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竹田津実『オホーツクの十二か月-森の獣医のナチュラリスト日記』2006・福音館書店-北海道を読む

2024年10月31日 | 北海道を読む

 2015年のブログです

     *    

 竹田津さんの2006年の本です。

 先日,ご紹介した竹田津さんの『北の大地から』を読み返して,とても良かったので,さっそくこの本も購入して読みました。

 この本も『北の大地から』と同じく,落ちついた文章と美しい写真が印象的です。

 文章はユーモアの中に静かな怒りがこめられていて,自然を愛する竹田津さんの素朴で素直な思いが伝わってきます。

 12か月の文章の中で私が一番印象に残ったのは,やはり子ギツネのヘレンのお話。 

 ヘレンは目,耳,鼻などの障害で,一人では(一匹というべきか?)生きていけない状態で竹田津さんがお世話をしますが,味方と敵の区別がつかず,竹田津さんご夫婦にもはむかいます。

 しかし,竹田津さんの奥さんが,ヘレンを抱いて子守唄をうたってあげると,なんと落ちついて眠ります。

 このエピソードは,子守唄と母性のすごさを感じさせらた一瞬でした。

 人間のすごさかもしれません。 

 しかし,こんなすごい人間が,竹田津さんが怒るような自然破壊もしてしまいます。

 冷静に,温かく,賢く,ゆったりとなどなど,バランスよく生きていきたいなと考えさせられる一冊でした。         (2015 記)

 


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