──── 八王子で印鑑を作り続けて120年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
花冷えの候とはよく言ったもので、今年は午前9時前の時間帯は気温10度未満のことがほとんどです。桜の花は散るのが遅くなり、見ごろを長くしてくれる花冷え、と言ってよいでしょう。
4月1日に新元号が発表されました。今日はこの『令和』の文字について書きます。“令”の字は、明朝体と楷書体で、文字の形がかなり変わります。菅官房長官がテレビで見せた『令和』の文字は筆文字ながら、活字の明朝体に近い文字でした。漢字を覚えよう、習おう、という小学生はこの文字を書くようになるかもしれません。しかし一方で学校の漢字書き取りでは設問文章に「楷書で書きなさい」という指示が書かれています。行書でもなく、明朝体でもなく、という意味での楷書ならば、“令”の文字の屋根の下は、斜め点にカタカナの「マ」を書く文字です。おそらく、漢字問題はどちらでも許容範囲になるかと、想像しています。
“和”の文字は、篆書(てんしょ、印鑑に多く使われる文字)だと、偏と旁が左右で逆になる文字も存在します。ノギヘンが右で、口が左にきます。漢字には、部首が同じならば、位置は変わってもかまわない、という考えがあり、ほかにもこのような例はあります。
悠久の歴史の中で248番目に決まった新元号『令和』、意味は「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」とのこと、これからの令和に明るい日本の未来を見たいと切に思います。
▲東京新聞の1面記事よりコピー。筆文字ながら『令和』の“令”は明朝体に近い文字です。
▲3書体で、左から、明朝体、ゴシック体、楷書体です。手書きならば、楷書体が書きやすいと思います。
▲印判職人の持つ辞書「常用漢字印章字林」より。上部は篆書(てんしょ)、
下段の3文字は、楷書、行書、草書です。
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