たぶん2017年ころのブログです
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河合俊雄さんの『概念の心理療法-物語から弁証法へ』(1998・日本評論社)を再読しました。
何回目になるでしょうか。
一見、読みやすい本なのですが、なかなか内容は難しく、中身を紹介しようとすると、なかなかまとめられずに、困惑をしてしまうといった本です。
今回もリポートをするのは無理かな、と思いながら読んでいたのですが、それでも印象に残ったところを一つ、二つ書いてみます。
ひとつは、発達、変化とイニシエーションの関係のところ。
心理学的な発達や変化は漸進的、連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、という考え。
そして、それは、主体そのものの死を含んで、非連続的なもの、と述べます。
これはかなり刺激的でした。
よく、精神分析では、生の底には死がある、とか、生は死を含む、とか、いわれますが、このへんと、なにか関係がありそうで、今後、よく考えてみたいな、と思いました。
もうひとつは、物語と反復のところ。
精神分析でも反復は大きなテーマですが、ここでは少し肯定的なとらえ直しがなされていました。
それは、反復がずれや差異を生むことに注目をしている点です。
物語のディテールをていねいに見ていくことは、繰り返しを味わうことになるし、また、微妙なずれを見出していくことにもつながる、と述べて、面接論につなげられています。
理論が実践に結びつくみごとな様子が見られて、感動します。
まだまだ魅力的な論点があると思うのですが、今のわたしにはこのへんが限界です。
いずれまた読んで、さらにいい報告ができればと思っています。 (2017?記)
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2020年11月の追記です
ここのところ、木村敏さんの本をずっと読んでいます。
あいかわらず難しいのですが、ここでも生と死がテーマの一つになっています。
フロイトさんを含めて、深いところで繋がっているのかもしれません。 (2020. 11 記)
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2023年11月の追記です
発達や変化のところを読み返していると、それが連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、と述べられているようで、少し唐突かもしれませんが、じーじは今西錦司さんの進化論を連想しました。
今西さんは、ダーウィンさんの、進化は適応によって少しずつ起こる、という説に対して、進化は起こるべき時に急に起こる、と述べたかた(たぶん間違っていないと思うのですが…)。
なかなか面白い対応だな、と今さらながら思いました。 (2023.11 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介
経歴
1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。
1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。
1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通う。
1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事する。
1995年頃、調査官でも落ちこぼれ、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。
2014年、定年間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。
2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。
仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。
所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区
mail yuwa0421family@gmail.com
いつも力不足で、うまく内容がお伝えできなくて、恐縮をしています。
いい本を読んでいただけるきっかけになっていればいいのですが…。