昼寝研究の第一人者であるカリフォルニア大のサラ・メドニック氏が
「一時間半の昼寝は一晩分の睡眠に等しい」と発表し、昼寝擁護論に注目が集まっています。
昼寝はそこまで効果的なのでしょうか? 昼寝の研究をしている久留米大学医学部・精神神経科の内村直尚先生に伺いました。
「昼寝には疲労を回復させる効果があります。福岡の明善高校では、5年前から毎日15分間の昼寝を取り入れているのですが、センター試験の成績が上がる、現役の東大合格者が増えるなどの効果が出ています。昼寝をすることで集中力が高まり、個々の持っている能力を引き出しやすくなっているのでしょう。さらに夜の睡眠を深くする効果もあるので、睡眠不足も解消できます」
なるほど。不眠大国ニッポンですから、残業などによる慢性的な睡眠不足を補うためにも、積極的に昼寝を取り入れたいですね。とはいえ、仕事中に「お昼寝します」とはなかなか言えません……。
「人目が気になる方には、ビジネス街を中心に増えている“昼寝サロン”がおススメ。ここは文字通り寝る場所を提供するスペースです。そんな時間もない方は、電車での移動中に目を閉じるだけでも脳は十分リフレッシュできますよ。より効果的に昼寝するには、午後1時頃まで(午後2~4時の最も眠くなる時間帯より前)に、15~30分ほど寝るのがベスト。寝る前にコーヒーなどのカフェイン飲料を飲むとすっきり目覚められます」
日本大学医学部の調査では、労働者の睡眠不足による生産性の低下が日本経済に及ぼす損失は、年間3兆5000億円にのぼるのだそう。
「政府には消費税よりも、昼寝というタダで出来る経済対策を導入してもらいたい(笑)。睡眠でストレスも解消されますし、アルツハイマーや心臓発作も抑制されます。健康でアクティブに生きるためには、昼寝を制すものが人生を制す、です」