2019年のブログです
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村澤真保呂さんと村澤和多里さんの『中井久夫との対話-生命、こころ、世界』(2018・河出書房新社)を読みました。
お二人のお父さんが中井さんと大の親友で、お二人は子どもの頃から中井さんのことを、ナカイのおじさん、と慕っていた間柄とのことで、そういうこともあってこの本が書かれたようです。
すごく面白かったです。そして、刺激的でした。
第一部は、中井さんとの対話。
中井さんの本音トークが久しぶりに聞けますが、その丁寧な語りは貴重です。
治療とは患者さんの内なる自然を回復すること、とか、治療には遊びが大切、などなど、意味深い発言がなされています。
中井さんの発言から、深い思索が導かれるようで、なんとなく襟を正して読むような感じになりました。
第二部は、中井さんの思想を村澤さんたちが解説を試みています。
中井さんの、寛解過程論、を中心に中井さんの世界が解読されます。
中井さんが翻訳をされたサリヴァンさん、その世界に近い量子力学のボーアさん、免疫学の多田富雄さん、生物学のユクスキュルさん、小児科医の松田道夫さん、などなどの思想が紹介されます。
いずれも、じーじも以前から興味のある方々で、その偶然に驚きながら、本棚を改めてチェックしました。
じーじが中井さんに魅かれるのも、このあたりに理由があったのかもしれません。
無理のない、患者さんに優しく、患者さんを信頼しているその姿勢には、本当に頭が下がります。
今後も折にふれて読んでいきたいな、と思いました。 (2019.1 記)