ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

河合俊雄「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」2023・河合隼雄財団

2024年04月02日 | ユング心理学に学ぶ

 2023年4月のブログです

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 河合俊雄さんの「最終講義-発達障害の心理療法と物語の縁起」(2023・河合隼雄財団)のビデオを観る。

 文字通り、河合さんの京都大学での最終講義。

 ご自分が大学院生の時に担当をした小学校低学年の発達障害の男の子のプレイセラピーの事例検討を通じて、発達障害の心理療法について論じる。

 これがすごい。

 当時のケースを40年後の今の河合さんがコメントをしていくのだが、そのコメントの数と奥深さがすばらしい。

 じーじは家裁調査官の時に、先輩から、仮説は少なくとも三つ以上持ちなさい、と教わったが、河合さんはケースの仮説を十も二十も提示して、その有効性を検証する。さすがだ。

 そして、発達障害については、世間的には訓練や教育が有効で、心理療法には否定的な空気がある中で、河合さんは心理療法の有効性を強く示唆する。

 訓練や教育だけでは解決できないような、子どもの深い部分での障害を、プレイセラピーの中で、子どもの物語の変容を通じて変えていく手だてを示す(これで合っていると思うけど…)。

 治療者が子どものこころの世界に降りていき、くたくたになりながらもつきあい、子どもが自然と変わる様子が示され、興味深い。

 しかも、今の河合さんから見たすばらしいコメントと解説が添えられるので、観ているわれわれは素敵な劇を見ているような印象を受けて、感動的にすら思える。

 ちからのある臨床家というのは本当にすごいなあ、と感心させられる。

 今回は山王教育研究所のご紹介でこのビデオを拝見したが、ご配慮に感謝したい。

 もっともっと勉強を深めて、臨床のちからをつけていきたいと思う。    (2023.4 記)

 

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村上春樹『職業としての小説家』2015・スイッチパブリッシング-小説家としての覚悟を語る+追記です

2024年04月02日 | 村上春樹さんを読む

 2015年のブログです

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 村上さんの『職業としての小説家』(2015・スイッチパブリッシング)を読みました(なぜかマックス・ウェーバーさんの『職業としての学問』を思い出したのですが,あまり関係はないのかな?)。

 とても刺激的な本です。

 小説家としての村上さんの覚悟が述べられていると思います。

 もちろん,村上さんのことですから,押しつけはしていませんが…。

 正直に,ご自分の立場,考え,小説の書き方,体の鍛え方(長編小説を書くには体力も大切らしいです)などが述べられています。

 意外だったのは(意外でもないか?),小説を書き上げると最初に奥さんに読んでもらうということ。

 よくエッセイなどで,奥さんが怒ってる時には小さくなってやりすごすしかない,などと書いているので心配をしていましたが,なんだ!仲よし夫婦なんですね。よかった,よかった。

 よき伴侶を得ることがよい小説を書く条件の一つであることがわかりました。

 冗談はさておき,もう一つ印象に残ったのが,何かをするときに,「楽しいかどうか」が大切であるということ,これも重要な指摘だと思いました。

 精神分析家のウィニコットさんは,遊びの中にこそ創造はある,遊びの中にしか創造はない,というようなことを述べていますが,共通するところではないでしょうか。

 さらに深く読み込んでいきたい一冊だなと思いました。   (2015 記)

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 2019年春の追記です

 4年ぶりに再読をしました。

 やはりとってもいい本です。

 村上さんが小説や人生や社会について、かなり真面目に、真剣に語っている本だと思います。

 今回も印象に残ったのは、生きることや仕事をすることが「楽しいかどうか」ということ。

 どうせいろいろとある人生だから、できるだけ楽しんで生きようよ、とおっしゃっているかのように聞こえます。

 一つ発見をしたのは、村上さんが河合隼雄さんと対談をするきっかけが、村上さんの奥さんが河合さんのファンだったということ。

 奥さんの導きで村上さんは河合さんと深いお付き合いをされたわけですから、村上さんの奥さんは偉大ですね(やはり女性のほうが偉いのかもしれません(?))。

 と、冗談はさておき(半分本気ですが…)、他にも村上文学に関する興味あるお話がいっぱい書かれています。

 次は4年といわず、もう少し早めにまた味わいたいなと思いました。   (2019.4 記)

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 2024年3月の追記です

 5年ぶりに再読をしました。

 今回、印象に残ったのは、村上さんも、結論を急ぎすぎないほうがいい、と述べている点。

 あまりにも早急に「白か黒か」という判断を求めすぎている、と書いています。

 そして、誰もがコメンテーターや評論家みたいになってしまったら、世の中はぎすぎすした、ゆとりのないもの、あるいは、とても危ういものになってしまう、と述べています。

 これは、わからないことに耐えることの大切さ、と同意でしょう。

 さすがは、村上さん、です。   (2024.3 記)

 

 

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