ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

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池澤夏樹『終わりと始まり』2015・朝日文庫-時代を深く読み、ていねいに考える

2025年03月13日 | 随筆を読む

 2019年のブログです

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 池澤夏樹さんの『終わりと始まり』(2015・朝日文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけました。

 2015年の本ですから、4年遅れでの読書です。

 もともとは「朝日新聞」夕刊に2009年から2013年にかけて連載されたエッセイです。

 ということは、2011年3月11日の東日本大震災をはさんでの激動の4年間です。

 しかし、文章は少しも古びていません。むしろ、新しさを増している印象を受けます。

 本の中で、当初は、普天間基地の問題やアメリカの問題、さらに、水俣病の問題などを論じますが、3・11のあとは当然、原発の問題が中心となります。

 そして、その後は、次第に原発事故を反省しない政治家や大企業の問題に論点が移り、さらには、そういう政治家を支持する国民のことを考えます。

 池澤さんの明快な意見に比して、社会の動きのにぶさや利害関係の複雑さにうんざりしてしまいますが、人間とはそういう存在でもあるのでしょう。

 しかし、哀しいですし、もどかしいです。

 自分のことはともかく、子どもや孫のことを考えると、心配がつのります。

 なお、解説は田中優子さん。

 池澤さんより、少し過激に、しかし、冷静沈着に社会と本書の関係や意義について教えてくれます。         (2019.8 記) 


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