2017年春のブログです
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少し迷いましたが、村上さんの 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)の感想文の第2報を書いてみます。
まだまだ読み終えていないかたも多いと思いますので、あらすじは書きません。
しかし、結末を少しだけ書きます(村上さん、ごめんなさい。でも、売り上げはひょっとすると上がるかもしれません)。
結末はなんと(!)、主人公が生まれてきた小さな娘の保育園の送り迎えをする、というものです(!)。
驚き(!)の、びっくりでしょう(!)。
村上さんの小説の主人公に子どもが生まれるのは、じーじの記憶ではたぶん初めてではないでしょうか(?)。
1Q84では、主人公が妊娠をしたところで終わりましたが、今回は子どもが生まれました。
もっとも、本当に自分の子どもかどうかは科学的にはあいまいなのですが、ここで信ずるということが出てきます。
父親にとって、子どもが本当に自分の子どもかどうかは完全にはわからないことですし、結局は信ずるしかないのかもしれません。
じーじが思うには、村上さんのこころの中で、変化というか、成長というか、成熟というか、何かが確実に進んでいるようです。
心理学的に偉そうなことをいうと、エディプスコンプレックスを乗り越えたという印象を持ちますが、どうなのでしょう。
そして、小さな娘の面倒を見ている主人公は、小説の中で、ちょうどその時に起こった東日本大震災の津波を映像を、娘には見せまいと必死の努力をします。
そんな小さな子どもを守ろうとする主人公を見ていると、村上さんも年相応にじーじになってきたなと思いました(村上さん、再びごめんなさい。でも、じーじになることはとても大切なことではないかと思います)。
じーじの勝手な思い込みと連帯感からですが、じーじになりつつある村上さんと一緒に生きていく幸せを感じて、前向きに、しかし、深く考え、感じて、生きていきたいなと思います。 (2017.3 記)
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2019年6月の追記です
すみません、その後、村上さんの『国境の南、太陽の西』(1995・講談社文庫)を再読していたら、子どもさんが出てくることに気づきました(気づくのが遅い!)。こちらも可愛い女の子です。 (2019.6 記)
村上春樹さんの小説、近年はめっきり読んでいないです。
「風の歌を聴け」から「羊をめぐる冒険」までの三部作を読んだ時、文章がとてもクールだなと思いました。
まさに口笛でも吹いているような印象を持ちました。
描く内容が変化してきたのは興味深いですね。
好きな作家さんの作品を長年読んでいるとそういった場面に遭遇することがあるのが面白いと思います。
だんだんと深いテーマを前面に出してきていますが、読みやすさという点では変わらないように思います。
読みやすさの中にとても深いものが出てくるのが、村上文学のおもしろさではないかと私などは思っています。
いつもしみじみとした気持ちになり、拝読しています。
最後に、子供が出てくる村上春樹の書物を思い出され、紹介されている分を読んだとき、思わず笑みが浮かんでしまいました。
この本の結末は、私には今後どうなるのか、解らなくて、戸惑いましたが。
村上春樹さんの自然な文体が、私は大好きで、底辺に流れるヒューマニズムにとても惹かれます。
ごめんなさい、一介の専業主婦に過ぎない私です。
まるで頓珍漢な事を申し上げているのかもしれません。
私の孫が春から、小学校の特別学級の教師になりました。今度会った時,じーじ様のブログを紹介させていただきますね。
とてもためになると思いましたので。
今後のご活躍をお祈りしています。
お孫さんのご成長、私も楽しみにしています。
村上さんの文体を、自然な文体、とおっしゃり、底辺に流れるヒューマニズム、を指摘されるかたはなかなかいませんでした。同感です。勉強になりました。
お孫さんが特別学級の教師さんとのこと。大変なお仕事でしょうが、頑張ってくださることを祈っております。