ケアハウスの利用料金についてよく問い合わせをいただきます。ケアハウスは「軽費老人ホーム」の一種で低額な料金が設定されていますが、なかなかその詳細を知ってもらうにはややこしい部分があります。
【デンマークの“脱”施設】特養をやめて住宅に
私はデンマークに渡って43年。今はデンマーク第2の島、フュン島北西部の海岸沿いの町、ボーゲンセで日本からの福祉研修を受け入れる「日欧文化交流学院」の学院長をしています。
43年前にデンマークに行ったときは、16~20平方メートルくらいの個室のある施設「プライエム」が高齢者に提供されていました。日本の高齢者施設では、1部屋に多人数が一緒に住んでいた時代です。すごいと思ったものです。
ですが、デンマークでは1980年代に「今後、特養ホームを作らない」と決め、今はこうした施設はなくなっています。
高齢者らは今、平均65平方メートルのキッチン付き2DKや1LDKに住んでいる。郵便屋さんも戸口まで来る「住宅」です。それが、だいたい9軒集まって1ユニット。それがさらに4ユニットくらい集まったものが「プライヤセンター」と呼ばれます。いわば「高齢者センター」でしょうか。
住居のほか、高齢者センターにはヘルパー詰め所や高齢者らが趣味にいそしむ「アクティビティルーム」があり、スタッフが新聞を読んであげたり、雑談したりする。リハビリ訓練所やカフェテリアも併設されています。
かつて、高齢者らは特養の食堂で同じ時間に同じ物を食べていた。高齢者センターに住むようになり、起きたいときに起き、食べたいときに食べたいものを食べるようになりました。自己決定の原則に従い、高齢者も普通の人と同じような住宅に住むべきだと言うのがデンマークの基本政策です。
(談 千葉忠夫・日欧文化交流学院学院長)
Q 69 隣接して特別養護老人ホームがありますが、介護が必要になると移れますか。
介護保険が実施になると、これまで措置制度であった特別養護老人ホームが契約施設になるため自由に入所できるようになります。しかし、特別養護老人ホームに入れる人は介護度が中程度以上と言われています。
Q 70 ケアハウスで病気になったらどのように対応してくれますか。
看病に当たるスタッフはいませんが、軽い場合にはスタッフが食事を部屋まで運んでくれたり、簡単な身の回りのことは援助してくれますが、施設によっては家族(または保証人)に連絡して来てもらうところもあります。どこでも早めに入院措置をとるようです。
Q 71 通院が必要ですが、ひとりで行けない場合はスタッフに付き添ってもらえますか。
原則としてはスタッフは付き添うことはありませんが、施設によっては、車で送迎をしてくれるところや自治体がタクシー券を発行しているケースもあります。
Q 72 入院が必要になった場合、部屋はどうなりますか?
3ヶ月間はそのままにするところが多いです。これはケースバイケースで、3ヶ月間を超す場合にも、回復してケアハウスでの生活が続けられる可能性が高い場合には柔軟な対応をしているようです。
Q 73 病院は自分で選ぶ事ができますか。
もちろん自由ですが、一般的には定期検診を受けている病院にカルテが保管されていますので、日常的にはそこを利用することが多いようです。
Q 74 夜間の往診は頼めますか。
最近では一般の家庭でも夜間の往診は難しくなっています。。ケアハウスも同様で急を要する場合は救急車の手配をします。
■ 医療と介護編 ■
Q 67 ケアハウスで介護がしてもらえますか。
ケアハウスは介護保険法で、在宅サービスに位置付けられていますので、施設が「特定施設入居者生活介護」として指定を受ければ、ケアハウスでの介護サービスを受けることができるようになります。しかし、この判断は施設が行うため、今後、介護付きと、介護なしの二分化が考えられます。ケアハウスでの介護ができない場合には、これまでどおり、自立不可能になった場合、退去して介護ができる施設に移ることになるでしょう。
Q 68 ケアハウスで退去になる条件はどんなときですか。
各施設で共通しているのは、下記のような条件が二つ以上重なった時です。
・お金の計算ができなくなる。
・ひとりで入浴できなくなる。
・自分の部屋が判断できなくなる。
・食堂で配下膳ができなくなる。
・3ヶ月を経過しても自立復帰できない。
Q 64 だいたい単身で月額いくらくらいあったら生活できますか。
元気な間は、施設に支払う必要経費のほかに、3万~5万円、外出する機会が少なくなると、月額経費に1万~2万円あれば十分と答えています。もちろん旅行などの費用は別です。
Q 65 ケアハウスに入居しながら、勤めに出ることはできますか。
ケアハウスから仕事に出かけていく人もいます。そうした人のために朝食や夕食など特別な配慮をしているところもあります。
Q 66 入居してから寄付を求められるケースもあると聞きましたが。
まれにあります。寄付は強要されるものではありませんので、しなくてもかまいません。
もしも強要されるようなことがあれば所轄の担当部署に申し出てください。
*画像はクリスマスメニュー
Q 60 月々の経費の支払方法は、どのように行われていますか。
各自の口座から引き落としをするようになっています。
Q 61 20年を超えた場合には管理費の支払いはどのようになりますか。
今のところ規定がありません。施設によって、20年後は管理費なしとするところや、月額管理費を継続して支払うところなどまちまちです。
Q 62 本人の所得基準はどのように決まるのですか。
入居者本人の前年の収入から社会保険料や税金などを控除した額を所得としています。
Q 63 夫婦の場合は所得基準はどのように決まるのですか。
夫婦の場合は、2人の収入(社会保険料や税金を含む)を合算し、合計額の2分の1をそれぞれが個々の対象収入とします(例、夫が厚生年金270万円、妻が国民年金30万円の場合には二人合わせて300万円になる、よって1人当たりの対象額は150万円で事務費徴収額は区分1の最少ランクの利用者負担となる)。
Q 58 管理費の支払方法はどのような、ものがありますか。
支払方法には
1・月々分割・・・・管理費+利息を240ヶ月(20年)で割った額です。
2・併用支払・・・・入居時に一部を支払い残りを月々の分割にします。入居者の要望が多いのが併用支払い方式で、施設もこの方式を多く取り入れています。ラポーレもこの方式を取っています。一時金は120万円です。
3・一括払い・・・・入居時に20年分の家賃を前納する方法で、途中で退去すれば利用期間に応じて返還されます。利息分がない分割安になっています。
Q 59 その他の費用としてはどのような支払いがありますか。
施設によっては、入居時に保証金、敷金として預かり金を徴収していますが義務づけられたものではありません。その額は30万円程度が最も多く見られます。
<2>・光熱・水道料
各自で使用する電気代、水道料代金は各部屋の個別料金票によって支払いますが、まれに個別のメーターがなく、全館の使用料を入居者数で割って負担するケースもあります。大体各自の部屋で使用する金額は5000~1万円くらいが多いようです。
<3>・暖房費
地域によっては11月から3月までの5ヶ月間、暖房費として冬期加算が義務づけられており、寒い地域ほど割高になっています。
<4>・共益費
最近の傾向として、共益費をとる施設が増えていますが、義務づけられたものではなく、自治体の判断で決められているようです。
■ 経費編 ■
Q 53 ケアハウスに入居するには、どのような費用がかかりますか。
ケアハウスは福祉施設ですから、経費はあらかじめ下記のように決められています。
1・事務費(補助) 2・生活費(自己負担) 3・管理費(自己負担)
Q 54 事務費はどんな内容ですか。
事務費は施設を運営するための人件費、施設管理費などにあたるもので、入居者規模や単独か併設か、区域などによって少しずつ違っています。この事務費は前年度の所得に応じて徴収額が18段階に分かれていますので毎年所得の申告が必要になります。区分1の最少ランクが150万円以下となっており、これに該当する人は、単身者の場合月額1万円、夫婦の場合には一人あたり7000円となります。
Q 55 生活費はどんな内容ですか。
生活費は食費にあたる費用で、食材や光熱、水道料が含まれます。地域によって多少の違いはありますが、約4万3000円ほどで、これまで毎年月額100円程度の値上げが行われています。
Q 56 管理費とはどんな内容ですか。
ケアハウスでの管理費はいわゆる家賃に相当します。これは施設によって異なり、20年分の家賃相当分が0~1500万円と大きな開きがあります。ラポーレの場合は120万円です。
Q 57 どうしてそのような開きがあるのですか。
平成4年以降、総工費の一部(国や県からの補助金を上回った費用)を入居者負担分(家賃)として認めることになったため、居室を広くしたり、設備が立派で総工費が高い施設ほど管理費が高くなっています。一方、県や地方公共団体単独補助を受けている施設には管理費が安く設定されています。
Q 47 欠食をしたときは食費の払い戻しがありますか。
これは施設ごとにバラバラです。事前に言ってあれば、食費の半額を戻すとする施設もあれば、1週間は返金なし、8日目から全額返金するところもあります。入居前に確かめておくとよいと思います。
Q 48 治療食が必要な場合は作ってもらえますか。
施設には栄養士がいますので相談するとよいと思います。慢性疾患など入居前からわかっている場合には必ず相談してください。また、ご飯の硬さや、きざみ食などの注文にも応じてくれる施設もあります。
Q 49 お肉が食べられないのですが、そうした要望は聞いてもらえますか。
ケアハウスの場合、メニューの選択ができるところはごく一部です。
場合によっては別メニューで頼める施設もありますので、事前に確認してください。
Q 50 行事食があると聞いてますが、どのような内容ですか。
各施設とも、四季折々の行事を計画しています。例えば、花見やクリスマスといったときには、料理の内容がグレードアップしますが、その分入居者が負担するケースもあります。
Q 51 食事のときにお酒を持ち込めますか。
一般的には、認める施設は多いようです。なかにはお酒の日としてワインなどを出している施設もあります。
Q 52 食堂の席順は決まっていますか。
決められていませんが、自然に決まってしまうようです。後で入居した場合にはスタッフに相談するとよいでしょう。
Q 42 部屋でアルコールやたばこをたしなむ事ができますか。
アルコールは自由ですが、たばこは喫煙所(廊下など)で吸うように指導しています。
Q 43 食事は1日何カロリーくらいですか。
ケアハウスでは平均1600キロカロリー程度です。
Q 44 部屋で自炊ができますか。
三食とも食堂で食べる事になっています。これは日常の健康チェックや食中毒などの心配からだと言われています。
Q 45 食堂から自室に持ってきて食べる事はできますか。
体調がすぐれないときや風邪を引いたときには、部屋で食べる事ができます。
Q 46 食堂に補助食品の持ち込みができますか。
つくだ煮や漬物などの持ち込みを認めているところは多く見られます。
Q 37 自分で新聞をとることはできますか。
できます。個人のポストに入れてくれます。
Q 38 手紙などをスタッフに見られる事はありませんか?
個人のメールボックスが設置されています。直接郵便局員が配達する施設もあります。
Q 39 施設への要望はどのような形で出せますか。
施設によっては入居者委員会が設けられていますが、委員会のない施設でも意見箱が置かれており、入居者の意見を聞くように配慮しています。
Q 40 日常的なサークル活動は盛んですか。
施設によってさまざまですが、よく見かけるサークルには、囲碁、俳句、習字、お花、健康体操、大正琴、コーラスなどが好まれているようです。
Q 41 サークル活動には費用がかかりますか。
サークルには施設が企画する場合と、有志が講師を招いて行う場合があり、後者の場合には各自が講師代を少しずつ負担しているようです。
Q 32 友人や家族を自室に止めることはできますか?
一般的には認めていますが、ほとんどの施設がゲストルームを備えており、ラポーレ駿河では一泊2食3000円で泊めてくれます。体験宿泊も可能です。
Q 33 部屋の掃除はしてくれますか?
部屋の掃除は自分で行います。もし体調を崩したり障害があって掃除が困難な場合には介護保険導入後は保険対象になり、認定によってサービスの内容が決まります。施設によっては有償でサービスの提供を検討しているところもあります。
Q 34 部屋の中に洗濯機を置けますか。
最近開設した施設では、部屋の中に洗濯機が置けるようになりました。
Q 35 お仏壇を持ち込む事はできますか。
ほとんどの施設が認めています。ただし、ろうそくやお線香は防災面から禁止している施設が多いので事前に確かめてください。場合によってはお供物のご飯を調達してくれる施設もあります。
Q 36 設置主体が宗教法人の場合、入居してから信仰を勧められることはありませんか。
強制してはいけないことになっています。日常生活の中で宗教色を取り入れている施設もありますが(キリスト教系の場合、日曜の礼拝など)、参加は自由です。
Q 26 植木などを持ち込めますか?
持ち込めますがベランダは火災の際、緊急避難通路になっているところが多いので、その点を注意すれば大丈夫です。
Q 27 福祉施設は生活が「管理」されると聞いていますが?
ケアハウスは食事や入浴時間以外はどのように暮らそうと他の入居者の迷惑にならなければ自由です。
Q 28 日常の健康管理はどのようになっていますか?
原則として自己管理ですが、在宅介護支援センター等の併設施設では、看護婦さんに健康相談ができます。ほとんどの施設では年1~2回の健康診断を病院や施設内で実施しています。
Q 29 入浴時間は決まってますか?
入浴時間は事故に備えて、スタッフの勤務時間内にするところが多くなっています。最も多い時間帯は午後3時~7時となっています。時間外入浴を希望する人のために家族風呂を設置しているところが多く見られます。
Q 30 外出時には届け出が必要ですか?
一般的に外泊でない限り自由になっています。
Q 31 施設の行事には必ず参加しなくてはなりませんか?
強要はされません。ただし体調や特別なことがない限りできるだけ参加して、お互いの意思の疎通を図ることが必要だと思います。
Q 21 収納スペースはどのくらいありますか?
収納スペースとしては、半間~1間ほどの押入又はロッカーが付いています。施設によってはこのほかにトランクルームがあり有料で利用できるところもあります。
Q 22 個室にお風呂はありますか?
単身用の部屋にお風呂が付いているのはごく一部の施設だけですが、夫婦用の部屋にはお風呂が付いているところが多く見られます。最近の新設施設ではシャワー室を設けるところも多くなっています。
Q 23 共有スペースには、どのような設備がありますか?
規定では、相談室、談話・娯楽・集会室。トイレ・浴室。洗濯室の他に職員に必要とされる場を設けることになっていますが、施設によっては理美容室、図書室、最近ではカラオケルームを設置した施設が多くなりました。
Q 24 部屋を自由に模様替えできますか?
原則としてはできます。ただし退居時には原状回復を求められます。
Q 25 トイレをシャワー式にしたいのですが?
もちろん自己負担ですが、施設によって認めるところもありますので相談してみて下さい。