巨人の一本釣りが阻止された。
プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)が27日、東京都内のホテルで開催された。
注目の「大学BIG3」争奪戦。巨人・原監督のおいで、最速157キロ右腕、東海大・菅野智之投手の単独指名を狙った巨人だが、日本ハムが強行1位指名し、抽選の末、交渉権を強奪した。
アマ球界No.1左腕の東洋大・藤岡貴裕投手には3球団の1位指名が競合、ロッテが当たりくじを引き当てた。明大の右腕、野村祐輔投手の交渉権は広島が単独1位指名。また、高校屈指のスラッガー、東海大甲府高の高橋周平内野手は3球団から1位指名を受け、抽選の末、中日が交渉権を得た。
巨人の菅野指名に続き、日本ハムが菅野を指名すると会場がどよめいた。大学生最速の157キロを誇る菅野は原辰徳監督(53)のおいという血縁もあり、巨人が早くから1位指名を公言してきた。
本人周辺が「意中の球団があるらしい」と巨人以外ならメジャー挑戦の可能性を示唆したこともあって、他球団が回避するとみられていたが、日本ハムが強行1位指名したのだ。
今季限りで退任が決まっている梨田昌孝監督(58)に代わり、津田敏一球団社長(58)が運命のくじを引き当てると、清武英利球団代表兼GM(61)は表情を失った。巨人は一昨年の長野、昨年の沢村に続く一本釣りに失敗した。
一番人気となったのは、2年連続で全日本大学選手権の最高殊勲選手に選ばれた最速153キロの左腕、藤岡。早くから指名を決めていたロッテ、横浜のほか楽天も加わる争奪戦に。ロッテ・西村徳文監督(51)が当たりくじを引き当てると右手でガッツポーズ。「興奮している」と満面の笑みを見せた。
高校野手としては異例のオリックス、ヤクルト、中日の3球団から1位指名された高橋は、中日・高木守道次期監督(70)が幸先よく幸運のくじを引き当てた。高橋は高校通算71本塁打を誇る強打者で、甲子園未経験ながら18歳以下で争うアジアAAA選手権の日本代表に選ばれ、決勝戦で先制2ランを含む3安打4打点で優勝に貢献し、最優秀選手に輝いた逸材だ。
東京六大学リーグで30勝と300奪三振を達成した野村は広島が単独1位指名。阪神は左の強打者で大学日本代表の4番に座った慶大の伊藤隼太外野手、ソフトバンクは地元九州出身の宮崎日大高の大型右腕、武田翔太投手、西武は右サイドから最速148キロを繰り出す十亀(とがめ)剣(JR東日本)を単独1位指名した。
巨人は外れ1位で横浜と競合の末、英明高(香川)の大型左腕、松本竜也との交渉権を獲得した。