たぶん2017年ころのブログです
*
河合俊雄さんの『概念の心理療法-物語から弁証法へ』(1998・日本評論社)を再読しました。
何回目になるでしょうか。
一見、読みやすい本なのですが、なかなか内容は難しく、中身を紹介しようとすると、なかなかまとめられずに、困惑をしてしまうといった本です。
今回もリポートをするのは無理かな、と思いながら読んでいたのですが、それでも印象に残ったところを一つ、二つ書いてみます。
ひとつは、発達、変化とイニシエーションの関係のところ。
心理学的な発達や変化は漸進的、連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、という考え。
そして、それは、主体そのものの死を含んで、非連続的なもの、と述べます。
これはかなり刺激的でした。
よく、精神分析では、生の底には死がある、とか、生は死を含む、とか、いわれますが、このへんと、なにか関係がありそうで、今後、よく考えてみたいな、と思いました。
もうひとつは、物語と反復のところ。
精神分析でも反復は大きなテーマですが、ここでは少し肯定的なとらえ直しがなされていました。
それは、反復がずれや差異を生むことに注目をしている点です。
物語のディテールをていねいに見ていくことは、繰り返しを味わうことになるし、また、微妙なずれを見出していくことにもつながる、と述べて、面接論につなげられています。
理論が実践に結びつくみごとな様子が見られて、感動します。
まだまだ魅力的な論点があると思うのですが、今のわたしにはこのへんが限界です。
いずれまた読んで、さらにいい報告ができればと思っています。 (2017?記)
*
2020年11月の追記です
ここのところ、木村敏さんの本をずっと読んでいます。
あいかわらず難しいのですが、ここでも生と死がテーマの一つになっています。
フロイトさんを含めて、深いところで繋がっているのかもしれません。 (2020. 11 記)
*
2023年11月の追記です
発達や変化のところを読み返していると、それが連続的に起こるものではなくて、飛躍的に根源的な変容が起こるのではないか、と述べられているようで、少し唐突かもしれませんが、じーじは今西錦司さんの進化論を連想しました。
今西さんは、ダーウィンさんの、進化は適応によって少しずつ起こる、という説に対して、進化は起こるべき時に急に起こる、と述べたかた(たぶん間違っていないと思うのですが…)。
なかなか面白い対応だな、と今さらながら思いました。 (2023.11 記)
いつも力不足で、うまく内容がお伝えできなくて、恐縮をしています。
いい本を読んでいただけるきっかけになっていればいいのですが…。