2023年9月のブログです
*
先日、テレビを見ていたら、モンゴルのゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘する研究者たちのドキュメンタリーをやっていて、興味深く見た。
おそらくはその研究者たちのメンバーのおひとりと思われる北海道大学の小林快次さんの『恐竜まみれ-発掘現場は今日も命がけ』(2022・新潮文庫)を読む。
小林さんは恐竜で有名な(?)福井県の出身。
子どもの頃からアンモナイトの発掘に熱中して、時にはアンモナイトを抱いて寝たこともあるという(すごいですね!)。
アメリカの大学で恐竜の発掘を研究し、イギリスの学術雑誌『ネイチャー』に論文が載るほどの専門家でもある。
2005年に北海道大学の先生になり、2014年に北海道むかわ町で「むかわ竜」を発掘した。
そんな小林さんの恐竜発掘のお話であるが、これがとても面白い。
発掘現場は命がけ、とは、恐竜の発掘現場が、アラスカ、ゴビ砂漠、カナダ、などなど、自然環境の厳しいところが多く、研究というよりは探検のような仕事になることをさしている。
そんな探検のような発掘作業がユーモラスに記される。
時には危険な目にも遭いながら、地道な発掘作業を続け、世界的な発見に繋がる様子は感動的だ。
しかし、おそらく毎日の仕事は地味なのであろうし、食生活などもかなり地味だ。アラスカではくまさんとのかくれんぼもスリリングだ。
じーじならとても耐えられないだろうし、学者さんも大変だなあと思うが、学問とはそんなものかもしれない。
専門家になると、素人には見えない、わからない化石が見えてくる、というところは、なかなか示唆的だ。
臨床でもそうかもしれないと思うし、他の分野でもそうかもしれないが、専門家というのは、素人では見えにくいものが見えると同時に、新しい発見にこころが開かれている存在なのかもしれない。
いろいろなことを考えさせてくれるいい本だった。 (2023.9 記)
*
数日後の追記です
今日、テレビを見ていたら、ゴビ砂漠での恐竜発掘のドキュメンタリーの再放送をやっていた。
小林さんがメンバーのひとり、というより、小林さんを中心とした番組で、小林さんのすごさを再確認させられた。
たくさんの恐竜の足跡を発見して、当時の恐竜たちの生活が見えます、とおっしゃる姿はプロだと思った。 (2023.9 記)