリストル・ハーキュリーズエンジンが後ろから見て左回転であるのに比して、液冷マーリン5エンジンが右回転であり、翼の構造などに設計思想の違いが目立ちます。
同時代の設計ながらウエリントンの方がスマートに見える。