「核の不使用」声明、日本は賛同せず
TBS系(JNN) 4月25日(木)19時13分配信
ジュネーブで開催されているNPT=核拡散防止条約再検討会議のための準備委員会で、核の不使用をうたった共同声明が発表されました。唯一の被爆国である日本は、この声明に賛同しませんでした。
共同声明は24日、南アフリカが提出したもので、「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類の共存のためになる」とうたわれています。70か国以上がこの声明に賛同したということですが、唯一の被爆国である日本は、賛同しませんでした。
開幕前、日本に対し、スイスが賛同を求めましたが、日本は回答を留保。一方で、「いかなる状況下でも」の文言を削るよう求めたということです。
「今回この部分が日本の安全保障の状況を考えたときにふさわしい表現かどうか、慎重に検討した結果、賛同することを見送った」(菅義偉官房長官)
菅官房長官は、核兵器の使用が将来にわたり耐えがたい損害をもたらすという声明の基本的な考え方を支持しつつも、賛同しなかった理由として「我が国を取り巻く厳しい安全保障の状況」を強調しました。アメリカのいわゆる「核の傘」への影響や、北朝鮮の核開発問題などを懸念したものと見られます。
一方、日本が声明に賛同しなかったことについて、広島の松井市長は、「核兵器は『絶対悪』であると訴え続けてきた広島とすれば、到底納得できるものではない」とのコメントを出しました。また、長崎の被爆者団体は、次のように述べています。
「(声明に)書いてある内容は至極もっともなことだけなんです。ちょっと理解できない、政府の対応というのは。本当に腹が立ちました」(長崎被災協 山田拓民事務局長)
山田氏はこのように述べた上で、日本政府の今後の動きについても懸念を示しました。(25日17:39)
最終更新:4月26日(金)5時57分
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二次大戦後の世界がこれだけ核兵器だらけになって戦争も絶えないのに、核戦争が起きなかったのは日本が身を以て核兵器の恐ろしさを世界に示したから(別の言い方をすればアメリカが日本人を実験台にして核兵器の威力を世界に示したから)です。世界は望んでなったものではないにせよ、世界を核戦争から救う結果になった日本人にもっと感謝すべきだと以前から主張してきました。また日本人はそのことをもっと世界にアピールすべきだと考えます。
アメリカが偽善と欺瞞に満ちた生業であっても「自由と民主主義の拡散」を国是として世界で活動しているのと同様に、それぞれの国には土台となる譲れない国是というものがあります。日本が唯一世界から認められ、また世界に示せる国是があるとすればそれは「核兵器の禁止」以外にはありません。現実には「核の傘」で守られてきたではないか、という批判もあるでしょうが、日本は核を使われて酷い目に実際にあった唯一の国であることを否定することは誰にもできません。実際に核を使われた事実があるのに「核の傘で守ってもらって幸せな国民です」などと本気で言えると思うか、という反論に説得力のある答えを出せる人はいません。しかも本当に核の傘で守ってもらっていたのか「日本が核攻撃をされたらアメリカは自国に核が飛んで来ることを覚悟で日本のために核戦争を始める気があったか」怪しいものです。アメリカは自国の利益のために日本に核を落とした張本人であるという事実は否定しようがありませんから。
日本は福島でさらなる核の悲劇を世界に実践してみせました。欧州では日本が身を以て示した「悪い手本」を学び、原発からの卒業を国家として選んだ国々が複数あります。だから「核兵器の不使用」を日本の国是として主張することに反対する国などあるはずがないのです。それを(どこの国に気を遣ったのか)引っ込めてしまうとは何と言う情けないことか。最近靖国の参拝が流行ってますが、これでは日本国の未来のために犠牲になった靖国の英霊たちに合わせる顔がないではないか。
「宇宙人と地球外で戦争をすることもあるかもしれないし、大きな隕石が飛んできたら核で破壊する必要があるかもしれないから<いかなる状況下でも>という所が賛成できなかったのです。」と韜晦してみせる位の腹芸ができないのなら、日本は率先して署名すべきでした。この選択で日本は世界から「さすが日本の選択は現実的で素晴らしい」などと賞賛されるでしょうか。もともとこの手の宣言は核兵器を自ら放棄したとされる南アフリカのパフォーマンスも含めて、宣言する事自体に目的がある類いのもの、今の政治家・官僚の粒の小ささを痛感します。
日本は核兵器を生産する技術を持ち、その主原料(使用済み核燃料)を国内に有するからこそ、その権利を失いたくないという考えなのでしょう。だが、唯一の被爆国であるが故に核兵器の非道さを唯一世界に主張する資格を持つ国が、さらに言えば人類のために核兵器の非人道性を世界で最も主張するべき義務をもつ国が、核兵器の魔力に取り付かれてしまうという倒錯。
この国は亡国への道を着実に歩んでいるといえるでしょうね。