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河合俊雄『概念の心理療法-物語から弁証法へ』1998・日本評論社-生死・反復・差異

2024年06月30日 | ユング心理学に学ぶ

 たぶん2017年ころのブログです

     *  

 河合俊雄さんの『概念の心理療法-物語から弁証法へ』(1998・日本評論社)を再読しました。

 何回目になるでしょうか。

 一見、読みやすい本なのですが、なかなか内容は難しく、中身を紹介しようとすると、なかなかまとめられずに、困惑をしてしまうといった本です。

 今回もリポートをするのは無理かな、と思いながら読んでいたのですが、それでも印象に残ったところを一つ、二つ書いてみます。

 ひとつは、発達、変化とイニシエーションの関係のところ。

 心理学的な発達や変化は漸進的、連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、という考え。

 そして、それは、主体そのものの死を含んで、非連続的なもの、と述べます。

 これはかなり刺激的でした。

 よく、精神分析では、生の底には死がある、とか、生は死を含む、とか、いわれますが、このへんと、なにか関係がありそうで、今後、よく考えてみたいな、と思いました。

 もうひとつは、物語と反復のところ。

 精神分析でも反復は大きなテーマですが、ここでは少し肯定的なとらえ直しがなされていました。

 それは、反復がずれや差異を生むことに注目をしている点です。

 物語のディテールをていねいに見ていくことは、繰り返しを味わうことになるし、また、微妙なずれを見出していくことにもつながる、と述べて、面接論につなげられています。

 理論が実践に結びつくみごとな様子が見られて、感動します。

 まだまだ魅力的な論点があると思うのですが、今のわたしにはこのへんが限界です。

 いずれまた読んで、さらにいい報告ができればと思っています。     (2017?記)

     *

 2020年11月の追記です

 ここのところ、木村敏さんの本をずっと読んでいます。

 あいかわらず難しいのですが、ここでも生と死がテーマの一つになっています。 

 フロイトさんを含めて、深いところで繋がっているのかもしれません。     (2020. 11 記)

     *

 2023年11月の追記です

 発達や変化のところを読み返していると、それが連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、と述べられているようで、少し唐突かもしれませんが、じーじは今西錦司さんの進化論を連想しました。

 今西さんは、ダーウィンさんの、進化は適応によって少しずつ起こる、という説に対して、進化は起こるべき時に急に起こる、と述べたかた(たぶん間違っていないと思うのですが…)。

 なかなか面白い対応だな、と今さらながら思いました。     (2023.11 記)

 


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2 コメント

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Unknown (cosmos)
2018-09-23 06:25:40
いつも大変参考になります。本も借りたりしています。これからもよろしくお願いします
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ありがとうございます (どさんこじーじ)
2018-09-23 06:33:36
コメント、ありがとうございます。
いつも力不足で、うまく内容がお伝えできなくて、恐縮をしています。
いい本を読んでいただけるきっかけになっていればいいのですが…。
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