東京都の石原慎太郎知事(79)が、「陸山会事件」で無罪判決を受けた小沢一郎民主党元代表(69)をめった切りした。
判決について「灰色、それも限りなく黒に近い」と断じ、連携する可能性を完全否定したのだ。小沢氏については無罪後の世論調査でも9割近くが「説明不足」と指摘している。復権への道のりは、果てしなく、険しい。
石原氏は27日、都庁での定例会見で、小沢氏の判決について「限りなく黒」と一刀両断した。
そのうえで、「彼に関する金銭のヤマはもっと大きなものがあるんじゃないか。インフラ整備のための贈収賄なんて、(授受した)双方が同じことを言わないと絶対に立証できない。
だから彼に関する金銭の疑惑はもっとベラボーなものがあるんだろうが、これはらち外なものになっている」と小沢氏の「政治とカネ」にまつわる独自の見解を披露。
「4億円といったって、われわれにしたら大金だが、彼にしたらチャチな問題だったのではないか」と続けた。
石原新党について亀井静香衆院議員が小沢氏との連携を模索したとされる点については、「亀井くんには、ちょっとでも小沢の影が差してくるなら話に乗らないよ、と言っている。晩節を汚す。何を勘違いしているのか知らないが、国民だってそっぽを向くよ」と完全否定した。
実際、読売新聞が26、27日に行った世論調査では、小沢氏は説明責任を「果たしていない」とする回答が87%にのぼった。また、小沢氏は公判中、政治資金収支報告書について「秘書に任せていたので見たこともない」と述べていたが、86%が政治家の責任を厳しく問えるよう政治資金規正法を「改正すべき」と答えていた。
野党は小沢氏の道義的、政治的責任を追及するため、国会での証人喚問を求めており、こうした世論は追い風だ。小沢氏が離党した場合の連携相手と想定する、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」も、松井一郎幹事長が連携を否定した。
さらに民主党内では、小沢氏の党員資格停止を解除するか否かが、抗争の火種になっている。小沢氏に立ちはだかる障壁は多い