2015年のブログです
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竹田津さんの2006年の本です。
先日,ご紹介した竹田津さんの『北の大地から』を読み返して,とても良かったので,さっそくこの本も購入して読みました。
この本も『北の大地から』と同じく,落ちついた文章と美しい写真が印象的です。
文章はユーモアの中に静かな怒りがこめられていて,自然を愛する竹田津さんの素朴で素直な思いが伝わってきます。
12か月の文章の中で私が一番印象に残ったのは,やはり子ギツネのヘレンのお話。
ヘレンは目,耳,鼻などの障害で,一人では(一匹というべきか?)生きていけない状態で竹田津さんがお世話をしますが,味方と敵の区別がつかず,竹田津さんご夫婦にもはむかいます。
しかし,竹田津さんの奥さんが,ヘレンを抱いて子守唄をうたってあげると,なんと落ちついて眠ります。
このエピソードは,子守唄と母性のすごさを感じさせらた一瞬でした。
人間のすごさかもしれません。
しかし,こんなすごい人間が,竹田津さんが怒るような自然破壊もしてしまいます。
冷静に,温かく,賢く,ゆったりとなどなど,バランスよく生きていきたいなと考えさせられる一冊でした。 (2015 記)