2019年のブログです
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大平健さんの『顔をなくした女-<わたし>探しの精神病理』(1997・岩波書店)を再読しました。
大平さんの『豊かさの精神病理』や『やさしさの精神病理』シリーズの一冊、精神科臨床での丁寧な面接風景が描かれます。
こういう面接をしてみたいな、と思いますし、こういう場面を描写してみたいな、と思いますが、まだまだ力不足です。
今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
まずは、表題作の、顔をなくした女。
兄嫁への恨みから発病をした女性、顔がない、と訴えます。
面接を重ねるうちに、兄嫁より家を継がない兄への恨みが判明しますが、兄にあわせる、顔がない、こともわかります。
ミステリアスな患者さんの訴えが、精神科面接で少しずつ明らかになっていく様子がすごいです。
もう一つは、多重人格の女性。
当時はまだ日本における多重人格の、流行前、の時期ですが、大平さんの面接は慎重で、かつ、丁寧で、感動的です。
こちらも面接を重ねるうちに、少しずつ出現する人格が減少していき、強い抑圧の結果、人格が分裂せざるをえなかった女性の悲劇が判明します。
粘りづよく、患者さんをあくまでも大切にして、寄り添っていく大平さんはすごいの一言です。
まるで推理小説を読むような、見事な治療ですが、やはり患者さんへの愛と尊敬が根本にあることがよくわかります。
そういう臨床家に少しでも近づけるよう、じーじも謙虚に研鑽を続けようと思います。 (2019.6 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介
経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ
1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する
2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了
2017年、臨床心理士になる
仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています
学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)
mail yuwa0421family@gmail.com